( 冬菫・寒菫 )
教会の庭に屈めば冬すみれ 栗田やすし
言葉少き日の縁下の冬すみれ 細見綾子
勝ち牛も負け牛も踏む冬すみれ 石 寒太
墓を守る歪なクルス冬菫 尾田明子
冬すみれ咲く王陵の珊瑚垣 倉田信子
燭揺るるガラシャの墓や冬すみれ 松原 香
冬すみれ八雲ゆかりの猟師町 矢野愛乃
赤土の崖すそ冬のすみれ咲く 金田義子
アスファルト割つて一列冬すみれ 千葉ゆう
やすし句碑裾に二輪の冬すみれ 奥山ひろみ
磐石の割れ目に咲きて冬すみれ 津田清子
ふるきよきころのいろして冬すみれ 飯田龍太
椅子ひとつほどの日溜り冬すみれ こころ