
七夕竹惜命の文字隠れなし 石田波郷
今日の読売新聞「編集手帳」から
国語辞典を幾つかひらいても惜命はのってない
命をいとおしむ。熟語にして名づけるまでもない、
誰もが備えもつ感情だろう。
病気などの厄災に命が脅かされとき、平生は意識しないでいた
感情を見つめ、言葉が生まれる。
結核を患う俳人石田波郷は1950年(昭和25年)病床詠を句集に
編んだ。「七夕竹惜命の文字隠れなし」療養所の笹飾りに、その
言葉を見たのだろう。今宵軒端に笹は飾らずとも、病める肉親の、
あるいは自身の「惜命」を胸の内にしたためる方もあるに違いない。
病院がわが家のごとし瓜刻み
清瀬よりはたた神連れ帰りけり 石田あき子
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