( 彼岸花・、曼珠沙華 )
つきぬけて天上の紺曼珠沙華 山口誓子
曼珠沙華どれも腹出し秩父の子 金子兜太
対岸の火として眺む曼珠沙華 能村登四郎
曼珠沙華かなしみは縦横無尽 塚本邦雄
うつりきてお彼岸花の花ざかり 種田山頭火
彼岸花の白きは幽冥界のもの 柴田白葉女
怖い夜や見えなくならぬ彼岸花 池田澄子
栗田靖主宰の著書「現代俳句考」の中から*先達の言葉から*を
少しずつご紹介します
俳句は抒情を物に寄せる 秋元不死男
短歌と俳句の違いについての一項から
歌では「鳴くに首あげ」「見ればよき月夜」と「事」を述べていて
「時間の中で情景が展開されているのに対して俳句は「ほととぎす」
「月」などと「物」を置いているだけで、すべて一瞬の把握作業である
さらに、俳句は非時間的な文学だからこそ「物」に執着しないといけない