８月 １１日

　　　　　　　　　　　　　（　破れ傘の花　）


破れ傘貧しき花を傘の上 　　　　　　　　　青柳志解樹


奥飛騨は水音太し破れ傘 　　　　　　　　　佐藤斗星


破れ傘白花かかげかけこみ寺　　　　 　　　東福寺薫



檜扇・射干


射干の紅一花を蝋干し場 　　　　　　　　　　冨田みのる


射干や大戸閉せる蝋屋敷 　　　　　　　　　　浜田みずき


射干も一期一会の花たらむ 　　　　　　　　　石田波郷

８月 １０日

　　　　　　　　　　　　　（　水引草　）



水引草はびこり母をよろこばす 　　　　　　　　　　山田みづえ


小暗きに一穂の艶水引草 　　　　　　　　　　　　　赤井淳子


水引の紅をふやして雨の寺 　　　　　　　　　　　　木内彰志


山雨来て京紅ながす水引草 　　　　　　　　　　　　渡辺 恭子



金水引草


天台の金水引の吹かれをる 　　　　　　　　　　　　佐々木六戈


水引の花は動かず入日さし 　　　　　　　　　　　　山西雅子


水引の花咲き土岐は窯どころ 　　　　　　　　　　　井上光枝

８月 ９日

　　　　　　　　　　　　　（　薄荷　）



花薄荷刈られて匂ふ厨口 　　　　　　　　　藤本スエ子


こまやかな薄荷の花を摘みて嗅ぐ 　　　　　上村占魚


二日月薄荷の花の匂ふなり 　　　　　　　　小松崎爽青


どしや降りの雨にうたるる花薄荷 　　　　　安斉君子



がが芋の花


今日８月９日は長崎忌


首上げて水光天に長崎忌 　　　　　　　　　五島高資


慰霊碑を寮歌で囲み長崎忌 　　　　　　　　達山丁字


十一時二分わたしの祷り長崎忌 　　　　　　山崎芳子

８月 ８日

　　　　　　　　　　　　（　鷺草　）



鷺草のふたつの花の相寄れる 　　　　　　　　　千石比呂志


鷺草に空の三尺あれば足る 　　　　　　　　　　植村久子


鷺草の鷺は二羽連れ二羽の露 　　　　　　　　　石原八束


鷺草の群がり舞へる鉢の上 　　　　　　　　　　小笠原春草子



今日８月８日は立秋


立秋の声を聞かずに行きたまふ 　　　　　　　　　細見綾子


立秋の赤子背負ひて田に染まる 　　　　　　　　　広瀬直人


白き花赤き花秋立にけり 　　　　　　　　　　　　正岡子規

８月 ７日

　　　　　　　　　　　　　　　（　月見草　）



汽車煙熱きがかかる月見草 　　　　　　　　　　　鷹羽狩行


さゆらぎは開く力よ月見草 　　　　　　　　　　　稲畑汀子


月見草夕月よりも濃くひらく 　　　　　　　　　　安住敦


小浜線通ればゆれて月見草 　　　　　　　　　　　大峯あきら





丸葉 縷紅草


縷紅草母訪えば我潤され 　　　　　　　　　　　　鈴木俊一


縷紅草のくれなゐともる昼の闇 　　　　　　　　　小金井欽二



　伊吹嶺８月号　遠峰集より　


栗田先生句碑除幕式
句碑囲む梅雨の傘垣幾重にも
明治村
初夏の矢絣似合ふ切符売り
試し踏む小屋のたたらや梅雨湿り
監房にひびく靴音青葉冷え
小綬鶏の声する森のカレー店　　　　　　　　　　こころ

　　　　　　　　　　　　　　　

８月 ６日

　　　　　　　　　　　　　　（　花カンナ　）


火のカンナ火のシベリウス断続す 　　　　　　　　　加藤楸邨


カンナ朱に神の愛憎いづれなる 　　　　　　　　　　岡本 眸


荒磯の風に燃え立つカンナの緋 　　　　　　　　　　西村美枝


朝よりカンナ一心不乱のいろ 　　　　　　　　　　　　奥坂まや


　今日は広島忌、１９４５年８月６日に広島に、８月９日に長崎に原爆が投下された日
　　　　　６日を広島忌，９日を長崎忌、原爆忌はその両日をさします


電工のいちにち高し原爆忌 　　　　　　　　　　　　　秋元不死男


噴水は水の花束広島忌 　　　　　　　　　　　　　　　杉田久美子


消えてより蜥蜴の蒼さ長崎忌 　　　　　　　　　　　　鍵和田釉子

８月 ５日

　　　　　　　　　　　　　（　草牡丹　）


草牡丹沼見えてゐる父母の墓 　　　　　　　　　　山田美保





藍の花


沈みたる一蝶白し藍の花 　　　　　　　　　　　　星野高士


綾子忌の風に穂をあぐ藍の花 　　　　　　　　　　鈴木千恵子



藍の花栞れば紅の失せにけり 　　　　　　　　　　坊城中子

８月 ４日

　　　　　　　　　　　　　　　（　狐の剃刀　）


狐の剃刀霧へ落として来りけり 　　　　　　　　　櫛原希伊子


狐の剃刀山柔らかく日に抱かる 　　　　　　　　　雨宮抱星







節黒仙翁（ふしぐろせんのう）





檜扇

８月 ３日

　　　　　　　　　　　　　（　花魁草・草夾竹桃　）


昼の日の炎ゆるに燃ゆる花魁草 　　　　　　　　　臼田亜浪


民宿の花魁草の厚化粧 　　　　　　　　　　　　　後藤比奈夫


二度咲のあはれに濃くて花魁草 　　　　　　　　　菅裸馬


宵闇の花魁草の紅深め 　　　　　　　　　　　　　竹田 節



袈裟がけに花魁草に蛇の衣 　　　　　　　　　　　　富安風生


花魁草外人墓地に咲きいでし 　　　　　　　　　　　岡本 眸


切りたての花魁草に盆の風 　　　　　　　　　　　　蓬田紀枝子

８月 ２日

　　　　　　　　　　　（　女郎花　）

日付の変わる頃、大きな地震がありました　皆さんのお住まいのところには被害がありませんか
東京では震度３　昨日は東北、北海道でも大きな地震があり落ち着かない日が続いています
ゲリラ的な豪雨もありどうぞお気をつけてお過ごし下さい



朝の汽車すこやかに露女郎花 　　　　　　　　　　細見綾子


木と成れり歌垣原の女郎花 　　　　　　　　　　　沢木欣一


休らへば手折りもぞする女郎花 　　　　　　　　　河東碧梧桐


女郎花押しわけ早瀬沼に落つ 　　　　　　　　　　水原秋櫻子



国境に鋸草などあはれなり 　　　　　　　　　　　　山口青邨


鋸草すずしくなりし夕かげり 　　　　　　　　　　　河野南畦


鋸草の花にはじまる岳の嶮 　　　　　　　　　　　　木内翠園