４月 ２０日

　　　　　　　　　　　　　（　翁草　）



銀冠の軸の青さよ翁草 　　　　　　　　　　　　沢木欣一


高原の雨やむ湿気翁草 　　　　　　　　　　　　飯田蛇笏


水させば硯喜ぶ翁草 　　　　　　　　　　　　　村山古郷




（花の後、５月頃には長い髭を持つ種ができます）



翁草銀の絮かな祭笛 　　　　　　　　　　　　　飯田龍太


花も葉も産毛のうちに翁草 　　　　　　　　　　片山由美子


翁草咲き上空のがらんどう 　　　　　　　　　　菅原鬨也


翁草手になだらかな山の景 　　　　　　　　　　石原八束





（むさしあぶみ）



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４月 １９日

　　　　　　　　　　　　　（　枳殻の花　）


子に見せてやりしもの今日枳殻の花 　　　　　　　　　　細見綾子






時刻表にはさむ枳殻のこぼれ花 　　　　　　　　　　　　横山房子


からたちの花高かりし少年期　　　　　　　　　　　　　　鷹羽狩行


石仏に似たる農夫や花枳殻 　　　　　　　　　　　　　　中島丁児


からたちの花の鎌倉西御門　　　　　　　　　　　　　　　皆川白蛇


枳殻の花散る朝の乳母車 　　　　　　　　　　　　　　　　新田祐久




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４月 １８日

　　　　　　　　　　　　（　筍・たかんな・竹の子　）



筍の堀りすててあり芭蕉の道 　　　　　　　　　　細見綾子


竹の子の小さければ吾子かがみこむ 　　　　　　　大串 章


嵯峨野僧伽たかんな冷と申すべく 　　　　　　　　黒田杏子


筍の荷がゆく朝の札所前　　　　　　　　　　　　　飯田龍太


たかんなや吉良累代の墓所　　　　　　　　　　　　加古宗也





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磨崖仏前に筍掘りし跡　　　　　　　　　　　　　　都合ナルミ


たけのこを猪の親子が食べにきし　　　　　　　　片山浮葉


初掘りの筍かかげ山下り来　　　　　　　　　　　　中村たか





羅生門かずらが咲き出しました



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４月 １７日

　　　　　　　　　　　　　（　蒲公英・鼓草・たんぽぽ　）



蒲公英や石垣匂ふ海のふち 　　　　　　　　　　　沢木欣一


しあはせに短かたんぽぽ昼になる 　　　　　　　　細見綾子


縄文の土葺き屋根に鼓草　　　　　　　　　　　　栗田やすし









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たんぽぽの野となる弥生古墳塚　　　　　　　　　　田畑　龍


たんぽぽの絮貴婦人の風情あり　　　　　　　　　　河原地英武


たんぽぽの絮とぶ弥生住居跡　　　　　　　　　　　倉田信子


閉店の貼り紙茶屋に鼓草　　　　　　　　　　　　　東口哲平

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４月 １６日

　　　　　　　　　　　　（　チューリップ　）


チューリップ喜びだけを持つてゐる 　　　　　　　　細見綾子


チューリップ畑の中の一軒家 　　　　　　　　　　　三村純也


それぞれに浮かぶ宙ありチューリップ 　　　　　　　皆吉爽雨


赤は黄に黄は赤にゆれチューリップ 　　　　　　　　嶋田一歩


チューリップみんな開いて青い空 　　　　　　　　　小島阿具里





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露地裏に三頭身のチューリップ　　　　　　　　　　武田明子


チューリップしばらく蹤いてくる仔犬　　　　　　　山　たけし


チューリップ買ひ衷心の鎮まりぬ　　　　　　　　　若山智子


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４月 １５日

　　　　　　　　　　　（　蓮華草・げんげん・紫雲英　）



げんげ田に沈みて遍路冥利かな 　　　　　　　　　　　沢木欣一


飛鳥路をゆくやとぼとぼ蓮華草 　　　　　　　　　　　村井一子


げんげ田の風がまるごと校庭に 　　　　　　　　　　　小川軽舟


切岸へ出ねば紫雲英の大地かな 　　　　　　　　　　　中村草田男


げんげんのまなこにあふれ百済川　　　　　　　　　　　角川春樹


手に取るなやはり野に置け蓮華草 　　　　　　　　　　正岡子規






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げんげ田に寝転んで見る飛行船　　　　　　　　　　　伊藤旅遊


落柿舎の前にひろがるれんげ畑　　　　　　　　　　　小石峰通子


紫雲英畑見ゆる夢二の窓小さし　　　　　　　　　　　渡辺かずゑ


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４月 １４日

　　　　　　　　　　　　（　八重山吹・山吹　）


山吹の茎にみなぎり来し青さ 　　　　　　　細見綾子


傘さして山吹を折る小庭かな 　　　　　　　河東碧梧桐


つきさしたやうに山吹雨の中 　　　　　　　松瀬青々


大屋根の崩れんばかり濃山吹 　　　　　　　永田耕一郎






山吹の一重の花の重なりぬ 　　　　　　　　　高野素十


遠目にも山吹の黄の一重なり 　　　　　　　　星野立子






杣小屋へ山吹草の雪崩咲 　　　　　　　　　　辻田克巳


夕日消ゆ山吹草の黄を溶かし 　　　　　　　　木村恊子


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４月 １３日

　　　　　　　　　　　（　雪柳　）


雪柳花みちて影やはらかき 　　　　　　　　沢木欣一


雪柳ふぶくごとくに今や咲く 　　　　　　　石田波郷


月うるむ地にただようて雪柳 　　　　　　　石原八束


雪柳人居るごとく揺れ合へり 　　　　　　　阿部みどり女


あたらしき花瓶の重さ雪柳 　　　　　　　　中鳥菖子


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青竹に雪柳挿す勝手口　　　　　　　　　　　佐藤とみお


昏れてより白極まれり雪柳　　　　　　　　　吉岡やす子


窯垣の小径ここより雪柳　　　　　　　　　　神尾朴水




ひろはあまな



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４月 １２日

　　　　　　　　　　　　（　利休梅　）


利休梅五十はつねの齢ならず 　　　　　　　　　石田波郷


利休梅その下蔭の好もしき 　　　　　　　　　　後藤夜半


利休梅死の齢まだ見えて来ず 　　　　　　　　　矢島渚男






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小流れの水鳴るほとり利休梅　　　　　　　　　　横井美音


日差し来て白透きとほる利休梅　　　　　　　　　金田義子


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４月 １１日

　　　　　　　　　　　　　（　地獄の釜の蓋・きらんそう　）



伊賀に来て摘めり地獄の釜の蓋　　　　　　　　　　栗田やすし




（　西洋十二単　）


地の果ての崎に地獄の釜の蓋　　　　　　　　　　　国枝隆生


円墳に地獄の釜の蓋繁る　　　　　　　　　　　　　林　尉江


東大に咲くや地獄の釜の蓋　　　　　　　　　　　　牧野一古


円墳の裾に地獄の釜の蓋　　　　　　　　　　　　　若山智子




（　十二単　）



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