9月 10日

2017-09-10 04:36:40 | Weblog
          (   葛・葛の花・真葛・真葛原・葛かずら  



伊良湖岬蔓引けば寄る葛の花         栗田やすし



葛の蔓ひたすら垂れて地を探す        沢木欣一



葛咲いて紙漉谷をおほふかな         細見綾子



丹波路の川を狭めて葛咲けり         岸本典子



土手高き火薬庫跡や葛盛ん          都合ナルミ  



刈り伏せて葛の匂へり狼煙崎         若山智子



葛の花牛に食はれてしまひけり        竹中和子



葛匂ふむかし一揆のありし地よ        小島千鶴



天ぷらにすと摘み来たる葛の花        夏目悦江



葛の葉や倶利伽羅峠雲奔る          石崎宗敏



花葛にがんじがらめの丸太橋         長谷川秋子



葛咲くや湯けむり競ふ渓二つ         手島靖一



凶作田鴉に葛の花ざかり           飯田龍太
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9月 9日

2017-09-09 14:47:10 | Weblog
              (  竜胆・りんだう・龍胆  )



阿弥陀仏山りんだうの供へあり            細見綾子



病む色ぞ霧が看とりの濃りんだう           秋元不死男



壺の口いつぱいに挿し濃竜胆             川崎展宏



鎖場の岩に張りつく蔓竜胆              国枝洋子



月山の雨に竜胆色深む                伊藤克江



岩滑り落つる水透く濃竜胆              山 たけし



木道に憩ふ老婆や濃りんだう             滝沢昇二



りんだうの束ごと並べ母の葬             服部萬代



竜胆を跨いで行きし修道女               藤平寂信



子へ供華のりんだう浸す山の瀬に            及川 貞


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9月 8日 (白露)

2017-09-08 02:31:49 | Weblog
                (  白露  )


(処暑の跡15日目、9月8日頃) 二十四節気十五節
「大気が冷え込む季節で、草や花の葉に白い露が落ち始める 頃」という意味を持つ暦



本棚に古白遺稿や白露の日               栗田やすし



漬梅の紅のひと粒白露の日                飯田龍太



命名の筆をおろしぬけふ白露              小田二三枝



白露かなミサの歌ごゑ昂ぶるに              笹沼秀夫



空海の霊泉を汲む白露かな               長崎眞由美



髪染めて出稽古に行く白露の日             小島千鶴



山畑に人影動く白露かな                中川幸子



城仰ぐ句碑に白露の風渡る               尾関佳子



墨の香に部屋を潤す白露かな              松平恭代



白露かなミサの歌ごゑ昂ぶるに              笹沼秀夫



鐘の音の湖にひびける白露かな             関根近子



蔵壁を白露の夕日移りゆく               清水弓月
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9月 7日

2017-09-07 18:47:15 | Weblog
           (  数珠玉・ずずだま・とうむぎ  



数珠玉を政子産湯の井にこぼす          栗田やすし



数珠玉や野川ここより北へ急く           石田波郷



数珠玉の結び初めたる隠れ井戸           呉屋菜々



数珠玉を一輪挿しに鴫立庵            下里美恵子



数珠玉を押し分けて乗る潮来舟           都合ナルミ



おかつぱの掌に光りたる数珠の玉          菊池佳子



数珠玉や川風通る糸干場              関根近子



数珠玉や湧き水の鳴る寺の径            漆田一枝



数珠玉は刈り残されぬ土堤の腹            石塚友二
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9月 6日 (綾子忌)

2017-09-06 03:11:19 | Weblog
              (  綾子忌・綾子の忌  )



今もなほ師の手の温み綾子の忌          栗田やすし



綾子の忌壷に高きは吾亦紅            滝沢伊代次



綾子忌の風に穂をあぐ藍の花           鈴木千恵子



珠洲焼に秋海棠活け綾子の忌           前 孝治



棗の実雨に色づく綾子の忌            栗田せつ子



棗もぐ空の青さよ綾子の忌            都合ナルミ



奈良百句写し終へたり綾子の忌          青木しげ子



吾亦紅ひとつ紅濃き綾子の忌           国枝洋子



犀川にかはせみ飛べり綾子の忌          矢野愛乃



綾子忌や句碑の温みを手の内に          河原地英武



みそはぎを一輪挿に綾子の忌           近藤文子 






              女身仏に春剥落のつづきをり        細見綾子
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9月 5日

2017-09-05 03:50:46 | Weblog
             (  鰯雲・鯖雲・鱗雲  )



朝晴れて空を平らに鰯雲            栗田やすし



墓はみな地に垂直に鰯雲            沢木欣一



北陸や雨あといわし雲が出て          細見綾子



鰯雲日かげは水の音迅く             飯田龍太



舟を吊る輪中の軒や鰯雲            伊藤範子



夕焼けの一鱗づつやうろこ雲          鈴木みや子



誓子見し隠岐の果てまで鰯雲          国枝隆生



出港の吹奏楽やうろこ雲            武藤光晴



いわし雲プラハに多き石の塔          つのだひろこ



鰯雲はたらく人を地に撒ける           福永耕二



猿島の猿が囃せり鱗雲              富田潮児


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9月 4日

2017-09-04 02:37:28 | Weblog
            (  露草・蛍草・月草・青花  )



露草が咲きひろがりて水と空           細見綾子



露草も露のちからの花ひらく           飯田龍太



青花摘む朝の光を摘むごとく            大串章



くきくきと折れ曲りけり蛍草            松本たかし



露草へ寝かせて洗ふ石地蔵            武田稜子



つゆ草や新聞少年笑み返す            加藤百世



露草やポスト食み出す日刊紙           森垣昭一



露草の藍はればれと眼の癒ゆる          鈴木みや子



露草や百観音はみな伏目             森 靖子



露草の露をいただく土佐硯             黒田杏子



童女ゐて青花けふが摘みはじめ           下田 稔
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9月 3日

2017-09-03 04:31:10 | Weblog
             (  鳳仙花・爪くれない・つまべに・つまぐろ  



鳳仙花赤散る雨の降りはじめ         細見綾子



鳳仙花はぜる木曽路の細格子         上田千登子



鳳仙花がくれに鶏の脚あゆむ          福永耕二



蛸壺に海女の育てし鳳仙花          長江克江



病癒え髪梳く母や鳳仙花           田畑 龍



荒磯の風に弾けし鳳仙花           小原米子



鳳仙花自我に目覚めし少女の眼        上村龍子



鳳仙花襁褓干しある島の路地         内田陽子



降り足らぬ砂地の雨や鳳仙花          杉田久女
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9月 2日

2017-09-02 03:54:13 | Weblog
             ( 瓢箪・ふくべ・ひさご・へうたん・青瓢 )


青ふくべ漁師の町の共同湯              栗田やすし



瓢箪の尻に集る雨雫                  棚山波朗



抱く嬰の日毎に重し青ふくべ              奥田恵美



瓢揺れ風やはらかき陶の里              砂川紀子



小瓢箪八坂の路地の古格子              岡田佳子



裏山に廟のしづもる青瓢               鈴木みや子



丸刈りの少年棋士や青ふくべ             中野一灯



瓢の実や舞子が習ふ英会話              小長哲郎



遅れても急がぬ子なり青ふくべ             菅原哲男



島住みや長く短かく青瓢                辻 桃子  
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9月 1日

2017-09-01 02:40:19 | Weblog
            (  風の盆  )

今日9月1日から3日まで富山県八尾で行われる行事
風の神を鎮め豊作を祈り,胡弓の音にあわせて越中おわら節を躍る男踊り,
女踊りの艶やかさは必見です



膳運ぶ長き袂や風の盆            細見綾子



街裏に瀬波の白き風の盆           沢木欣一



網笠を買ふて加はる風の盆          山口登代子



踊りの手ひらひら進み風の盆          福田蓼汀



節回す風の盆唄泣くやうに           藤田真本子



編笠に後れ毛靡く風の盆           坪野洋子



風の盆果てたる闇に水の音          奥山ひろみ



雪洞の灯のやはらかし風の盆         武藤光晴



少年が真顔で踊る風の盆           沢田充子



風の盆踊り果つ娘の幼顔           只腰和子



町筋はむかしの暗さ風の盆          山崎千枝子




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