11月 10日

2017-11-10 04:21:51 | Weblog
                (  実南天・南天の実  )



船倉の壁に影濃き実南天            栗田やすし



南天の実に惨たりし日を憶ふ           沢木欣一



ふるさとに南天の実と石路の花          細見綾子



実南天鴎外旧居北向きに             松崎鉄之介



実南天町家に残る屋敷神             日野圭子



艶やかや馬籠峠の実南天             角田勝代



実南天蔵に出入りの藁草履            栗田せつ子



酢の倉の庭に鳥居や実南天            幸村志保美



表札の墨褪せてをり実南天            山 たけし



四間道の低き軒端に実南天            伊藤登美江



実南天綾子生家に蔵二つ             熊谷タマ



とやかくの家相を払ふ実南天           能村登四郎



存命の父母を軽んず実南天            正木ゆう子



実南天十二神将眉あげて             野澤節子
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11月 9日

2017-11-09 04:25:58 | Weblog
                 (  蜜柑・密柑山・蜜柑舟  )



食卓のみかんに日さす母の家         細見綾子



保線詰所窓に蜜柑を並べあり         沢木欣一



蜜柑盗みに山猿がくる雨がくる        秋元不死男



漓江下る船に寄りくる蜜柑売り        栗田せつ子



日暮れまで草焼く煙みかん山         白鳥光江



蜜柑選る梁に電球付け足して         伊藤範子



石組の高き輪中のみかん小屋         澤田正子



人の名の思ひ起せず蜜柑むく         上杉和雄



蜜柑摘む湖の日ざしを背に受けて       鈴木真理子



水軍の島より蜜柑船出づる           坂本孝子



のこりものに福あるみかん一つかな       久保田万太郎
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11月 8日

2017-11-08 04:34:44 | Weblog
               (  山茶花  )



烈公の蟄居の庭や白山茶花              栗田やすし



山茶花に遺影の眼鏡はし光る             沢木欣一



山茶花は咲く花よりも散つてゐる           細見綾子



山茶花に入日を惜しむ時津風             飯田蛇笏



山茶花の闇へ火を噴く登り窯             朝生孝子



山茶花の白こぼれつぐ瑠璃光寺            福田邦子



湯けむりに濡れて山茶花艶めけり           前田昌子



散り敷きてなほ山茶花の花盛り            熊澤和代



山茶花の冷たさに触れ父を恋ふ            倉田信子



山茶花や縁切状の女文字               矢野孝子




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11月 7日 (立冬)

2017-11-07 03:27:27 | Weblog
            (  立冬・冬立つ・今朝の冬・冬に入る  )



冬に入る照れる所に水捨てて            細見綾子



師と並び反古焚きし庭冬に入る           栗田やすし



立冬のことに草木のかがやける           沢木欣一



顔に水押しあて洗ふ今朝の冬             鷹羽狩行



撒餌して雀呼びけり冬立つ日            梅田 葵



手の甲に伸ばすクリーム今朝の冬          太田滋子



風紋にわが影長し冬に入る             栗田せつ子



立冬やブーツで歩く石畳              関根切子



誓子見し沖にタンカー冬に入る           国枝隆生



立冬や老いたる母の水仕事             伊藤旅遊



ガスの炎の力揃ひて冬に入る             岡本眸



この湖の蜆美し今朝の冬               村山故郷  
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11月 6日 (酉の市)

2017-11-06 03:19:34 | Weblog
              (  酉の市・熊手市・おかめ市  )


今年の酉の市は一の酉(6日)二の酉(18日)三の酉(30日)
昔から三の酉がある年は火事が多いと言われています
浅草の大鷲神社では三の酉の日にだけ火除けのお札が授与されます




一の酉てのひらほどの熊手買ふ       栗田やすし



昔より江戸美しき酉の市           深川正一郎



板前は教へ子なりし一の酉          能村登四郎



呼び声のすでに掠れて一の酉         関根切子



お多福の一人笑や酉の市           酒井土子



大熊手かざしてくぐる仁王門         谷口千賀子



リヤカーに熊手積みゆく酉の市        菊池佳子



ほろ酔うて担ぐ熊手の弾みをり        板谷芳子



裸火に熊手の千両箱光る          佐藤とみお



一の酉過ぎて蕎麦湯の淡き味         吉田鴻司



酉の市少し離れてけとばし屋         町田しげき



丼をはみ出す海老や酉の市           こころ




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11月 5日 (欣一忌)

2017-11-05 04:29:30 | Weblog
            (  欣一忌・沢木欣一の忌・風木忌  )  


灰皿に三粒の棗欣一忌             栗田やすし



欣一忌すぎて冬めく下駄の音          栗田せつ子



子を連れて大白鳥来欣一忌           近藤文子



今日からは熱燗がよし欣一忌          都合ナルミ



糸ほどの月が低きに欣一忌           矢野孝子



欣一忌書棚に辺戸の蘇鉄の実          国枝隆生



艶極む南天の実や欣一忌            佐藤とみお



欣一忌野に月桃の実のはじけ          砂川紀子



欣一忌雨に滲める断腸花            小野千恵子



竹藪の静かな朝よ欣一忌            矢野愛乃



南天の少し色づく欣一忌            武藤光晴
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11月 4日

2017-11-04 03:50:46 | Weblog
             (  暮の秋・秋暮るる・暮秋  )



渡し舟櫓音きします暮の秋           栗田やすし



暮の秋きびしく白き薔薇咲ける         細見綾子



うす虹をかけて暮秋の港かな          飯田蛇忽



大蛸の乾きて島の秋暮るる           梶山千鶴子



暮の秋チャイナタウンに栗焼く香        倉田信子



がま飾るだらすけの店秋暮るる         河合義和



とどまれば風が追ひ抜く暮の秋         梅田 葵



去り状に滲む一文字暮の秋           内田陽子



幾度も名を問ふ母や暮の秋           高橋ミツエ



朴葉味噌熱く暮秋の飛騨に泊つ         石原舟月



老母の硬き爪切る暮の秋            甲斐すず江
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11月 3日 (文化の日)

2017-11-03 04:28:32 | Weblog
                (  文化の日  )



筆立に天眼鏡や文化の日              栗田やすし



地下街に鮮魚鮮菜文化の日              鷹羽狩行



路地に住む人間国宝文化の日             日比野睦子



炭の粉に汚れ文化の日の父よ             菖浦あや



折紙の文化勲章文化の日               河村恵光



校長が餅の手返し文化の日              長崎眞由美



文化の日古紙回収の車過ぐ              片山浮葉



老眼鏡でさがす「鬱」の字文化の日          篠田法子



外つ国の船の汽笛や文化の日             武藤光晴



声援に忘れし台詞文化祭               花村富美子



文化の日小銭とび散る石畳              飯田龍太



ゆるぎなき師をわれ持てり文化の日          町田しげき
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11月 2日

2017-11-02 03:38:47 | Weblog
               (  自然薯・山の芋・とろろ汁  )



山の芋摺りしすりこぎ谷水に           沢木欣一



箱詰の自然薯を売る砂丘茶屋           栗田やすし



新藁に埋もれて着きし山の芋           細見綾子



山の芋供へてありぬ閻魔堂             滝沢伊代次



自然薯を掘る陶工の日曜日            都合ナルミ



とろろ汁すする旅籠の奥座敷           小島千鶴



自然薯の髭のとび出す薦包み           清水弓月



二人居の会話虚しやとろろ汁           菊池佳子



ゆすぶつて動ぜぬ石や自然薯掘る          上村占魚



山の芋摺りゐて母のなつかしき           藤野美恵子



くらくなる山に急かれてとろろ飯          百合山羽公




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11月 1日

2017-11-01 04:17:13 | Weblog
                 (  初鴨  )



初鴨に声かけてゐる旅の妻            栗田やすし



なにげなく見ゆ初鴨の一たむろ           松村蒼石



初鴨といへども陣の乱れざる            鷹羽狩行



雨しぶく登呂の荒田へ初の鴨           矢野孝子



初鴨の着きしばかりや結びの地          近藤きん子



初鴨に水のきらめく舟付場            長江克江



鴨来たる万博会場跡の池             中山敏彦



鴨来るや盆栽棚をがつしりと            波多野爽波



綺羅なして初鴨の着く最上川            松崎鉄之介



初鴨を消して宍道湖ざんざ降り           百合山羽公
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