12月 21日

2017-12-21 04:23:06 | Weblog
                 (  鰤・寒鰤・鰤揚げ場  )



水槽にゐて寒鰤のあらはなり        栗田やすし



鰤あげ場提灯をどる男の肩          細見綾子



年取の大鰤梁につるしたり          滝沢伊代次



だみ声を張つて初鰤糶り落す        篠田法子



寒鰤や北陸日和はやくづれ         石原筑波



寒鰤の跳ねて市場の水たたく        山たけし



皺の手で大鰤捌く朝市女          武藤光晴



寒鰤のかま断つて出刃曇りけり       大島知津



三尺の鰤熨斗つけて売られをり       市原美幸



寒鰤のうろこを剝がす金束子        森 靖子



二三言言ひて寒鰤置いてゆく         能村登四郎



鰤敷に八重の高浪たゝみ来る         鈴鹿野風呂




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12月 20日

2017-12-20 04:38:05 | Weblog
                (  毛糸編む・毛糸玉  )



毛糸編む母にまつはりゐたるかな         栗田やすし



毛糸編む冬夜の汽笛吾れに鳴り           細見綾子



ルノアルの女に毛糸編ませたし           阿波野青畝



病む夫の寝息しづかや毛糸編む          鈴木真理子



振り向かせたくて転がす毛糸玉          中本紀美代



諍ひし妻黙々と毛糸編む             渡辺慢房



青年の指たをやかに毛糸編む           稲石治子



仲直りしたくて毛糸編んでをり          黒木純子



毛糸編む母の匂ひを身ほとりに          掛布光子



節くれの指生き生きと毛糸編む          高岸弘子



母の年越えて十年毛糸編む            関根近子



みどり児の寝顔のぞきて毛糸編む         橋元信子



白指も編棒のうち毛糸編み             鷹羽狩行



いつの間にか遠くにありぬ毛糸玉          谷口桂子



港で編む毛糸続きは故郷で編む           大串章



     おかげさまで今日でブログ開設4500日目となりました  
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12月 19日

2017-12-19 04:46:37 | Weblog
                 (  冬苺・寒苺  )



春雷句碑蔓ごと供ふ冬苺          栗田やすし



山歯朶に添へたる赤き冬苺         細見綾子



裏山に轟く沢や冬苺            矢野愛乃



冬苺弁当箱に持ち帰る           鈴木華子



冬苺一粒づつに日のぬくみ         牧 啓子



寒いちご親子四人の匙の音          福永みち子



冬苺引けば枯山やや動く           野沢節子



道かへて母を見舞ひの寒苺          金子 潮



波荒れてゆらぐ利島や冬苺          水原秋櫻子



嫁ぐ娘とつぶす銀匙冬いちご         楠本憲吉




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12月 18日

2017-12-18 05:34:54 | Weblog
                  (   冬牡丹・寒牡丹  )



もの焚けば綾子師のこと寒牡丹       栗田やすし



寒牡丹かすかな息を苞の内         細見綾子



地の冷えに牡丹花びらこぼさざる      沢木欣一



花びらに風のさざ波寒牡丹         梅田 葵



冬牡丹散りしく土の匂ひたり        倉田信子



藁内に漲る気息寒牡丹           下里美恵子



逃げ易き窯場の日差し寒牡丹        八尋樹炎



裏山にまはる陽射しや寒牡丹        松原英明



被せ藁の頭に雪残る寒牡丹         荻野文子



寒牡丹苞の奥まで日の差せり        河井久子



敷藁に湯気の立ちゐる寒牡丹        森田とみ



念力のややに傾ぎし冬牡丹          山田弘子



冬牡丹格子戸暗き民芸館           遠藤比呂志



日と月のごとく二輪の寒牡丹         鷹羽狩行







義母への献句

 昨日葬儀を済ます 二月の母・三月の義父に続き十三日に義母
 一年に三人の親を亡くしました

   寒波急母につながる管幾つ

   冬牡丹今朝は冷たき母の頬

   寒紅や湯灌の母のやすらけし      こころ
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12月 17日

2017-12-17 05:53:27 | Weblog
                  (  浅草羽子板市  )


 今日17日から19日の3日間浅草浅草寺境内で恒例の羽子板市が
たちます。江戸時代もともとは歳の市として浅草観音に限られた行事で
納め観音にあたる12月17,18日に開催されたもの。今では羽子板市
が前面に紹介されていますが,正月飾りなども売られていたそうです
現在本堂裏でガサ市として15~28日くらいまで正月飾りが売られています。

羽子板はご承知の通り、女の子の初節句に「邪気を祓う板」とした起源が
あります。三十数年まえにわが娘の為に買った普通の大きさの羽子板が
1万円以上でしたから、今の値段はわかりません。でもきっと高価でしょう
お土産のお勧めは追羽根です。この羽についている黒い玉は、「 無患子」
(むくろじ)という大木の種です。     
読んでの ごとく「子が患わ無い」(こがわずらわない)という意味で、
縁起の良い名前です



観音へ羽子板市を抜けて来し            下里美恵子



羽子板市手締めの声のよく透る           中山敏彦



羽子板市富樫弁慶睨み合ふ             伊藤範子



うつくしき羽子板市や買はで過ぐ           高浜虚子



羽子板市三日の栄華つくしけり            水原秋櫻子



いくさあれど羽子板市につれだてる          森 光子



よその子に買ふ羽子板を見て歩く           富安風生



羽子板市ダイアナ頭上もまれゆく           大槻和木



青空の一枚天井羽子板市               鷹羽狩行



羽子板市切られの与三は横を向き           石原八束



羽子板市買ふひとを見る遠まきに           谷口桂子



羽子板市片割れ月も明治ぶり             林 翔



似顔みな紅さし灯る羽子板市             長谷川かな女





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12月 16日

2017-12-16 04:14:24 | Weblog
               (  鋤焼・鍋焼・鍋料理・寄鍋  )



鴨鍋を囲み水郷巡りかな           栗田やすし



舌焼きてなほ寄鍋に執しけり          水原秋櫻子



さくら鍋箸やすめれば噴きこぼれ        檜 紀代



ちり鍋や奉行の下知は国ことば        伊藤旅遊



刻み葱盛れるだけ盛りどぜう鍋        矢野孝子



職決めし子と牛鍋を囲みけり         太田滋子



榾足して蒟蒻鍋の吹きこぼる         谷津政子



灯の入りて鬼平居さふな鴨鍋屋        篠田法子



牛鍋や明治の村の吊ランプ          江口ひろし



突つかけで牛鍋の具を買ひ足しに       山下 護



鍋焼の花麩好みし母たりし          鈴木真理子



猪鍋食ひ山路の闇をおそれけり         大串章



すき焼の豆腐へばかり老の箸          加来ふさえ




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12月 15日

2017-12-15 04:27:29 | Weblog
              (  襤褸市・ぼろの市  )



ぼろ市の由緒くはしき河童の図         有馬朗人



ぼろ市の叩いて鳴らす鳩時計          大谷長平



ぼろ市を流され歩む深帽子           鍵和田釉子



ぼろ市に売る軍服の金ボタン          石根切子



並べ売るマリアと仏ぼろの市          幸村志保美



ボロ市や鈍き光の銀食器            鈴木みすず



鐘馗さま路地に腕くむ襤褸の市         佐藤喜美子



ぼろ市に若きひばりのブロマイド        佐藤とみお



一書欠く花の図鑑やぼろの市          森垣一成



刀剣の目利き談議やぼろの市          松原和嗣



襤褸市や銀のピアスの量り売り         奥山ひろみ



ぼろ市のランプ灯して売られけり        こころ



ぼろ市の木魚と坐る嫗かな           水原春郎



ぼろ市のピカチユウは日をひとり占め      小原希世

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12月 14日

2017-12-14 04:47:56 | Weblog
              (  煤払・煤籠・煤逃げ・煤日和  )



煤籠書架の土鈴を鳴らしみる        栗田やすし



上野より富士見ゆる日や煤払ひ       沢木欣一



煤逃げの選句電車にしてゐたり        茨木和生



行き場なき張子の虎や煤払ひ        上杉和雄



煤逃のハングライダー鳶の上        磯田なつえ



勤王の志士の本持ち煤逃す         河原地英武



人寄りて無人駅舎の煤払ひ         中村たか



畳打つ竹よく撓ふ煤はらひ         高橋ミツエ



煤逃げや床屋の熱き蒸タオル        小長哲郎



ボサノバを聞きつつ書架の煤払       牧野一古



煤払ひ母の遺影に声をかけ         只腰和子



すす竹の笹千切れ舞ふ大手門        廣島幸子



捨てられぬ書に書を重ね煤はらひ       こころ



煤払車磨いて終りけり            小松和子



むつかしや何もなき家の煤払         夏目漱石
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12月 13日

2017-12-13 05:01:00 | Weblog
               (  雪蛍・綿虫・雪虫・雪婆・大綿  )



掌にのせて綿虫吹けば抗へり         栗田やすし



雪蛍宝物殿を出でたれば           細見綾子



捕へんとすれば高みへ雪蛍          河原地英武



雪婆ばんばと呼ばれ漂へり           長谷川双魚



綿虫の手より逃れて母在らず         国枝隆生



わが指へ綾子句碑より雪蛍          栗田せつ子



雪蛍舞ひをり友の手術の日          鈴木みすず



大綿やガス燈ともる坂の町          国枝洋子



雪虫や目鼻潰えし道祖神           武藤光晴



綿虫の籠大仏の膝に舞ふ           石崎宗敏



掬ひたる綿虫の綿ほの青し          櫻井節子



綿虫や木曽路の暮色踏み急ぐ         中野一灯



身じろがぬ牛の鼻先雪螢           小田二三枝



綿虫といふ日がさせば消ゆるもの        今瀬剛一



語らふも物語らふも雪婆            佐々木六戈
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12月 12日

2017-12-12 04:28:46 | Weblog
                  (  冬芽・冬木の芽・冬萌  )



冬木の芽震はせ雀とび移る          河原地英武



冬萌えに垂れてとどかず縄梯子         鷹羽狩行



文具屋に子が充ち桐の冬芽立          岡本眸



梧桐の冬芽まつかや被爆の地         都合ナルミ



三椏の冬芽の尖る和紙の里          今泉久子



曇天に沙羅の冬芽のほつほつと        小島千鶴



北窓に桜冬芽や川番所            岡野敦子



冬芽立つ古窯の裾の幣辛夷          長江克江



空青し白木蓮の冬芽立つ           石川紀子



飛鳥寺沙羅の冬芽のこぞり立つ        上田博子



里山は水音ばかり冬木の芽          利行小波



はくれんの冬芽びつしり秋篠寺        巽 恵津子



もくれんの冬芽や金の綿帽子          こころ



リラ冬芽ねがはくは一房の花を         山口青邨



冬萌や五尺の溝はもう跳べぬ          秋元不死男




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