12月 11日

2017-12-11 04:48:19 | Weblog
               (  冬木・冬木立・冬木宿・冬木道  )



巣箱一つ子規の小庭の冬木立         栗田やすし



乳牛をつなげば高し桐冬木          細見綾子



歳月の獄忘れめや冬木の瘤           秋元不死男



冬木立野仏の顔粗削り            加藤ノブ子



落日に犬の遠吠え冬木立           中山敏彦



いつまでも見ゆる葬列冬木立         矢野孝子



板壁に冬木の影や版画館           奥山ひろ子



サックスの音色抜け来る冬木立        藤本いく子



冬木立透かして青き尾張富士         橋元信子



発掘の礎石転がる冬木立           河合義和



三日月の尖り鋭し冬木立           渋谷さと江



残照や枝広げたる冬木立           高橋幸子



わが凭れる冬木ぞ空の真中指す         八木絵馬



堕ろし来て妻が小さし冬木立          吉田鴻司



港より一すぢ続く冬木立            高木晴子
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12月 10日

2017-12-10 05:49:39 | Weblog
                (  焚火・落葉焚  )



焚火して小学校の屋根普請          栗田やすし



崖上の食後の焚火犬も居て          沢木欣一



船焚火消えぬ火の粉に水暗し         細見綾子



しばらくは焚火に酔ひを醒ましをり      河原地英武



一人退き二人よりくる焚火かな         久保田万太郎



村中を煙らせ寺の落葉焚           森 靖子



焚火して待つ藍染めの寒晒し         丹羽康碩



焚火して九官鳥と話しをり          磯田なつえ



流木の燃え止し匂ふ焚火跡          中野一灯



母遠し藁の匂ひの焚火あと          山 たけし



白き手の病者ばかりの落葉焚          石田波郷



穴釣の小さな焚火匂ひけり           坂巻純子



雇用票手に車座の焚火かな           こころ
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12月 9日

2017-12-09 04:05:37 | Weblog
                   (  寒椿・冬椿  )



退院の妻寒椿眺めをり             栗田やすし



寒椿朝の乙女等かたまりて           沢木欣一



ふるさとは風の中なる寒椿           入船亭扇橋



冬椿仰ぎて伊豆の寺にあり           深見けん二



児が拾ふ落ちしばかりの寒椿          丹羽康碩




床の間に賽の河原絵ふゆつばき         岡田佳子



寒椿涙の夫を見てしまふ            山口茂代



緑濃きねねの打ち掛寒椿            小木曽フジヱ



介護誌の永久の余白や寒椿           鈴木真理子



大杉の影に散り敷く寒椿            牧田 章



幹太し祖父が手植ゑの寒椿           蔭山玲子



寒椿持てば浅草オペラ湧く           秋元不死男



葉籠りの花の小さきは冬椿            清崎敏郎







       雪つばき
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12月 8日

2017-12-08 04:55:05 | Weblog
              ( 開戦記念の日 ) ( レノン忌 )


1941(昭和16)年12月8日、日本軍がハワイ・オアフ島・真珠湾のアメリカ軍基地を
奇襲攻撃した日「ニイタカヤマノボレ1208」は奇襲攻撃の暗号電報として残された
また 1980年のこの日、ビートルズのジョン・レノンが自宅前で熱狂的なファンに撃たれ
亡くなった



開戦の日や喪の菓子を提げて来し          栗田やすし



十二月八日の空の濁りなし              片山由美子



開戦の目に沁むばかり冬菜の霜           田川飛旅子



痛きほど絞る雑巾開戦日              河原地英武



鎮魂の錨赤錆ぶ開戦日               佐藤とみお



晴れ渡る冬青空よ開戦日              豊田紀久子



風孕むハングライダー開戦日            武藤光晴



十二月八日の青い魚買う               鷲見緑郎






レノン忌や葉の散る音も楽なりと           橋本榮治



ジョン・レノン忌の喉元を刺す朝日          高野ムツオ



レノン忌の更けてまたたく枯木星           矢野孝子



レノンの忌沖へ出てゆく時雨雲            牧野一古



レノンの忌なりGパンの生乾き             内田美紗



ハミングに殖ゆる綿虫レノンの忌           角谷昌子
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12月 7日 (大雪)

2017-12-07 04:08:17 | Weblog
                  (   寒桜・緋寒桜  )



緋寒桜一輪咲きしのみの空          栗田やすし



寒桜くれなゐ濃きを逝きたまふ         細見綾子



緋寒桜ちる沖縄を終の地に           八牧美喜子



いつまでも咲いてさびしゑ寒ざくら       石原八束



紅濃ゆき緋寒桜や瞽女の墓          夏目悦江  



咲き始めとも終りとも寒桜          小長哲郎



寒桜をちこちに咲く官幣社          巽 恵津子



淡々と山より昏るる寒桜           利行小波



緋寒桜ほうと見とれて雪国びと         中山純子



山懐に溜る貨車音寒桜             鍵和田釉子



富士を客山この庭の寒ざくら          鷹羽狩行



寒桜人もをらずに咲きにけり          大峯あきら




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12月 6日

2017-12-06 04:24:45 | Weblog
                  (  冬桜  )



久遠寺の庭にかそけき冬桜         栗田やすし



冬桜野の梅よりも疎なりけり         沢木欣一



涵徳亭はや灯点りし冬桜           清崎敏郎



人住まぬ庭に咲き満つ冬桜         中山敏彦



戦闘機低く飛ぶ町冬桜           国枝隆生



読経果て静もる寺や冬桜          牧 啓子



しづもれる湖東三山冬ざくら        栗生晴夫



秩父路の札所巡りや冬ざくら        花村すま子



冬桜淡々として影持たず          上田博子



嫋やかな吉祥天画冬桜           小原米子



冬桜三十畳を拭きあげて          夏井いつき



冬ざくら一枝に一花一蕾          岸田稚魚
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12月 5日

2017-12-05 03:35:44 | Weblog
              (  蒲団・掻巻・蒲団干す  )



海晴れて防潮堤に干し布団          栗田やすし



蓮田より日にふくれたるふとん見ゆ      細見綾子



村々を眺めて叩く冬布団            飯田龍太



鰯干す匂の中に蒲団干す            後藤比奈夫



潮錆びの伊根の舟屋や布団干す        福田邦子



蒲団干す姥捨山の真向かひに         都合ナルミ



日の匂ふ蒲団に寝落つ母の家         豊田紀久子



干蒲団並ぶベランダ子沢山          小長哲郎



ふとん干す軒先低き佃路地          谷口千賀子



筑波嶺の朝日に向かひ蒲団干す        岩上登代



明日嫁ぐ子の蒲団干す日和かな        若山智子



故郷の重き布団に潜り込む          八尋樹炎



朝市の川原隔てて布団干す          二村美伽



坊つちやんの湯の座布団に猫眠る       神谷洋子



なつかしき炬燧蒲団の木綿縞          富安風生



干蒲団瓦の波をちよと滑る           阿波野青畝



 


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12月 4日

2017-12-04 04:15:44 | Weblog
                      (  雪吊  )



雪吊りの声してゐたり母の家          沢木欣一



雪吊のはじめの縄を飛ばしけり          大石悦子



雪吊の加賀ぶりと思ふ縄の張り          能村登四郎



吊り終へし松離れ見る雪吊師          丹羽康碩



湯煙りに雪吊りの縄ゆるびたる         栗田せつ子



雪吊の影濃し白鳥供養の碑           都合ナルミ



雪吊りの乾きてゆるぶ晴れつづき        岸本典子



余り縄風に吹かせて雪吊師           武藤光晴



雪吊の鉾を支へし加賀の空           武田稜子



天領や雪吊りの縄弛びなし           山本光江



雪吊の縄ゆるぎなく翳りなく          伊藤範子



雪吊の空の青さや絵解寺            奥山ひろ子



雪吊に北国の蝶まつはりぬ            阿波野青畝



雪吊の縄ささくれて雪を待つ           片山由美子



雪吊や椿百花をこぼさずに            森澄雄





   < 六義園の雪吊 >
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12月 3日

2017-12-03 05:05:52 | Weblog
              (  霜・霜の花・はだれ霜・強霜・霜だたみ・霜どけ  



日の出待つ霜の藁塚地に充てり         沢木欣一



師は遠し白鳥句碑に霜の花           栗田やすし



霜の小石拾ひて供ふ石仏に           細見綾子



霜柱踏めばひかりのちりぢりに         梅田 葵



産声待つ霜夜の廊下行き来して         矢野孝子



職引いてぽつぺん鳴らす霜夜かな        国枝隆生



窯出しの皿の音澄む霜夜かな          八尋樹炎



寒天田まで敷板に霜の花            市原美幸



霜どけの湯気の盛んやトタン屋根        熊澤和代



風木舎跡に短かき霜柱             国枝洋子



手で払ふテントの霜や深山晴          中野一灯



霜柱大き田螺を持ち上ぐる           青木しげ子



休み田の霜のまぶしき朝かな           こころ 



霜柱俳句は切字響きけり             石田波郷 



霜柱顔ふるるまで見て佳しや           橋本多佳子 








こちらは植物の霜ばしら草、シソ科の植物では、初冬の冷え込みの厳しい朝などに、
茎の道管を通じて土中の水分が輸送され、表皮を押し広げるようにして
外側へ向かって霜柱状の氷結がみられます。
関東以南の植物で、ころころの散歩道では朝9時以降には霜も解けて見られません
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12月 2日

2017-12-02 04:09:32 | Weblog
              (  枯蓮・蓮の骨・枯はちす  



鰻田につづく蓮田の枯れ尽くす          栗田やすし



暖かき枯蓮の色日暮れても            沢木欣一



夫婦住む平穏小池蓮枯らし            細見綾子



枯蓮のうごく時きてみなうごく          西東三鬼



山積みの蓮の骨焚く輪中村            国枝隆生



枯蓮田この静けさの身に及ぶ           鈴木みや子



夕ぐれの風吹けば鳴る蓮の骨           下里美恵子



枯蓮を焚く火走れり立田村            金原峰子



蓮枯れて水面の空の細切れに           伊藤範子



病み臥して聞く枯蓮の折るる音          森 靖子



己が影水面に見つめ蓮枯るる           金田義子



枯はちす音符のやうな影ゆるる          小澤明子



氷るには美しかりし蓮の骨             吉田鴻司



蓮枯れて晴れのむら雲姫路城            飯田蛇笏



蓮枯るる弁才天は燭あまた             山口青邨
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