4月 21日

2018-04-20 16:18:27 | Weblog
               (  あやめ草・菖蒲・白菖・文目・白あやめ )



母の文途絶えて久し白菖蒲            栗田やすし



白菖蒲風の離れるときゆらぐ           沢木欣一



あやめ見にゆくと女等裾つらね           細見綾子



花あやめ土手に子の声よく透る          池村明子



花あやめことばやさしき八瀬の宿         児玉美奈子



花あやめ手術控へし友見舞ふ           松平恭代



サッパ舟往き交ふ水路花あやめ          坂本操子



抽んでて夕鶴といふ白菖蒲            森 靖子



白菖蒲つぼみ解く風やはらかし          鈴木真理子



旅かなし紫あやめ野に咲けば            富安風生



あやめ草誰と知られぬ戀をして           筑紫磐井



月光に花びら傷め白あやめ             岡田日郎





          



          



           三寸あやめ
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4月 20日

2018-04-19 13:56:28 | Weblog
               (  牡丹・ぼうたん・牡丹園・夕牡丹  )



白牡丹しべをあらはにして崩る          栗田やすし



牡丹に広げし母の手織縞             細見綾子



地の冷えに牡丹花びらこぼさざる         沢木欣一



牡丹描く女片膝地に着けて            丹羽康碩



観音に百の献上牡丹かな             小栁津民子



墓訪はな母の牡丹の咲く頃に           都合ナルミ



白牡丹揺れ戻るときうすみどり          梅田 葵



ぼうたんへ吐息のごとき宵の風          矢野孝子



一刷けの風ぼうたんを崩しけり          谷口千賀子



子が父になりたる朝の白牡丹           福田邦子



時を告ぐ法螺のひびきや牡丹寺          立川まさ子



綾子師の牡丹十日といふが過ぎ          鈴木みや子



ぼうたんの終りの一花あでやかに         松本恵子



しろがねの雨こぼしけり白牡丹          平松公代







          



          






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4月 19日

2018-04-18 19:07:11 | Weblog
                 (  母子草  )



特攻の碑裏に小さき母子草            栗田やすし



石仏の嘆き聞く日ぞ母子草             秋元不死男



我ら知らぬ母の青春母子草             寺井谷子



廃屋の井戸の辺に咲く母子草           鈴木美登利



子規の間の縁先に萌ゆ母子草           矢野孝子



母子草小さきリュックに迷子札          小栁津民子



母子草童女入水の池の辺に            伊藤範子



丈草の別れの岩よ母子草             山下智子



母子草群れ咲く白鳳廃寺跡            市原美幸



闇のほか土偶は知らず母子草            柴田三津雄



母子草能に泣きたる帰り道             田川飛旅子



母子草母居る時の我が家好き            岡林知世子



          
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4月 18日

2018-04-17 15:37:00 | Weblog
               (  踊子草・踊草・踊花  )



踊子草咲きむらがれる坊の庭            山口青邨



一山に社寺をちりばめ 踊子草           伊丹三樹彦



揃はざる足音の過ぎ踊子草             岸田稚魚



村過る踊子草の短かさに              古舘曹人



踊子草萌え初む紫香楽宮趾かな           金田義子



踊子草咲き乱れたる無人駅             増田和代



乱れ咲く踊子草や夢二の居             田畑 龍



踊子草おけさの島は人減ると            上田五千石



踊子草かこみ何やら揉めてゐる           飯島晴子






          



            姫踊子草
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4月 17日

2018-04-16 19:24:57 | Weblog
              (  筍・笋・たかんな・竹の子  )



孤独の座筍煮れば青くさき             沢木欣一



筍の堀りすててあり芭蕉の道            細見綾子



筍の機嫌ななめに出でにけり            鷹羽狩行



磨崖仏前に筍掘りし跡               都合ナルミ



朝掘りのたかんなを提げ馬籠坂           山下智子



たけのこを猪の親子が食べにきし          片山浮葉



陶工の行き来せし径淡竹の子            梅田 葵



初掘りの筍かかげ山下り来             中村たか



たかんなの切り口白くしたたれる          伊藤範子



先づ深く筍飯の湯気を吸ひ             佐藤とみお



筍を抜けば伝はる地の温み             村井まさを



濡れしまま友のさし出す真竹の子          門村鈴子



念仏寺裏に筍掘りの声               小原米子



法被着てたけのこ売りや寺の庭           与後玲子





                   


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4月 16日

2018-04-15 18:16:03 | Weblog
              (  春蘭・ほくり・ほくろ・はくり  )



春蘭の花をコップに誕生日            細見綾子



春蘭を掘つて薬師の裏の山             森澄雄



春蘭の影濃くうすく昼しづか            桂信子



春蘭の和紙のごとくに花芽透く          中根多子



人送り来て春蘭に屈みたる            矢野孝子



春蘭の擡ぐ花芽や紅ほのか            近藤きん子



春蘭の塩漬け甘き香を放つ            山本悦子



指ほどの春蘭ひらく古窯址            伊藤範子



春蘭の蕾ふくらむうすみどり           中山ユキ



春蘭や実生の松にかこまれて            星野立子



春蘭や酒仙住みにし深廂              鷹羽狩行



春蘭や小瀧の多き裏高尾              水原秋櫻子



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4月 15日

2018-04-14 16:33:48 | Weblog
               (  花豌豆・豌豆の花・蚕豆の花・豆の花  )



町裏は川のはかなさ花豌豆             細見綾子



鉄線にからみ豌豆花奢る              沢木欣一



そら豆の花に大きな月上がる            小川軽舟



そら豆の花の黒き目数知れず            中村草田男



放哉さんと島人呼べり豆の花            下里美恵子



支柱ごと揺るる一畝花豌豆             市原美幸



口べたに活きて八十路や豆の花           朝比奈照子



幼子の泣きまね上手豆の花             渡辺かずゑ



落人の住みつきし里豆の花             八尋樹炎



母いつも畑のどこかに豆の花            金原峰子



オカリナのまろき音色や豆の花           国枝洋子



神主の小さき農園豆の花              武藤光晴



塩田の風に濡れゐる豆の花              こころ



朝富士へ蚕豆の花目をひらき             林 徹



豌豆の咲く土ぬくく小雨やむ             飯田蛇笏




          


           豌豆の花 ( 題画は蚕豆の花 )
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4月 14日

2018-04-13 19:08:52 | Weblog
               (  藤の花・藤棚・白藤・山藤  )



天心にゆらぎのぼりて藤の花           沢木欣一



ましらの子枝移りして藤揺らす          栗田やすし



藤はさかり或る遠さより近よらず         細見綾子



山藤の蔓のおどろに立ちすくむ          梅田 葵



山藤や白雲一つ浮きし空             武藤光晴



藤の雨人づてに知る師の病            玉井美智子



髪に触れ九尺藤の濃く匂ふ            森 靖子



宇治山の崖(きりぎし)染むる藤の花       山下善久



地を均す補欠の球児藤の花            荒川英之



藤浪の甘き香りや転た寝す            松永敏江



山藤や化石生家へ橋渡る             中村たか



山藤へ開く丹塗りの飛騨障子           篠田法子



泥団子児が丸めゐる藤の下            榊原千景



御岳の風に色濃し藤の花             長江克江



藤房や雨の雫の光りをり             今泉久子



五分咲きの藤に小雨の降り出せり         江本晴子



藤の花風止むときに色増せり           板谷芳子



藤伝ふ町家格子の深庇              小原米子



藤の寺曼荼羅餅に黄な粉つけ           長谷川郁代






          



          


          山藤
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4月 13日

2018-04-12 15:35:23 | Weblog
                いたどり・虎杖・さいたづま



          虎杖の吹かれてゐたり窯の裏          栗田やすし



          


          高原に風の抜け道花あけび            国枝洋子



          


          あんず咲く村に小さき消防車           鈴木みすず



          


          武家町に湯屋の暖簾や花蘇枋           中村たか



          


          三椏のあはあは咲いて影の濃し          牧野一古



          


          
青竹に雪柳挿す勝手口              佐藤とみお



          


          をがたまの匂ひ輪蔵まはるたび          こころ



















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4月 12日

2018-04-11 16:36:59 | Weblog
          花梨・榠樝


          父の忌や母とくわりんの花数ふ          栗田やすし



          


           駅までのこの道が好き花水木           岸本典子



          


          猩々袴のをさなきが咲き茂吉歌碑         清水弓月



          


          つぎはぎの長き木橋や二輪草           国枝洋子



          


          一人静揺れ咲く母の生家跡            中根多子



          


          富士望む棚田の畦の雉筵             山本法子















          


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