9月 21日

2019-09-20 17:15:18 | Weblog
             萩・白萩・こぼれ・萩の宿・萩の花



     驟雨来て瑠璃岩盤に萩散りぬ             沢木欣一


     白萩の触るるたび散る待ちて散る           細見綾子


     暗がりに子規の小机萩咲けり             栗田やすし


     丹波いま萩咲く頃か空青し              下里美恵子


     西行の井戸のにごりや萩の雨             矢野孝子


     筆となる鹿毛の温み萩の花              栗田せつ子


     円窓に萩見る寺の空青し               武藤光晴


     大寺の渡り廊下や萩の風               鈴木みすず    


     寺普請源平萩の散りはじむ              角田勝代


     白萩や磨き抜かれし殉国碑              内田陽子


     ほつほつと咲初む萩や許六の碑            鈴木信子


     木曽川の流れ豊かや走り萩              鈴木真理子



          



     眼に溜めて風の色見ゆこぼれ萩            福永 耕二


     散りごろの萩にやさしき雨ひと日           能村登四郎


     浅草に舟宿のあり萩月夜               黒木千代子


     駄菓子屋の木箱に萩の咲きそめし           三枝正子


     白萩の走りの花の五六粒               飴山實



          


     
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9月 20日 

2019-09-19 14:35:28 | Weblog
             秋彼岸・後の彼岸・秋彼岸会



     鵜の川の石白々と秋彼岸            栗田やすし


     浅草に雉子吊し売る秋彼岸           細見綾子


     秋彼岸雲脱ぎし富士紫に            中村たか


     青空へ寝釈迦仰向く秋彼岸           片山浮葉


     衛星の淡き航跡秋彼岸             畑 ときを


     秋彼岸仏足石の水たまり            大平敏子


     病む母の白髪を梳けり秋彼岸          清水聡子


     秋彼岸仮本堂で忌を修す            川地哲清


     秋彼岸位牌の数のお萩買ふ           安藤幸子



          



     うまさうに見れば彼岸の燒茄子          正岡子規


     さびしさは秋の彼岸のみづすまし         飯田龍太


     あだし野の秋の彼岸の仏道            倉田 紘文


     草々の影のふれあひ秋彼岸            片山由美子


     深川は水場の秋の彼岸かな            久保田万太郎


     秋彼岸いろを灯して絵蝋燭            梶山千鶴子




          
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9月 19日

2019-09-18 13:11:20 | Weblog
             子規忌・糸瓜忌・獺祭忌



     風呂敷を教卓で解く獺祭忌             栗田やすし


     獺祭忌紙切る鋏街に買ふ              沢木欣一


     法隆寺の子規忌の雨の萩思ふ            細見綾子


     家計簿の余白に一句獺祭忌             森垣一成


     本棚の一書斜めや糸瓜の忌             二村美伽


     衣被塩で味噌でと獺祭忌              齊藤眞人


     獺祭忌朱の線多き夫の辞書             足立サキ子


     抽斗に遺りし薬獺祭忌               中村たか


     禿び筆を風に晒せり獺祭忌             近藤文子


     白粥に梅干し一つ獺祭忌              熊澤和代


     子規いつも横顔ばかり子規忌くる          山 たけし



          



     去る者を追はず天下の子規忌かな           阿波野青畝


     供へある柿の大きな子規忌かな            深見けん二


     子規の忌の子規を語れば晴れ渡り          鍵和田釉子


     歯を借りて包帯むすぶ子規忌かな          秋元不死男


     老いて尚君を宗とす子規忌かな           高浜虚子




          
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9月 18日

2019-09-17 14:02:16 | Weblog
             曼珠沙華・彼岸花・死人



     山の日や畦伝ひ咲く曼珠沙華          栗田やすし


     寂光といふあらば見せよ曼珠沙華        細見綾子


     病む我に白曼珠沙華たくましく         沢木欣一


     古戦場土手に真紅の曼珠沙華          上杉和雄


     彼岸花番場の宿へ一里てふ           山本悦子


     本郷の露地の深きに曼珠沙華          森垣昭一


     御嶽の風聴くばかり彼岸花           山本玲子


     過疎村の寺へ列なる曼珠沙華          武藤光晴


     長雨におじぎし合へる彼岸花          金原峰子


     曼珠沙華葉となりゐたり石舞台         佐々木美代


     曼珠沙華手折ればぽきり青き音         山田悦三


     日に燃えて茎ひややかな曼珠沙華        足立サキ子



          



     とび火して空へつづけり曼珠沙華         今瀬剛一


     咲く前の姿幼し曼珠沙華             古賀まり子


     揺れ惑ふ影や土蔵の彼岸花            仙田洋子


     ダム開くや吹きすさぶ白彼岸花          澁谷 道


     額縁のやうに棚田の彼岸花            伊藤照子


     つきぬけて天上の紺曼珠沙華           山口誓子




          
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9月 17日

2019-09-16 15:56:47 | Weblog
             稲刈り・田刈、収穫・稲車・稲束



     水漬く稲陰まで浸し農婦刈る          沢木欣一


     山水を引きて稲刈鎌をとぐ           細見綾子


     風生れて大和の稲田刈り急ぐ          栗田やすし


     稲刈つて輪中の空のがらんどう         国枝隆生


     稲を刈る母の鎌音確かなる           幸村志保美


     堂守の稲刈りゐたり渡岸寺           中村たか


     田を刈りし足跡深き千枚田           小田智子


     稲を刈る畦にいびつの大薬缶          大橋 良


     刈稲を積んで田舟の大揺れす          篠田法子


     稲刈や浅間に太き煙立つ            高橋幸子



          



     稲刈って鳥入れかはる甲斐の空          福田甲子雄


     稲刈の海に出るまで雄物川            森澄雄


     稲束を抱き学童に声をかけ            西村和子


     稲束を投げし宙より跳ぶ蝗            鷹野清子


     鎌一丁身一つ老の稲を刈る            鈴木定代


     降り止まぬ雨に重たき稲を刈る          瀬戸 十字
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9月 16日 敬老の日

2019-09-15 15:56:56 | Weblog
             自然薯・山の芋・とろろ汁



     箱詰めの自然薯を売る砂丘茶屋         栗田やすし


     山の芋摺りしすりこぎ谷水に          沢木欣一


     新藁に埋もれて着きし山の芋          細見綾子


     自然薯を掘る陶工の日曜日           都合ナルミ


     とろろ薯擂るや生き甲斐ある如く        中村たか


     自然薯の髭のとび出す薦包み          清水弓月


     山芋掘る朝日に髭根きらめけり         山田悦三


     自然薯のぽこりと土をこぼしけり        渡辺慢房


     とろろ汁すする旅籠の奥座敷          小島千鶴


     リュックより覗く自然薯大和道         小田二三枝


     相席と弾む話やとろろ汁            小栁津民子


     とろろ汁女ばかりの旅の果て          中根多子



          



     これよりは自然薯掘りの鮑海女          鈴木真砂女


     とろろ汁鞠子と書きし昔より           富安風生


     相悪き自然薯にして旨かりし           能村登四郎


     自然薯掘だんだん膝の揃ひけり          石田勝彦


     とろろ汁宵に照り合ふ古柱            古舘曹人

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9月 15日

2019-09-14 15:00:35 | Weblog
             棗・青棗・棗の実・なつめ



     初なりの三つの棗青きかな          細見綾子


     師と語る卓に三粒の熟れ棗          栗田やすし


     棗落つ庭の箒目崩さずに           国枝隆生


     朝の日を弾きて風の棗かな          矢野孝子


     海峡の風に色づく棗の実           倉田信子


     修院の午後の閑けさ棗の実          梅田 葵


     棗熟れ空一片の雲もなし           中村修一郎


     飴色に棗煮上がる匂ひかな          二村美伽


     師の庭にひとつ残れり棗の実         森 靖子


     船津屋の熟れ残りたる棗の実         廣島幸子



          



     長い棗円い棗も熟しけり            河東碧梧桐


     敦煌の十字路どこも棗熟れ           松崎鉄之介


     棗熟れ枝しらじらと湖の家           大野林火


     棗ふくみて山荘の客帰る            飯田龍太


     墓多き河口の村に熟れ棗            飴山實


     竿をもて棗をたゝく巡査かな          高野素十
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9月 14日

2019-09-13 17:31:22 | Weblog
             十五夜・良夜・名月・月見・望月・仲秋の名月



     仲秋名月海にただよふ島に来て          細見綾子


     みまかりし師と語りゐる良夜かな         栗田やすし


     しなやかに猫が溝飛ぶ良夜かな          下里美恵子


     月見餅少し歪に蒸しあがる            矢野愛乃


     良夜かなスカイツリーは水色に          鈴木みすず


     満月へ開け放たれし写経堂            横井美音


     名月や越の酒飲む夫の留守            長谷川郁代


     どの家も明かりこぼれて望の月          市原美幸


     芋名月添ふる団子の艶めける           山下智子


     声明の法螺の音やさし観月会           古田富美子


     名月を中天に見る夜更けかな           石原進子


     月の客陰伴ひて入り来たる            夏目悦江



          



     田にいただく望月のほかみな空家         清水径子


     十五夜の月はシネマの上にあり           横光利一


     川甚に渡舟で来たる月見客             吉原田鶴子


     十五夜の月を忘れて寝てしまふ           小坂 順子


     望月の海を離るる櫂の音              野田口あや 



     
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9月 13日

2019-09-12 14:01:40 | Weblog
            栗・毬栗・虚栗・栗拾・笑栗



     頂上に子と来て若き栗のいが          沢木欣一


     家裏の栗落つ音の昔のまゝ           細見綾子


     満願寺仔猿飼はれて栗食めり          栗田やすし


     一袋焼栗買へり夜の駅             河原地英武


     近づけば城の隠るる栗拾ひ           櫻井幹郎


     毬栗の青きまま落つ不破の関          清水弓月


     笑栗を置けば艶めく綾子句碑          梅田 葵


     毬栗を掌に転がせて句碑訪へり         国枝洋子


     大粒の栗の皮むく夕厨             太田滋子


     山の日の豊かや栗の落つる音          前田史江


     落ち栗の叩く小橋を渡りけり          中村修一郎


     丹波路や叩きて落とす栗拾ひ          石橋忽布


     竹炭と栗並べ売る無人小屋           松平恭代



          



     毬栗や冠者顔して木曽に入る          吉田鴻司


     山びこのひとりをさそふ栗拾ひ         飯田蛇笏


     山栗や少年の日の土の橋            鷹羽狩行


     笑栗の籠にあふれて厨口            田川つる女
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9月 12日

2019-09-11 15:56:16 | Weblog
            秋の日・秋日・秋日向・秋日影



     眼前に秋日まみれの竹生島            栗田やすし


     十二神将怒り秋日を強めたり           細見綾子


     秋日沁む獣の骨のちりぢりに           沢木欣一


     教室の隅のオルガン秋没日            河原地英武


     師の買ひし木曽の煙草や秋日濃し         国枝隆生


     ごんぎつね来さうな三和土秋日濃し        野島秀子


     ひよつとこ面仲見世で買ふ秋日和         角田勝代


     蔵に据う千貫神輿秋日映ゆ            鈴木みすず


     音たてて秋日に乾く檜桶             奥山ひろ子


     秋日濃し汐引く川の澪標             武藤光晴


     秋日透く障子明りに技芸天            磯田なつえ


     乾ききる干蛸秋の日が透ける           若山智子


     秋日入る鰊御殿の塗廊下             金田義子



          



     み仏のめつむりながき秋日かな          桂 信子


     金の箔おくごと秋日笹むらに           上村占魚


     防波堤秋日をかへす稚魚の群           内田 芳子


     仙石線待ちて秋日の箒売             横山房子


     波の上に金の秋日の貼りつける          西村和子




          
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