3月 12日

2020-03-11 14:00:27 | Weblog
                      連翹・いたちぐさ


     成熟した果実を蒸して乾燥させて、解熱剤、消炎剤、利尿剤、排膿剤として利用される。
     奈良時代に書かれた「和名抄(わみょうしょう)によると「イタチグサ」の名前で
     生薬として売られていた。(と言うことです。ネットの知識です)



     連翹や焼杭を打つ宇治の院             沢木欣一


     連翹が色めきわたり明日を待つ           細見綾子


     連翹や一日富士の裾かすむ             栗田やすし


     連翹を戸口に峡の一戸かな             夏目隆夫


     咲きみちて連翹の枝地を這へり           佐藤きぬ


     連翹や昼食匂ふ保育園               武藤光晴


     連翹や富士を遠くに一里塚             小田二三枝


     咲き満ちて連翹風に逆らはず            伊藤旅遊


     図書館の窓連翹の花明かり             谷口千賀子


     連翹の道分け入つて水車小屋            角田勝代


     連翹を四囲に咲かせて検問所            中山ユキ




          



     童画展連翹の黄がここに撥ね            福永耕二


     連翹の一枝づゝの花ざかり             星野立子


     連翹や蛭ケ小島は石ばかり             林 徹


     雨の中連翹の黄の流れだす             長谷川 櫂


     いかるがの暮色連翹のみ昏れず           和田悟朗


     連翹を走りぬけたる猪の震え            金子兜太
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3月 11日

2020-03-10 14:26:52 | Weblog
                    東北震災忌・東北忌・東日本大震災忌


     まだ復興も完全では有りませんが
     死者15,894人行方不明者2,562人を出した東北震災忌が来ました
     2011年3月11日(金)14時46分 
     私は小石川後楽園の涵徳亭での句会のさなかの被災でした
     被災といっても東北の比では有りませんが
     東京でもすべての交通機関が止まり、多くの帰宅難民が居り
     歩いて帰れる人も何時間もかけての帰宅です
     私も春寒の月夜を4時間以上を歩きました



     赤すぎるバラ東北の震災忌          栗田やすし


     起き抜けのめまひ東北震災忌         国枝隆生


     東日本大震災忌地虫出づ           山本悦子


     はくれんの空の青さよ東北忌         熊沢和代


     痩せてなほ明るき月や東北忌         山本光江




          



     地震(ない)激し沈丁の香に立ちつくす

     春寒の地を突き上ぐる余震なほ

     料峭の歩くほなかき地震月夜

     春寒し身ぬちに残る地震のゆれ   

     黄水仙われも余震に揺れゐたり      2011・3・11

     
     均されて芽ぐむものなき被災浜      2012・3・11


     俳句が佳いかどうかは自分では分かりませんが俳句として少しの画像を残せたと思っています



          
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3月 10日

2020-03-09 13:29:54 | Weblog
                     初蝶・蝶


     鯉の背に初蝶来れば父恋し            沢木欣一


     白蝶々いつもつがひのあと先に          細見綾子


     反射炉に初蝶の来て影落とす           栗田やすし


     初蝶の飛びし行方わが恵方            梅田 葵


     みやらびの句碑越えて消ゆ白き蝶         中山敏彦


     退院のきまりし窓辺初の蝶            栗田せつ子


     都府楼の礎石伝へり春の蝶            伊藤範子


     蝶飛べりきりんの足を縫ふやうに         中斎ゆうこ


     初蝶や双子の眠る乳母車             佐々木美代子


     重さうに蝶の影過ぐアスファルト         石崎宗敏


     光りつつ蝶が蝶追ふ疎水べり           桜井節子


     動くもの皆指さす子初蝶来            橋本ジュン


     飛石に蝶が息づく真昼かな            小長哲郎



          



     初蝶や吾三十の袖袂               石田波郷


     紋白蝶ほどの汚れの白靴に            福永耕二


     つまづきし子に初蝶もつまづきぬ         西村和子 


     宙にある紋白蝶ときりんの背           正木ゆう子


     初蝶をとらへるための双手かな          夏井いつき


     僧正の白緒の草履初蝶来             大石悦子


     水際に日暮れを掬う紋白蝶            宇多喜代子




          
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3月 9日

2020-03-08 14:28:43 | Weblog
                     もくれん・白木蓮・紫木蓮


     一般的には木蓮と詠めば紫木蓮と解釈するようです
     多くの種類があるようですが花が咲き始めると葉が出て
     花と葉と一度に鑑賞する楽しみがあります
     原産地は中国



     木蓮のため無傷なる空となる           細見綾子


     はくれんの白極まれば銹び兆す          栗田やすし


     木蓮や熊野路に入る一つ星            沢木欣一


     白木蓮にはかにまぶし雨上り           中山敏彦


     傷ひとつなきまま崩る白木蓮           大島知津


     白れんの揺れに遅れて風の音           松井徒歩


     ひとひらを朝日へほぐし紫木蓮          伊藤範子


     青空の色薄めたり白木蓮             武藤光晴


     紫木蓮ほぐるる女身仏の前            小島千鶴


     白木蓮散つてしまひし空の青           松本恵子


     紫木蓮家具工房の窓越しに            夏目悦江


     紫木蓮吉祥天に開き初む             中川幸子



          



     戒名は真砂女でよろし紫木蓮           鈴木真砂女


     うら返るほどに咲きみち紫木蓮          金城千代


     はくれんのひしめく真夜をさめてをり       飯島晴子


     はくれんの散るべく風にさからへる        中村汀女


     子と遊ぶうらら木蓮数へては           種田山頭火


     白れんの羽二重明りのなかにかな         柿沼盟子



          
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3月 8日

2020-03-07 16:10:28 | Weblog
                    蒲公英・鼓草・たんぽぽ・タンポポの絮


     蒲公英や石垣匂ふ海のふち            沢木欣一


     しあはせに短かたんぽゝ昼になる         細見綾子


     縄文の土葺き屋根に鼓草             栗田やすし


     たんぽぽの絮貴婦人の風情あり          河原地英武


     たんぽぽの鮮やかな黄よ塩の道          小島千鶴


     古希近したんぽぽの絮吹き飛ばす         佐藤とみお


     たんぽぽや寝ころんで見るグライダー       関根切子


     蒲公英の咲き満つ木曽の番所跡          塩原純子


     閉店の貼り紙茶屋に鼓草             東口哲平


     たんぽぽの絮とぶ弥生住居跡           倉田信子


     たんぽぽや画板の下に小さき膝          服部鏡子


     廃校に子らの手形や鼓草             中村たか


     たんぽぽや御願所際に基地フェンス        平 千花子


     たんぽぽや城址に歩兵連隊碑           池村明子



          



     蒲公英が咲き睡たさが風にのり          菖蒲あや


     蒲公英や空より戻る観覧車            佐藤幸子


     たんぽぽのサラダの話野の話           高野素十


     たんぽぽや母を呼ぶとき吾幼し          林 翔


     爆笑のたんぽぽ曲馬団の跡            鷹羽狩行


     農歌舞伎草の桟敷の鼓草             仁井一路




          

           西洋たんぽぽ  <表紙は関東たんぽぽ>
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3月 7日

2020-03-06 12:25:59 | Weblog
                     土筆・つくづくし・土筆和え・つくしんぼ・筆の花


     土筆摘む土手揺るがして汽車過ぐる        栗田やすし


     山姥の目敏く土筆見つけたり           沢木欣一 


     頭の黒きつくし野におく旅かばん         細見綾子


     土筆摘む狂言一つ見過して            国枝隆夫


     土筆摘屈めば遠く波の音             矢野孝子


     ほきほきと野川の土手のつくし摘む        上杉美保子


     手間かけて一と皿となる土筆かな         櫻井幹郎


     太りたる染屋の庭のつくしんぼ          岸本典子


     土筆みな呆けて群るる過疎の里          田畑 龍


     波静か遠流の島に土筆摘む            鈴木みすず


     練兵場あとつくし野となりゐたり         谷口千賀子


     ほほけゐし穴師の里のつくしんぼ         倉田信子


     文楽の幟立つ畦土筆摘む             豊田紀久子



          



     つくづくし散歩の道の伸び縮み          鷹羽狩行


     わが机妻が占めをり土筆むく           富安風生


     父なくて母のまはりにつくづくし         岸田稚魚


     せせらぎや駈けだしさうに土筆生ふ        秋元不死男


     土筆土割り小学生の浄き脚            大野林火


     まゝごとの飯もおさいも土筆かな         星野立子




          


     
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3月 6日

2020-03-05 13:18:10 | Weblog
                      蝌蚪の紐・おたまじゃくし・蛙の子


     蝌蚪の陣金剛杖ではげませり           沢木欣一


     おたまじゃくし睡蓮の葉に乗ることも       細見綾子


     棒切れで妻がつつけり蝌蚪の紐          栗田やすし


     山影の映ゆる峡田や蝌蚪の国           山下善久


     手の窪にお玉杓子を泳がする           福田邦子


     蝌蚪の群日溜りの池埋め尽くす          武藤光晴


     両の手にひやりと重し蝌蚪の紐          鈴木みすず


     蝌蚪の紐ひかりのなかにゆるびをり        谷口千賀子


     湧水に蝌蚪ひしめけり隠れ里           倉田信子


     少年ににきびや恋や蝌蚪に足           斉藤眞人


     蝌蚪の水顔寄せ合ふて覗き込む          横井美音


     山畑の水場に生れし数珠子かな          夏目隆夫


     蝌蚪沈む思ひ思ひの方を向き           新井酔雪



          



     蝌蚪の紐じゆげむじゆげむと続きをり       鍵和田釉子


     すいすいと電線よろこび野へ蝌蚪ヘ        秋元不死男


     黒づくめおたまじやくしに水浅し         石川桂郎


     こきりこや蝌蚪の踊れる水のなか         桂信子


     こぼしては掬ふ光と水と蝌蚪           能村登四郎


     いそいで踏みつぶすまいぞ蛙の子         種田山頭火




          
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3月 5日 啓蟄

2020-03-04 12:17:37 | Weblog
                   啓蟄 

     二十四節気の一つ雨水から数えて15日頃春分までの期間
     啓は「ひらく」、蟄(ちつ)は「土中で冬ごもりしている虫」の意味で、
     大地が暖まり冬眠していた虫が、春の訪れを感じ、穴から出てくる頃。
     菰(こも)はずし を啓蟄の恒例行事にしているところが多いようです。



     啓蟄や天使の声のひきがへる           沢木欣一


     啓蟄や土塊指間よりこぼる            栗田やすし


     啓蟄や野菜サラダを山盛に            河原地英武


     調教の鞭啓蟄の地を打てる            矢野孝子


     啓蟄の朝ねんごろに地を掃けり          福田邦子


     啓蟄や重機蠢く丸の内              武藤光晴


     啓蟄の田に寄り合へり放ち鶏           磯田なつえ


     啓蟄や妻還暦のクラス会             佐藤とみお


     啓蟄の土靴底に郵便夫              奥山ひろ子


     啓蟄や馬に蹄鉄打ちし音             片山浮葉


     啓蟄の地べたに広げ蚤の市            橋本紀子


     啓蟄や掘り抜き井戸に水溢れ           伊藤旅遊


     啓蟄の池の底より泡ひとつ             ころころ



          



     啓蟄と共に勾玉出でにけり            阿波野青畝


     啓蟄の虻はや花粉まみれかな           星野立子


     道に出て啓蟄のごと婆がをり           森澄雄


     啓蟄の地の面漏らして雨一日           稲畑汀子


     啓蟄の雉子が地を翔つ土煙り           飯田龍太


     塵取に啓蟄の虫あるあはれ            林 翔




          


     菰巻き⇒菰外し
     マツカレハなどの害虫から守るために、松の幹に藁(わら)でできた菰(こも)を巻きつけること。
     春になって、菰をはずすことを「菰はずし」と呼ばれています。
     江戸時代から伝わる害虫駆除の方法ですが、実際には効果がなく、冬の風物詩として行っていることが多いようです。
     ( すべてネットから知識をお借り致しました )
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3月 4日

2020-03-03 13:01:53 | Weblog
                    蕗の薹・蕗味噌


     蕗の薹喰べる空気を汚さずに           細見綾子


     蕗のたう屈みて摘めり石道寺           栗田やすし


     箸先の味噌に溺るる蕗花芽            清水弓月


     蕗味噌で飯を汚してこもりをり          鈴木みや子


     蕗味噌のおにぎり焙る朝の市           奥山ひろ子


     大富士を仰ぎては摘むふきのたう         谷口千賀子


     蕗の薹茎立つ信玄火葬塚              武藤光晴


     小振りなる渋民村の蕗の薹            都合ナルミ


     母がりに通ひし道や蕗の薹            栗生晴夫


     風化仏くちの笑みのみ蕗の薹           山 たけし



          



     包み紙しっとり濡らし蕗の薹            能村登四郎


     まだ風の色にまぎれて蕗の薹           今瀬剛一


     蕗の薹おもひおもひの夕汽笛            中村汀女


     蕗の薹旅もひとりの箸を割る            鷲谷七菜子


     掌の窪に朝が載りゐる蕗の薹           野澤節子


     塵取に入れて戻りぬ蕗の薹            鈴鹿野風呂




          
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3月 3日 

2020-03-02 12:56:03 | Weblog
                    ひな祭り・雛の日・桃の日・桃の節句・上巳(じようし)の節句


     雛の日に秩父自ねんじょすりおろす        細見綾子


     月光に雨戸を閉ざす雛の部屋           栗田やすし


     雪の底眼を病む母や雛祭             沢木欣一


     窓際に産着干したる雛の間            河原地英武


     この明り消せば雛と一つ闇            梅田 葵


     紙雛に髪の細さの眉描く             丹羽康碩


     出目金の宇宙遊泳吊し雛             鈴木みすず


     母とゐて桃の日の風やはらかし          栗田せつ子


     長槍を桁に陣屋の雛まつり            神尾朴水


     人通る度に揺らげり吊し雛            山本光江


     待合室女医の折りたる紙雛            森 妙子


     吊し雛藍の色濃き伊勢木綿            山下欽子


     土雛の歌舞伎役者が上段に            鈴木英子



          




     
     手にうけてかぐはしきもの吉野雛         吉田鴻司


     厨房に貝があるくよ雛祭              秋元不死男


     ひとり居の雛とぢこめて出勤す          菖蒲あや


     木綿縞着たる松本雛かな             瀧澤伊代次


     てのひらに風あるごとし雛あられ         中嶋秀子


     これはこれは貝雛の中混み合へる         大石悦子


     部屋中が匙に映りぬ雛祭             正木ゆう子




          


     
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