チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

世界無形文化遺産

2011年06月05日 13時30分15秒 | 日記
小千谷縮と越後上布は平成21年にユネスコ世界無形文化遺産に登録
日本の手工芸の一番手として世界に冠たる名誉を受けた
その5年前の中越大地震のあと
老齢な作り手が
「もう仕事をしたくない」とか
精神的にまいって心が落ち着かず仕事がはかどらない状態だった

しかしその中で逆に組合の人たちが一致団結して
主要都市に「小千谷縮、越後上布」を紹介し
多くの人の強い協力でみんなが勇気を持って
産地の活性化に向けて努力した
その努力が実ってユネスコ世界無形文化遺産登録という快挙

新潟は県知事が率先して小千谷縮の背広を着るという宣伝マンに徹しているし
東京表の参道に新潟館「ネスパス」を設置して
1階はふるさと物産と食事どころ
3階がホールになっていて着物の展示会も開いている

組合員も若手になり
「あの地震以来旨く世代交代が出来ましたよ」
世代が変わったのできものの色や柄も若々しくお洒落
「小千谷では一番若手だったのにね」
と思わず樋口隆司さんを冷やかす
「いまや長老ですよアハハ」

しかし
あの地震でチャコちゃん先生が大好きな「絹縮み」が姿を消していたのだが
というのは縮みは本来足で湯揉みするのだが
その技術と道具を持った家が地震で全壊し作業が出来なくなった

「あの絹縮みは最高の布よ丁度6月9月はなくてはならない生地だわ」
と樋口さんに会うたびに御尻を叩いていたチャコちゃん先生
「ついにできましたよ」

触っても見てもしんなりと優しく美しい
「前のほうが個性的だけどこれもいいわね」
足揉みは出来ないので
手揉みで何回も何回も実験して出来上がったという
通常の布幅より15センチほど広くおって
其れを湯につけて揉む

もともと撚りのかかった糸で織っているので揉めば揉むほど
うねうねとよりがよって独自の風合いとなる
チャコちゃん先生は7年待って思い人と会えた感じ
だけど足もみの方が存在感があっていい
ーーまだいいつのっているーー

越後上布は美しい
麻の種類でも苧麻という麻から糸を績む
この作業をする人が年々減っている
それは大変な作業であるからという理由のほかに
手間賃があまりにも安い
都会の学生アルバイトの時間給がその人たちの日当金額だ

こんなことではせっかく文化遺産に登録されても後が続かなくなるのではないか
巷の呉服屋での売値が
反物一反都心の2dkが買える値段だ

作る人にもっと手厚い保護をしなければ
この日本から越後上布も小千谷縮も姿を消してしまう
コメント
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