チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

「だし」について

2011年06月28日 11時34分04秒 | 日記
昔奄美大島に大島紬の取材に行ったとき
そこで鰹をいぶし、鰹節を作る工場にも行った
鰹は春から初夏に向かってあがって来るので
鰹節を作るのは真夏だ

太陽が容赦なく照りつけるところに
鰹節の形になったものがずらりと並ぶ
蝿もぶんぶん飛んでいる
しかしからからに乾くと殺菌は一切何のだという

形のいいのを3本戴いて帰り
それ以来出しは鰹節と決めた
削り器ももう3代目だ

この鰹節を削ったもので冷奴をを食べるともう至福
ときに猫まんまもいい
お弁当の鰹サンドも美味しい
これは
一段目ご飯二段目お醤油で味をつけた削りたての鰹節
その上にあぶったノリをさらりと醤油につけて載せる
このセットで三段重ね

鰹のだし汁は品が良い
こんにゃくや蓮根を煮るには鰹だしが良い

最近は高級料理店の大将が出しの取り方を教えてくれるが
チャコちゃん先生はヤハリ母の教えの方がピンと来る
素人は鰹だしを捨てたりせず昆布と混ぜて一品作ったりする

最近五島列島のアゴだしに凝っている
五島列島のアゴは1人一尾のだし汁が丁度良い
コレは蕎麦だね
ソーメンは鰹だ

アゴはだしとして優秀でそれこそだしを出し切ってしまうので
「あごだし」という言葉が生まれたのだそうな

「ちょっと私をだしに使わないでよ」
という言葉もある
だしは主役ではないがその主役を引き立てる大きな役目をする

日本料理の場合「だし」が全てを決める
きちんとだしから料理をする人が少なくなっている
いまは出しの素など手間の省けるだし汁がたくさん出回っている

コマーシャルでも
プロの追い鰹に勝るというセリフもある
そうかなあ

あのコマーシャルを観るたびに
あの炎天下の奄美大島の鰹工場を思い浮かべる

大島紬も手間隙かけた紬ではあるが
鰹節も丁寧に作られていた
そうこの島にはサトウキビもあった
そのサトウキビからお酢も出来ていた

便利便利効率が良いを追いかけていると
結局は何もかも失ってしまうのではないかしら

ところで最近の鰹節粉っぽいのよね
買い方が悪いのかなあ

いろんなものをだしに使う知恵は日本人しかいないみたい
コメント
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