「私から奪うつもりでやってごらん」
そうお話したのは、先日の授業中のこと。
何を奪ってもらうのか?
それは、私が持っている「知識」です。
授業中、生徒さんを見ているといろんなことに気が付きます。
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ノートのとり方もその1つです。
ノートのとり方を見れば、その生徒さんの成績がわかる、そう言っても過言ではありません。
以前から
「ただ写すだけではコピペと変わらない。大事だと思うところ、知らなかったところが分かるようにすること」
「黒板に書かれていないことでも、これは大切と思ったことはメモすること」
というお話を生徒さんにはしていましたが、
最近はそれに加えて、冒頭でも書いた
「私から知識を奪うつもりで」
という言葉を足して話しています。
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「この子はできる!」と思う生徒さんのノートを見ると、学ぶことに対する積極性が感じられます。
板書されたことはもちろん、
私が言葉でしか言っていなかった何気ないことまで、
自分に必要だと思うものは、積極的に書きにいっている、
そんな感じがするノートです。
いい意味で「自己中心的なノート」だと言えます。
他人がどうかよりも、"自分にとって"大切、必要だと思うから書いておくという、いい意味での自己中心、
それがノートからも見て取れます。
このいい意味での自己中心、言い換えれば、
「先生から知識を奪ってやるぞ!」ぐらいの積極性が成績を伸ばしていく上でのポイントだと思います。
こう言い始めてから、ただ「必要なことを写してね」と言っていたときに比べると、
ちょっと反応が変わってきました。
初めは「奪うつもりで、ってどういうこと」とちょっと不思議な顔している生徒さんもいますが、
しばらくすると、最初はぎこちなくではありますが、自分から動き出していくように感じます。
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大切なことは、完璧なスキルを教えることではないと思います。
自分から積極的に動き出すために必要なことを教えていくことだと思います。
「知識を奪うってこういうことか」と気づいた生徒さんは、きっとこれからも積極的に動いていくのではないかなと思います。
動き始めたらあとは「待つ心」です。
はじめから完璧な人なんていませんので、見守りながら、ときにはアドバイスをしながら、
生徒さんの成長を見守っていこうと思います。