ほぼ是好日。

日々是好日、とまではいかないけれど、
今日もぼちぼちいきまひょか。
何かいいことあるかなあ。

赤れんがフェスタ

2006-11-05 | 日々のこと。
私の住む町には古い赤れんがの倉庫群が今も残っており、それをアピールしようと毎年「赤れんがフェスタ」が開催されます。例年10月の連休にあるのですが、今年はこの週末に行われました。

このイベントには、、コンサートやいろいろな企画展、体験コーナー(ミニレンガつくりや縄文丸木舟作りというのもあります)、屋台のほかに、アート&クラフトフェアというのがあって、陶芸、工芸、染織などの作家による展示販売が行われます。普段、アート&クラフトにはあまり縁のない町ですが、この日だけは関西だけでなく各地から作家の方がたくさん集まってこられるのです。


    赤れんが倉庫とアート&クラフトフェアのテント


毎年楽しみにしていて、これまでにもガラスの箸置き、織物のコースター、小さな版画など、私の手に入れられる範囲で買い物をしてきました(欲しいものはたいてい高いんです 一点一点手づくりなのでしかたありませんが)。

今年手に入れたのはこちら↓



ハーブの入ったハンドクリーム、スパイス、月桂樹の枝(葉っぱがわさっとついてて100円!)、焼きしめにかわいい絵の描いてある長皿(まだ若い女性の方の作品でした)、それと古代文字のカード。
この古代文字をデザインしたカードには、その文字にちなんだ文章が書いてあります。たとえば私の選んだ「夢」というカードには

 月のみせるげんそう
 あすへのそうぞう
 まぼろしはほんものに

というふうに。
家族それぞれ自分にあった文字を選びました。長女は「海」、次女は「音」、そしておとーさんは「走」がなかったので「旅」。ウチの家族をそれぞれ一言で表すと、こういうことになるわけです

私が一番気に入った草木染のマフラーは、予算オーバーで残念ながらあきらめました(前日バッグを衝動買いしたばかりだし・・・)。

今回ちょっとしたサプライズもありました。
全部で100ほどもあるお店の中で、ふと見覚えのある名前が。
学生のころアルバイトしていた清水焼のお店で、気に入った酒器セットがありました。それを作られた作家の方ではないかとおそるおそる尋ねてみると、間違いなくその方だったのです。当時は父へのプレゼントとして購入したのですが、父が日本酒を飲まなくなり、私の手元にもどってきて今ではおとーさんが愛用しています(きのうもそれで日本酒をいただきました)。
何十年もたった今、こんなところでお会いするなんてびっくり!



これがその酒器セット。ろくろではなく、一枚のたたらをつなぎ合わせた形になっています。
下にひいてあるコースターは数年前に買ったもの。


昨日の夕飯のときの会話。
「お母さんは、買うほうでなくて、作るほうになりたかったのになあ」
「何をしたかったん?」
「染織。草木染して、機を織りたかった」
「お母さんて、やりたいことがいっぱいあったんやなあ」
はい、やりたいことがありすぎて、どれもできず(中途ハンパで)、今ここにこうしてあなたたちの母親をしています・・・
人生、欲張っちゃだめですよ!
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『ギフト 西のはての年代記Ⅰ』

2006-11-04 | 読むこと。



図書館でこの本を見かけたとき、まず目がいったのは表紙の絵でした。
ひょっとして、有元利夫!?
それで思わず手にとってみたら作者がル・グウィン!!
え~、新しいファンタジーが出たんだ!!!と、まあ、うれしい驚きの連続だったわけです。

有元利夫さんは私の好きな画家のひとりです。この表紙を見ても感じるように、宗教画のように静謐で神秘的な絵を描かれる画家でした(ちょうど今、滋賀県で「有元利夫展」をしているらしいのです。行きたい・・・)。

そして、その表紙の絵が表すように、静かな物語の始まり。今流行のファンタジーみたいに、テンポよく、次から次へとストーリーが展開して目が離せない、というのとはちょっと違います。しかし、ル・グウィンの確かな筆づかいによって、読者は安心して、新しい世界に引き込まれていきます。


<西のはて>の<高地>に住む16才の少年オレックと少女グライ。彼ら高地に住む人々は、<ギフト>とよばれる不思議な力(超能力?)を持つブランター(首長)によって、統括されています。このギフトは、ブランターである父から息子へ、母から娘へ、と「血」で繋がっていくのです。

しかし、自分で管理できない荒ぶるギフトを持つ者として、父親はオレックの目を封印してしまいます。暗闇に生きるオレックを見守るグライ。この物語は、ギフトという力に関わる少年の、さまざまな心の葛藤を描いているのです。

目隠しをして日々を送るオレックの描写は、読み手にまでその閉塞感が伝わってきます。それに、文字というものを持たず、結婚相手も一族の者から選ばなければならない、というような<高地>の人々の生活は、私たちには想像もつかない閉ざされた世界のように感じられます。
<低地>から来たオレックの母はギフトを持ちませんが、読み書きができるようにとオレックとグライに文字を教え、手製の本を残しました。それによって、オレックは物語を語り、詩を朗誦するようになります。そして、そのことがオレックにとってはギフト以上に大きな力となり、彼を開かれた世界へと導いていくのです。

ギフトという大きな力に悩むオレックでしたが、物語は意外な方向に展開していきます。そしてこの物語はまた次の物語『ヴォイス』へと発展していくようです。
70代半ばで、この新しい世界を創造し始めた作者ル・グウィンは、一体何を書こうとしているのでしょう。
続きがとても気になります。
コメント (2)
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