意識しているわけではないのだが、ウェス・アンダーソンが監督または製作した作品は今世紀に入ってから全て観ている。といっても、この作品を含めて4本である。どの作品も私の好きなタイプのものである。彼の作品に共通しているのは家族の絆をモチーフにしていることだ。「家族」と言ってしまうと、情緒的な色彩を帯びてしまうような気がするのだが、身近な人間関係の崩壊と再生が描かれているように思うのである。
この作品の主人公たちは、音信が途絶えて久しい3兄弟。家を出て修道僧になり、父親の葬儀にも姿を見せなかった母親に会うため、母のいるインドへ出かけていく。母がいるのは辺境の地であるため、列車で旅をするのだが、素行不良により列車から強制的に降ろされてしまう。そこからいくつかの事件を経て、彼等は母親と再会する。その喜びも束の間、母は彼等の前からまたもや姿を消してしまうのである。しかし、その後には、幼年時代のように仲の良い兄弟の姿があった。
結局のところ、人と人とを結びつけるのは経験の共有ではないだろうか。旅というのは一見すると開放的だが、同行者がいる場合は拘束が多いものである。不慣れな土地で、自分とは異なる意志を持った存在と行動を共にするというのは、葛藤の連続だ。だからこそ、どんなに些細な障害であっても、協同して何事かを成し遂げるという経験を積み重ねることで、相手を理解する手がかりを得ることができるのである。その結果、通じ合うものを感じた時に相手との絆を実感するのであり、決定的な違和感を覚えると相手との別離を決意するのである。
注:本作品の日本での公開は2008年春の予定だそうです。
この作品の主人公たちは、音信が途絶えて久しい3兄弟。家を出て修道僧になり、父親の葬儀にも姿を見せなかった母親に会うため、母のいるインドへ出かけていく。母がいるのは辺境の地であるため、列車で旅をするのだが、素行不良により列車から強制的に降ろされてしまう。そこからいくつかの事件を経て、彼等は母親と再会する。その喜びも束の間、母は彼等の前からまたもや姿を消してしまうのである。しかし、その後には、幼年時代のように仲の良い兄弟の姿があった。
結局のところ、人と人とを結びつけるのは経験の共有ではないだろうか。旅というのは一見すると開放的だが、同行者がいる場合は拘束が多いものである。不慣れな土地で、自分とは異なる意志を持った存在と行動を共にするというのは、葛藤の連続だ。だからこそ、どんなに些細な障害であっても、協同して何事かを成し遂げるという経験を積み重ねることで、相手を理解する手がかりを得ることができるのである。その結果、通じ合うものを感じた時に相手との絆を実感するのであり、決定的な違和感を覚えると相手との別離を決意するのである。
注:本作品の日本での公開は2008年春の予定だそうです。