薬師寺では、先月23日まで奈良国立博物館で開催されていた仏教美術展に出品されていた月光菩薩立像が戻ってきて、金堂に納める作業をしているところに遭遇した。
巣鴨で暮らしていた頃、真性寺の地蔵菩薩坐像が補修のため台座から外されるところと、補修を終えて据え直されるところを眺めていたことがあった。故障があれば直すことに何の不思議もないのだが、お地蔵様がクレーンで持ち上げられてトラックに乗せられて運び出され、しばらく経てからトラックに乗って戻ってきて、それをクレーンで台座に戻すという一連の作業が、なんだかとても珍しい光景のように感じられた。そして、そういう珍しい光景に出会えたことに軽やかな興奮を覚えた。
それで薬師寺の月光菩薩だが、私たちが金堂を訪れた時には、既に設置が終わり、光背に飛天をはめ込みながら少しずつ足場を撤去するという作業の最中だった。飛天はひとつひとつ木箱に収められており、その木箱を博物館の人と寺の人とで確認し合いながら、運送会社の作業員に手渡し、作業員が光背にはめ込み、それを下で博物館の人と寺の人が見つめていて時折指示を出すということが繰り返されていた。やはり当たり前の作業なのだが、そういう場に居合わせたことに、珍しいものを見ることができたという嬉しさを感じた。