熊本熊的日常

日常生活についての雑記

晩年の心得

2016年05月20日 | Weblog

今日のニュースで柳家喜多八が5月17日に亡くなったことを知った。4月30日に横浜にぎわい座での落語教育委員会を聴いたばかりだったので、少なからず衝撃を受けたものの、ここ半年ほどの間に首から下が顕著に小さくなっていたので、近々こういうことになるかなとは思っていた。足の具合が良くないことを知ったのは昨年10月24日の三田仏教伝道センターでの白酒との二人会だった。それでもこの時は這うようにして高座に上がっていた。ちなみにこの時の演目は「寝床」と「首提灯」だった。その後、喜多八を聴いたのは今年3月21日の国立名人会と4月30日の教育委員会だ。名人会では歩くことがままならないようで、高座の前後に幕を下ろして歩けない状況を客に見せないようにしていた。口跡は教育委員会でも冴えていたが、それでも三田、国立、にぎわい座と回を追う毎に身体が小さくなっていた。そういう変化がはっきりわかるようになるとお迎えが近いということなのだろう。ちなみに演目は名人会も教育委員会もともに「やかんなめ」。もうこの人の噺を生で聴くことができないと思うと、とても寂しい。

自分もいつお迎えが来ても不思議のない年齢になっている。少し前から意識しているのは、なるべく後悔しないように日々を送ることだ。見たいことを見、聴きたいものを聴き、やりたいことをやる、ということを事情の許す限りやっていきたい。そして清々とした気持ちで永遠の眠りに就きたい。現実は、生活の瑣末なことに心を砕く愚から脱することができず、なかなか清々とはできないのだが、少なくとも志はしっかりと持っておきたい。

喜多八師匠のご冥福をお祈りする。合掌。

 

4月30日 落語教育委員会 柳家喜多八・三遊亭歌武蔵・柳家喬太郎 三人会

  三遊亭歌太郎「片棒」

  柳家喬太郎「任侠流山動物園」

  柳家喜多八「やかんなめ」

  三遊亭歌武蔵「胴切り」

   横浜にぎわい座

   開演 17:00 終演 19:10