解雇通告への同意書を提出するついでに私物の回収をするために職場へ出かける。事前に今日、そういう用件で職場に行くということを隣の席の同僚に伝えておいたら、一緒に帰ろうということになっていた。人事での用件が済んで、私物の回収と未清算の経費を清算する手続きなどをして、1時間ほどで職場を出る。廊下やビルの受付エリアなどで何人かの同僚と出くわし、ちょっとした立ち話を交わした。なかには、わざわざ席から受付前まで出てきてくれる人もあり、用件が済んでからさらに1時間ほどを職場のあるビルのなかで過ごした。思いがけず楽しい一時を過ごすことができたのを有り難いと思う。
肝心の一緒に帰るほうの同僚は仕事がなかなか終わらず、それからさらに1時間近く待つことになった。ようやく合流して、ただ帰るのではなく、食事をしてから帰ろうということになる。彼女の帰る方向とほぼ同じなので、キフキフに電話をして、今晩席が空いているかどうか確認してみる。幸い空いているとのことだったので、キフキフで食事をする。
彼女はソムリエの資格があり、現在はフランス料理の勉強中でもあるので、そういう人がレストランで食事をするときにはどのようなところに目を付けるものなのか、ということに素朴に興味があった。私は普段、酒類を全く口にしないのだが、飲めないというわけでもないので、今晩はワインを1本、彼女に選んでもらう。料理のほうはプリントされているメニューのほかに「おすすめ」が黒板に書かれていて、ふたりともそこから選んだ。やはり知識の深い人は違うなと思ったのは、彼女がメニューを見るときの微妙な緊張感である。うまく説明できないのだが、コピー機に原稿を乗せてスイッチを押したときに内部でスキャナーが動くのが感じられるが、感覚的にはそれに近い。ワインリストからワインを選ぶとき、黒板から料理を選ぶときの一瞬の緊張感があり、選んだ後の緩和がある。またそのオンオフに本人が気がついていない風なのが面白い。
結局、前菜は彼女のほうがサラダに金柑とエゾ鹿のグリルを添えたもの、私が下仁田葱のグリル。パスタ類は、最初、別々に注文しようとしたのだが、店の人から量が多いのではないかとの助言を得たので、牡蠣と下仁田葱のリゾットをシェアすることにした。メインは彼女が鴨の赤ワインソースで、私は仔羊のクスクス。デザートは彼女が塩キャラメルのプリンで、私はギネスビールのアイスクリーム。料理はもちろん美味しいのだが、それ以上にいろいろ勉強になった。
今夜は食事の約束まではしていなかったのだが、ひょっとしたらそういうことになるかもしれないと思っていた。それで、家を出るときに例の黒砂糖を2つかばんのなかに入れておいた。ひとつをキフキフの原さんに差し上げ、もうひとつを同僚に渡した。原さんにこの黒砂糖を例えばどのように使うのかと尋ねてみたところ、削ってイチゴにまぶすと美味しいとのことだった。ボールなどにイチゴと黒砂糖を入れてゴロゴロとまぶしているとイチゴの表面がとろけてくるのだそうだ。そうなると出来上がりで、イチゴがひと味変わるのだという。こんど自分でも試してみて、近いうちにAero Conceptの菅野さんのところにも黒砂糖を持ってお邪魔することになっているので、そういう使い方をお話してみようと思う。
肝心の一緒に帰るほうの同僚は仕事がなかなか終わらず、それからさらに1時間近く待つことになった。ようやく合流して、ただ帰るのではなく、食事をしてから帰ろうということになる。彼女の帰る方向とほぼ同じなので、キフキフに電話をして、今晩席が空いているかどうか確認してみる。幸い空いているとのことだったので、キフキフで食事をする。
彼女はソムリエの資格があり、現在はフランス料理の勉強中でもあるので、そういう人がレストランで食事をするときにはどのようなところに目を付けるものなのか、ということに素朴に興味があった。私は普段、酒類を全く口にしないのだが、飲めないというわけでもないので、今晩はワインを1本、彼女に選んでもらう。料理のほうはプリントされているメニューのほかに「おすすめ」が黒板に書かれていて、ふたりともそこから選んだ。やはり知識の深い人は違うなと思ったのは、彼女がメニューを見るときの微妙な緊張感である。うまく説明できないのだが、コピー機に原稿を乗せてスイッチを押したときに内部でスキャナーが動くのが感じられるが、感覚的にはそれに近い。ワインリストからワインを選ぶとき、黒板から料理を選ぶときの一瞬の緊張感があり、選んだ後の緩和がある。またそのオンオフに本人が気がついていない風なのが面白い。
結局、前菜は彼女のほうがサラダに金柑とエゾ鹿のグリルを添えたもの、私が下仁田葱のグリル。パスタ類は、最初、別々に注文しようとしたのだが、店の人から量が多いのではないかとの助言を得たので、牡蠣と下仁田葱のリゾットをシェアすることにした。メインは彼女が鴨の赤ワインソースで、私は仔羊のクスクス。デザートは彼女が塩キャラメルのプリンで、私はギネスビールのアイスクリーム。料理はもちろん美味しいのだが、それ以上にいろいろ勉強になった。
今夜は食事の約束まではしていなかったのだが、ひょっとしたらそういうことになるかもしれないと思っていた。それで、家を出るときに例の黒砂糖を2つかばんのなかに入れておいた。ひとつをキフキフの原さんに差し上げ、もうひとつを同僚に渡した。原さんにこの黒砂糖を例えばどのように使うのかと尋ねてみたところ、削ってイチゴにまぶすと美味しいとのことだった。ボールなどにイチゴと黒砂糖を入れてゴロゴロとまぶしているとイチゴの表面がとろけてくるのだそうだ。そうなると出来上がりで、イチゴがひと味変わるのだという。こんど自分でも試してみて、近いうちにAero Conceptの菅野さんのところにも黒砂糖を持ってお邪魔することになっているので、そういう使い方をお話してみようと思う。