観光は難しい産業だと思う。容易な産業というものは無いのだが、観光の難しさは人気という当てにならぬものに依存するところにある。例えば、丹波篠山と自分との縁は、先日のこのブログに書いたように、日本民藝館での講演で、この地で活動されている作陶家の話を聴いたこと、そのかたとは以前にも民藝夏期学校などでご一緒させて頂いていること、といった程度のことである。他に、何年か前にふるさと納税で丹波篠山市から黒豆を頂いたこともある。それで気になって今回訪れて、大変好印象を抱いた。しかし、次にここを訪れるのはいつになるかわからない。おそらく多くの人にとっても似たようなことだろう。
世界を相手にすれば、無限の訪問需要が眠っている。確かにそうだろう。だからと言って、誰に来てもらってもいいわけではあるまい。コロナ騒動ではっきりしたのは、観光へ依存するということの意味だと思う。さらに言えば、産業とは何か、経済とは何か、人が生きるとは何か、ということが今問われている。
帰りの新幹線は静岡県内での大雨でダイヤが大きく乱れていた。予約していた列車は15分遅れで新大阪を発車し、59分遅れで品川に到着。何はともあれ、今回も楽しく旅行ができてありがたいことである。