元気ですか。こちらは先週木曜から突如として寒の戻りです。ようやく今日は少し暖かくなったけれど、外出には上着が必要です。
たまにYou Tubeで落語や漫才を視聴するのですが、話術の要は間の取り方にあるなと思いました。特に古典落語は、話の内容は既に固まっています。同じ話を聞いても、それが面白く感じられたり、感じられなかったりするのは、突き詰めて行くと間にあるように思います。これは人の話に限ったことではなく、仕事の流れについても言えることです。同じ仕事量でも、作業の発生頻度によって、負荷にかなり差異が出るように思います。もっと敷衍すれば、人の生活全般に間合いの取り方というものが重要な役割を果たしているように見えます。
間というのは、そこに何も無い瞬間です。しかし、その前後との関係において、何も無いはずの時空が、豊穣の闇のようにも感じられます。今、自分はその間の真只中にいるような気がします。隠遁生活のような淡々とした毎日を過ごしていると、それまで気がつかなかったことが見えてきたりするものです。本を読んでいて、それまでなら読み飛ばしてしまったようなことに、引っ掛かるものを感じるようになった、かもしれません。人の言葉が立体的に感じられる瞬間があります。うまく説明できませんが、見えなかったものが見えるような気分になったり、聞こえなかったものが聞こえるような気分になったりします。
先週は「ヘッジホッグ」という本を読みました。モルガンスタンレーの元会長で、今はヘッジファンドを運営している人が書いた業界の内輪話のようなものなので、その方面について疎い人には、なんのことかわからない内容のように思えますが、自分にとっては相場や生き方に至るまで、示唆を受けるところが
多く楽しく読み通すことができました。
この本も、以前ならただ読み飛ばしてしまっていたかもしれません。それほど中身のある本とは思えません。それなのに、飛び出す絵本のように、そこに書かれている人が自分の近しい人のように感じられるところがいくつもありました。
昨日、日本のアマゾンに本の注文をしました。今回は須賀敦子の全集(文庫版:全8冊)と幸田文、神谷恵美子、福田恆存の文庫です。いずれも前回の注文で手にした坪内祐三「考える人」に紹介されていた「考える人」たちです。須賀敦子は、3月に一時帰国した時、たまたま日経新聞の文化欄にも紹介されて
いたので、ずっと気になっていました。
最近、以前にも増して外出が億劫になる一方、本を読んで静かに過ごす時間が楽しくなってきました。外出というより、人のたくさんいるところに出かけるのが億劫、と言ったほうが正確ですね。足腰の具合がだいぶ良くなってきたので、そろそろ外出が増えるのかもしれません。もし、出かけるとしたら、どこ
か空の広い場所に行ってみたいと思っています。
あと、9月に休暇を取って日本に一時帰国します。東京着は9月18日、東京発は9月30日の予定です。なるべく都合をつけて空けておいてください。どこかでおいしいものを食べましょう。
ところで、夏休みの予定はそろそろ決まりましたか?ロンドンに来る気があるなら、そろそろ準備もありますので教えて下さい。航空券を手配して送ります。
では、また来週。