熊本レポート

文字の裏に事件あり

江頭実市長も見過ごしたARIB規約違反の菊池防災無線統合整備事業 第2回

2013-10-08 | インポート
 ところで、この不可解で疑惑を招くような参加資格を同市の担当課が理解していたかということだが、そもそも設計委託の段階で決定していたことを想定すると、同公告の原案も担当課外で作成されたとも思われる(後述)。
 関係官庁からの通達の背景となった各入札監視委員会の報告書には、「資格の絞り込みによる入札は形式的入札」との警告もある。
「特定のメーカー指定となるような仕様書(18G)の作成をしてはならないとうのがARIB(電波産業会)規定」(総務省防災情報室)
 国土交通省の法務担当官も「特に高額の発注事業では競争入札、会計法二九条の三に抵触するか否かではなく、それ以前の常識」と語った。
Photo_17 ところで同入札から除外されたメーカー側から「未条件でも応札は可能と呼びかけられた」そんな意外な話も出た。
 数合わせの相談を受けたと理解されるが、担当課からの発出でないことは明白。
 場合によっては詳細を後述するが、右の「数合わせの要請」は本命を活かすという前提の談合でもあって、それが他社に拒否されて不成立に終わったとしても同市執行部、議会筋、またメーカー、コンサルタントのどこから発出した提案であろうと菊池市民にとって、それはコンプライアンスに反する侮辱的な行為。 また同入札に向けた仕様書は、NECグループ標準PCサービスの協力を得て、それは作成(電子技術応用)されている。
 前記した参加資格(同整備工事)の中には、「本工事の設計業務等の受託者と資本若しくは人事面において関連がある建設業者でないこと」という明記もある。
 ところが電子技術応用が菊池市の旧泗水、七城町においてメンテナンスに従事している既設の機器メーカーはNEC。長期的な同業務契約は、同参加条件には抵触しないのか、そうした疑惑も当然ながら浮上するが、主人公としての責務、同意識に乏しい担当課、執行部にその回答を求めるのは酷な話。
Photo_18 この皮肉を理解する市民なら今回の計画、入札がどれほど疑惑を抱えたものか、そんな結論に至る。
 菊池市民を侮ったのか、嘗めたのか、単純過ぎる雑なストーリーは子供でも審判を下せるレベルだが、企ての主人公ではないとしても、それを見逃したというより、黙認したとする現執行部の責任は極めて重大。
 コンサルタントとNECとの両者がサービス業務、いや事業形態でも極めて密接な関係だとなると、その技術の優秀性に関係なく、コンプライアンスから同入札を不成立とするのが公的機関の姿勢。
 開札は終わっても結果の公表は、臨時議会での承認後ということだが、落札価格は他の同種工事落札価格で10億499万5500円から11億2489万8750円(70~75)と想定。
Photo_21 設計委託と同じく低落札率で真面目な入札が行われたと思うだろうが、予定価格の設定が意図的に高く、自社製品ということもあって、実際は65パーセントが妥当な金額という関係者の見解もある。
 すなわち予定価格の5パーセント前後は、同営業経費で見込みずみという理屈。
 本事業で実際の絵を描いたのは誰かとなるが、先述の疑問点からして極めて雑なプランナーであることは確か。
 それを見抜けなかった同市の担当課はさらに雑で、本事案での江頭市長の責任は極めて大きいといえる。
 迫る臨時議会を念頭に問題の概要を先に述べたが、「速やかな自治の推進が疑惑解明や市民の理解よりも優先」と決済された頃、後述するとした関係者への検証結果を後編として報告…。




江頭実市長も見過ごしたARIB規約違反の菊池防災無線統合整備事業 第1回

2013-10-06 | インポート

 東北大震災の際、防災無線が全く機能せず(宮城県名取市・外れたネジ一個がヒューズにシュート・全サイレンが無作動)、それが多くの犠牲につながった。
 犠牲者の遺族や被災者が、設置工事業者のNECネッツエスアイに謝罪を求めたところ、同社は「お客様である名取市を飛び越えての直接的なご説明はご遠慮する」と回答し、同市民の怒りを買った。
 そのNECを誰かが菊池市に招き入れ、約15億円規模の「防災行政無線デジタル統合化設備工事」を江頭実市長は同社に発注の予定。
 ところが、この発注予定とした推察を契約前のここにきて、発注プロセスに疑惑があると声を挙げた市民がいた。
 そもそも「映像が鮮明、雑音が入らない」といった程度のメリットしKikuchi1かないデジタル化が、財政の厳しい時に何で何十億、何百億円も投下してまで必要かという意見が全国の自治体関係者にはある。
 特に移動式無線使用の消防関係者には戸惑いも多く、アナログからデジタル化は一言だとトレンド(潮流)。
 そうした背景の中で菊池市は24年7月3日、防災行政無線デジタル統合化整備に向けた設計委託の入札(一般競争)を実施し、電子技術応用(立山則生代表・同市泗水町吉富3215の91)が五百五十九万六千八百円(落札率60%)で落札。
 土木や建築の落札率と比べて「驚異的な低落札率」と思われるだろうが、同コンサルタント業界では種々の理由もあって(後述)、また同入札での他社の金額と比較してもこれは常識。
 菊池市の担当課に対して、予定の行政無線デジタル統合化における「マイクロ系18Gの導入理由」を聞くと、「コンサルタントの提案」と出た。
 全て理由、解説は後で(後述)という感じになるが、同市の発注担当課にも「マイクロ系18Gの重視」はなかった。
 ところが、このコンサルタント側の「マイクロ系18G」は極めて重要で、その理由は施工工事業者の絞り込みにある。
 現在、防災行政無線の機器及び施設を製造、建設している主な東芝、三菱電機、沖電気工業、パナソニック、NEC、日立国際電気、富士通とJRCの中で、このマイクロ系を取り扱っているメーカーはNECとJRC(日本無線)の2社。
 JRCは話題となった親会社の日清紡との出資金、株の攻防による影響もあって、まだ事業展開となると厳しい状況にある。
 …となると電子技術応用の設計受託によって、同整備工事はNECに事前決定したという見解も出る。
 9月13日に開札となった「防災行政無線デジタル統合化整備事業」の入札に向けて8月14日、同市は同工事対象業者へ入札を公告として案内。その参加資格として、
『市町村防災行政無線(デジタル同報系)のマイクロ系18Gを自らが製造(するもの)』
 条件を提示している。
 これは明らかに入札参加業者の絞り込み(2社)にあって、先述した設計委託段階での事前決定という容疑からしても、さらにここで念押しをしたと推察される…。


夜はホンネ!?のディグニティー

2013-09-13 | インポート

 田舎局スタッフのバラエティ制作番組での出来事と、視聴する気も起こらない者は笑って話を聞き流すが、テレビ熊本(TKU)の深夜番組・夜はホンネ!?にゲスト出演した経験の経済人は、「レベルの高い情報番組であった(はず)」(本人談)と眉間に皺を寄せて嘆いた。
 9月10日放送の同番組で、通称・結婚式場経営の某社取締役がゲストとして出演。
 説明するまでもないが、同社の結婚式会館は開業時から熊本市が「建築法違反」(同市建設局開発景観課)だと「撤去看板も辞さない」と対峙し、それに同社の「宴会の延長」という反論が同社らしいこともあって、南阿蘇村の神社擬と同じく同事案は報道関係者なら九割九分九厘方が承知。
 嘆いた経済人の愚痴も「品位」だが、これは軽く同局の番組に乗っかった本人の落ち度もあっての傷ついたプライド。
 しかし同局の制作趣旨が地元経済人、文化人の情報番組ではなく深夜のバラエティ番組だと説明されたとしても、全てを承知の上での制作とすると同局の公共性としての責任、またコンプライアンスはやはり問われる。
 8月27日には同局の報道部トップが酒気帯び運転で逮捕されて、過去にはF1ドライバーが同局のパーティーで賭けゴルフを引き出して挨拶したこともあった。
 キー局・フジテレビの視聴率も落ち目のラインだが、同局の自社制作番組に「品位に欠ける」という地元他局の裏での評を考えると、やはり同局の背景に見えてくるのはコンプライアンスの問題…。


文徳による文徳高校体育館建設で何が悪い…?

2013-06-12 | インポート

  学校法人文徳学園(熊本市西区池田四丁目)が、計画していた同校体育館建設(RC造一部S造4階建て6000㎡)を大成建設に発注。          ところが、ここまでの発注段階で再び株式会社秀拓が必要以上に介入と関係者の間でひんしゅくを買っている。
「事業費は補助金等に全く手をつけていない自己資金。だから大成建設への特命発注で何が悪い」     そんな君が淵学園型のコンプライアンスが飛び出て来そうだが、社長以外(会長・中山峰男学長、取締役・辻幸一常務理事、谷川多恵子財務局長、荒木孝洋文徳高校長)は学園関係者という株式会社秀拓による深い関与での発注となると、一般市民にはやはり疑問が残る…。


崇城大学(ホンダフライングスクール)でANAという噂!?

2013-02-05 | インポート
 言葉は同じ「教育」でも、公地の無償使用、公金によるPR、別会社での利益捻出で増長したか、養成はホンダスクールヘの委託でも県の支援、「就職はANA」と嘘八百で2000万円の学生を掻き集める愚劣な反面教師…。
 地方都市の川辺にあるホテルのロビーで、
「入学案内に編された」
 就職して間もない青年は目を閉じて独り言のように呟いた。
 希望に燃えて大学に入学して、途中で不備な環境に察しはしたものの、卒業後の就職先は大学の入学案内とは大きく掛け離れていて、満足のいくものではなかったと、そう振り返って語った。
 平成24年4月、学生の就職率は前年同期を2.6ポイントほど上回って93.6パーセント。
 失業率4.5パーセントを超える不況の中からは、
「甘えたことを言うな」と反論も予想されるが、入学金や学費、それに学生の生活費等を合わせて2000万円もの大金を投じて希望した大学を卒業し、その就職先が入学案内の通りには適わなかったとなると、その本人だけでなく、父兄にあっても愚痴の出るのは当然。
 過大広告で招いた大学はもちろん、その責任は問題の大学へ入学を薦めた高校にも存在する。
 これは特定の大学だけを指しているわけてはないが、特集してきた「崇城大学の虚像と実像」にもこうした点で疑問符が打たれる。

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 昨年6月、能本県は崇城大学(中山峰男学長・熊本市西区池田4丁目)と「パイロットのふるさとづくり等に関する包括連携協定」を結んだ。
 簡単に説明すると、これは「崇城大学は今後の需要を想定して『熊本県がパイロットのふるさととなるようにその養成に務める』、そして県はそれを支援、協力する」という趣旨。
 ところが、これは明らかに絵に描いた餅。
 国土交通省航空局の幹部職員も、個人的な見解と断って「熊本県は航空情勢、行政もそうだが、崇城大学の教育環境、現実を承知していないのではないか」と、同協定の真意を疑って語った。
 受け取り方では、「乗せられた熊本県」とも理解される見解。
 乗せられたという読み、推察の解説、また我が国のパイロット養成における現状等を説明するが、その前に対象の崇城大学宇宙航空システム工学科パイロットコースについて、「店子が教育に努めている」ちヒントを与えてくれたのが航空局。

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 国内で唯一、空港にキャンパスを置き、ラインパイロットの養成という触れ込みの同大学空港キャンパス(菊池郡菊陽町戸次)には、本田航空株式会社(広瀬文郎社長・埼玉県比企郡川島町)の熊本事業所(運航グループ・整備グループ)が同居している。語られた店子とはこの同社。

Honda

「学生の単発機での操縦訓練と整備は当社との委託契約」
 本田航空側は同委託契約を認めた。
 崇城大学サイドから漏れていた「委託料が高額」という話を投げると、「教授の身分保障も当社への出向社員という経理関係にあって、それを承知していない人の不正確な発言」(本田航空サイド)と意外な話まで返ってきた。
 これについての問題点は後に置いて、同大学におけるパイロットコースの教育、及び訓練機等の整備が本田航空の代行であることは明らか。
 航空局側の話に戻すが、崇城大学は単発機等での『航空機使用事業』(航空法第123条)の許可を得ていないのである。
 そこで、代行役に引っ張ってきたのが本田航空。
 市民的な解説となると、入学案内で「就職先はANAフライトラインテクニクス」と過大広告で学生を募集し(初年度学費約300万円)、しかし教育は本田航空に任せてのパイロット養成。
 単発小型機でのパイロット(旅客、貨物)を目指すなら何ら問題はない。また測量、報道関係と需要は少ないながら存在し、努力次第では就職の道もないわけではない。
 ところがJALやANAのエアラインパイロットとなると、どうか。
 パイロット養成の学校は崇城大学の他にもあるが、JALやANAのラインパイロットヘの道は大卒者の自社養成と、短大卒以上の独立行政法人日本航空大学(宮崎市)に限定されるといっても過言ではない…。
 JALの場合、経営上の問題から新規募集をストップしていたが、それ以前及び直近の回答によるとJAL、ANAの大手航空会社のエアラインパイロットは、日本航空大学出身者が約5割で自社養成の方が約4割。残りの1割が防衛省(航空自衛隊)出身と、その他となる。
 ANAの自社養成への道は東大、京大、慶大など進学予備校のランクで74ポイント以上(崇城大学48)の大学出身者が、競争率300倍で合格を目指す難関のコース。
 アメリカでの教育実習を含めて、その環境は充実しており、しかも給与を貰いながらのパイロットヘの道である。
 一方、国立大卒者が改めて入学する航空大学の場合は、入学料約28万円、授業料約73万円と国立だけに学費は安いが、ここもレベルは高く、合格率は10倍。
 高額収入、社会的な地位もエリートと称されるエアラインパイロットだが、一方では五百名もの人命を預かるパイロットであって、心身ともにハイレベルの能力が求められるのは当然。
 昨年、崇城大学は四名の卒業生をスカイマーク社へ送り出したが、乗客の立場で考えると彼らの現状は推察通り。
 ちなみにスカイマーク社の給与は、約十年を要して操縦士になってもJAL、ANAの4分の1以下である。
 断っておくが、JALやANAのパイロットが測量会社や報道機関の単発機の操縦士よりも人間的に偉いとか、偏差値の高い大学が、それよりも低い大学に比べて全てにおいて優れていると評価するわけではない。
 問題だ指摘するのは、学生募集で想定すら無理な『就職先はANA』という虚語で学生を集めて、「年間300万円もの学費といいますが、食費等の生活費を加えると四年間で2000万円の支出」(父兄談)という多額の負担を学生に強いて、教育は民間操縦養成所に委託し、広告とは大きく異なる企業に送り出す大学の倫理観。
 見方によっては「騙された犠牲の学生」ということにもなるが、その責任はどこにあ
るのか。
 全ては大学サイドの都合上の運営で、それが最優先されているとはいえないか。
 そこで同大学側が「熊本県も支援、協力を約束した」と躍起になるのは分かる。
 だが県も一体となって、『くまもとをエアラインパイロットのふるさとにする』といっては、「くまモンの戯言か」と笑われる…。(平成24年3月19日発行の「問われる崇城大学の教育」を参照)