熊本レポート

文字の裏に事件あり

熊本の農家が育てるみかんはカゴメが製造し、ヤクルトのみかん・オレンジジュースとして販売 (第3回)

2017-09-27 | ブログ

 JA熊本果実組合連合会が2008年に白州工場(山梨県北杜市)の増築に入った際、周辺の農家とトラブルが発生。新しい井戸から試験的に取水を始めると、途端に周辺の井戸水では水圧が下がり、蛇口から水が出なくなったのである。この時、同連合会は「市長(北杜市)の許可を得ると周辺の同意書は不要」と回答したため、土地売買の一部契約者が、それを破棄するという騒ぎにもなった。現地関係者は「同工場の建設には色々な噂があった」と語るが、同じ農業生産者からの批判となると、「コーヒー飲料ならともかく、JA熊本県果実連は熊本の果樹農家が生産したみかんをヤクルト、カゴメという競合の飲料メーカーから製造受託し、それを販売してもらっているのだから、みかん農家のプライドまで売っている」(JA和歌山、愛媛、静岡の果樹担当談)という皮肉ほど痛烈なものはない。
 それが別の形(仏ダノン社によるM&A強行策に対抗しての株主対策)で知らされたのが、同連合会の理事らだけが知る「ヤクルト他の有力株主」という特権。先にも述べたが、農協が有価証券を所持したとしても何ら違法性はない。しかし受託製造における施設、機械提供としての経理処理が問題と限定するわけではないが、農協には監督指針というものが存在する(詳細は次号)。
 一般論から「93歳の会長を白寿まで酷使するつもりか」と問うと、「トップの長期化は癒着、利権などの弊害を生み、社員の勤労意欲も失われる」と複数の理事が揃って否定するが、彼らの反会長説について、果樹農家の若手が「反発も総会(会長選)までで、結局は利権配分を巡っての反発」と、これまた揶揄する口調で解説。彼によると「前回の増改築でも、そうした手法を使って会長に利権を求めた理事がいたと聞く」と、会長再選劇の裏舞台は利益配分要求と語り、「明日の熊本果樹農家を責任として考える理事は、浦田会長以外にはいない」と続けた。
 確かに同連合会は来年、熊本本所及び工場の大改築に入る。だが、「次の次はないね、JA熊本県果実連はJA熊本県経済連に統合という計画があって、その道筋にある」と、JA熊本県幹部の一人が断言。すなわち、浦田会長の後継は存在しないのである。
 そのためか浦田会長は九月中旬、JA鹿児島県側の理事を訪ねた。訪問の目的が、みかんの生産や販売に関しての協議でなかったことだけは明らか・・・。


玉名市長選挙と被った衆院解散に基づく熊本地方区の戦況と北朝鮮

2017-09-20 | ブログ

 10年にも及ぶ北朝鮮に対する制裁措置は、同国の核開発スピードを弱めるどころか、米国本土の喉元に刃を突き付ける能力までも獲得し、強い立場での交渉の舞台に挑める公算を大きくした。その善し悪しはともかく、それが力(国防力)を背景とする外交であって本来、それが北朝鮮の目的であり、人の交流による話し合いなど当初から通用するものでなかったことは、歴史を語るまでもない。
 それでは今後の展開だが米国、いや国際社会は、韓国どころか日本も北朝鮮から反撃の出ることを承知で、同国の国体壊滅に突き走るか、または北朝鮮の核保有を認めるかの二者択一となる。厄介なことに非当事者とされる日本の世論も二分するが、その一方の「災難は棚上げ」とするという世論と同じく、米国が「北朝鮮の核保有」を認めるという選択を執った場合、その結果はどうなるか。
 米国本土が初めて攻撃されることで日米安保条約(国防)の見直しも出て来るが、50%以上の国民が賛成という韓国の核保有はともかく、確実な点は日本の背後は政治体制の異なる(中国・北朝鮮)核保有国という相関図の確立。外交のバックアップが国防力という現実を考えると日夜、日本は地震と同じくJアラートに注意する日々を迎えることになる。ドイツとは異なり、隣国に同盟国を持たない日本はその時、どういう進路を執る備えをしているというのか。
 さて、森友学園や加計学園問題が浮上した時、10月の衆院解散を予想したが、その理由はそれでも支持率の上昇しない民進党はともかく、同党に替わって都市部で期待された都民ファーストの存在で、それと連携した国民ファーストが本格化する前と想定するのは、重要な政治課題を前にして安定政権を念頭とする政権側なら誰もの常識。
 早々と不謹慎なその予想となるが、都心部を除いて地方は民進党の壊滅に近い敗北だけは明らか。同党の再建には、先ず地方支部から都民ファースト方式の組織改革が必要と断言するが、それが困難な既得権体質だけに同党の旧社会党化は当然な予測。
 さらに熊本小選挙区まで、その理由他は省いて予想すると、熊本1区は木原稔氏の再選で、松野頼久氏は前回以上の大差を付けられ、役員待遇の順位により比例重複でかろうじて再選と見る。
 熊本2区は、ここは現職の野田毅氏と西野大亮氏という自民党、自民党系という旧中選挙区制度並の熊本では唯一の激戦区。玉名市長選挙とダブルとなると、西野氏は同選挙で先行評の蔵原氏と連携を語っており、鍵は一方の熊本西、南区選出の村上寅美県議の働き次第と、西野氏の後見人と称される古賀誠元自民党幹事長の関係者は語る。
 野田毅氏サイドは、浦田祐三子県議を市長選挙に鞍替えして両方の勝利という戦術もあるが、有利な戦術には裏目もあって二人の双方に大賭けの選挙。
 3区は政治の無風地帯とまではいわないが、坂本哲志氏の再選は今回までは確定。次に合併区の4区だが、民進党の公認を得た矢上雅義氏は逆に前回よりも票は伸びず、園田博之氏の当選は確定並みと予想され、譲って九州比例区に回った金子恭之氏も最後尾に順位付けされない限り、再選は確定と想定される。選挙は有権者対象の心理戦という認識にあるが、「選挙は魔物」と逆転劇を見せる戦術家も不在で、酒樽持参の観覧席は不要と見る。
 北朝鮮問題と衆院解散、同選挙による当落、それに同日選挙が濃厚な玉名市長選挙については冷静な判断で、その理解は誰でも早いと思われるが、それが各々の都合の良い解釈、想定となるから問題は複雑化する。揃っていえるのが、彼らに欠如しているのは危機管理・・・。


玉名市長選挙(3)現実から見た傾向

2017-09-14 | ブログ

 原発推進か、それとも廃炉か、また合併か市町村統合反対か、といった住民を二分するような決断を迫られる課題などない場合、すなわち特異な争点の見当たらない首長選挙で、「公約が決め手」と自信をもって応えられる有権者がどれだけいるだろうか。まして接戦での当落となると、双方の支持者から「政策の違い」と言われても、両候補の政治に特段の違いはなかったといえる。
 人は誰でも理想を繕うとするが、その二分された背景には義理と人情に繋がる地縁や血縁、また利権という現実が存在することは明らか。
 また政治とプライベートは別物という考えにあるが昨今、倫理としてそれが政治姿勢に組み込まれた。女性層の有権者を中心にそれが嫌悪されて問われ始め、国政では魔女狩り化した感じにある「不倫等の男女問題」である。それが感情型の選挙では、最も投票に影響するから重大。
 こうした現実の投票条件を背景にして選挙は行われるが当然、候補者側の陣営もそれらを念頭に選挙運動を展開する。すなわち、現実的な数取り合戦である。
 先々号で案内した通り10月22日の玉名市長選挙に出馬を予定しているのは元市議の蔵原隆浩氏(51歳・熊本商科大学卒)、現職市議の田中英雄氏(56歳・明治大学卒)、そして元県議の橋本太郎氏(71才・早稲田大学卒)の3人。
 蔵原氏には早速、次衆院選に立候補が噂されている西野大亮氏が支援を決め、同氏が帯同しての挨拶回りに入り、また田中氏には早々と現職が支持を表明。
 ところで玉名市長選にも積極的に介入(後援会活動)した西野氏に比べて、構図的にそこと最も遠距離にある野田毅後援会だが、同後援会事務所は未だ静観の状態。そんな中で飛び出したのが、自民党県連の幹部である某県議の「浦田(祐三子)県議を担いで自らの選挙でも挽回を図る」との見解。決して「鞍替えしての市長選」は意外な賭けでもないが、同候補なら県議選での1万票余りの得票を考えると、先に述べた不祥事でも浮上して来ない限り当確。
 ところが蔵原陣営にあると見た他選挙区の先述した県議が、「前回の市長選挙を知らないのか、2万票の実績がある」と蔵原氏の当選を主張。そうなると、田中氏の支援者も「現職の得票も2万票余り」と強き。
 次の選挙に最期を賭ける野田毅後援会が静観で通せるわけがなく、また市長選で敗北を市民に見せたら自らの選挙も危ういわけで、有権者に違いの最も分かり易いのは「浦田候補(女性)」と告示寸前、後出しじゃん拳で山を動かす可能性も確かにある。もちろん、二者にとっては大きな賭け…。


2017・玉名市長選挙(2) 北朝鮮問題に酷似した理想を繕う現実の首長選挙

2017-09-13 | ブログ

 国連安全保障理事会は11日夕方、北朝鮮に対して石油精製品の輸出を現状より約3割削減するという内容を柱にし、その新たな制裁決議を全会一致で採択。
 政治、それも政策の中で教育、防衛と同じ国の根幹ともいえる外交問題について、本来はここで語るつもりなどはない。その立場を弁えてというより、それは論争の究極が如何なるものかを承知してのタブー視であって、ここはそうした論争を好まぬ勝手な独り言。
 アントニオ猪木氏の訪朝を知った瞬間、「パスポートの剥奪」が頭を過ったが、「国賊レベルで議員除名」との主張に注視していると、そのネットには逆に直ぐ「平和外交こそ大事で猪木は安倍よりも偉い」と文字が現れ、そこは続けて波のぶつかり合いの画面化。議員失格となると、それは有権者である国民側の責任ともなるが、これが我が国の市民レベルというか、いや国政の一部においても未だ現実的な論争。
 そこで独り言を急ぐが、10年にもわたる北朝鮮に対する制裁措置は同国の核開発スピードを弱めるどころか、米国本土を核ミサイルで攻撃する能力までを獲得し、強い立場で交渉の舞台に挑める公算を大きくしてきた。
 そこで米国の執るべき道となるが、国際世論の反発、韓国どころか日本への北朝鮮の反撃も承知で北朝鮮への攻撃に打って出るか、または「北朝鮮の核保有を認める」かの二者選択。結局、米国は「北朝鮮の核保有」を認めるという公算が強くなった。
 そうなると次の展開だが、初めて米国本土を攻撃されるという状況となると、戦術核兵器の再整備検討どころか、韓国も日本も核の傘という効果が厳しくなってくるのは当然で、場合によっては韓国も自ら核保有(国民の過半数以上が賛成)を急ぐことが推定される。
 朝鮮半島の統一について、我が国の国民の多くは「韓国による統一」を想定するが、北朝鮮による統一だって、それを否定できる材料は何処にもない。
 それでは我が国はどうなるかだが中国、北朝鮮の核保有国に囲まれて、日米安全保障条約に疑問符が打たれるとなると、それでも「人的交流、話し合いの外交」で平和を維持できるか否かということになる。
 平和というものが、外交のバックアップとして、そこに軍事力が存在するという現実、それを改めて教えられたのが北朝鮮問題。Jアラート騒動の世論を考える時、日本の文化(人、社会構造、国土、歴史)を守る平和とはどういうものなのか、それを一人一人が真剣に考えるべき瀬戸際にあると思うのだが、それに未だ甘いのも否定できない日本の世論である。当然、人は理想を目指すが、不幸にも人には現実が存在する。それでも人は理想を繕うが、その善し悪しに拘わらず現実を認める事で理想は活きる。悲しい戦争に突入した当時の日本と状況は似ているというが、違うのは相手の喉元への刃という兵器が出現しての外交。
 さて北朝鮮問題と玉名市長選は何で繋がるかと疑問どころか、反論も浮上するだろうが、大差での決着ならともかく前回、「公約、政策」を巡って市民は二分し、結果は僅差での勝敗。質疑を有権者側から自ら挑み、十二分に理想に向けて公約を精査し、冷静に判断したら大差での結果が想定されるはずだ。
 もちろん、玉名市長選だけでなく、他の首長選挙も同じなのだが、両者の支持者が利害、そして好みというイメージで二分されるから接戦となったと、そうは結論されないか。義理と人情、感情、そして利害という日本人独特の文化による選挙、それが現実である。マスコミ等の第三者が、そこで冷静な判断による予想が的中するのも現実。先号で後出しじゃん拳の勝利と、その不安材料を挙げたが、そこからの『勝つのはどっちだ!』へ向けてのスタートである・・・。


2017・玉名市長選挙(1) 競合飲料メーカーの受託工場化したJA熊本県果実連による告示前での政治力学

2017-09-11 | ブログ

 2013年、全国紙証券部の某記者がJA熊本県果実連の浦田勝会長を訪ねて来熊。訪問の背景には当時、ヤクルトに勃発したお家騒動があった。
 その前年、ヤクルトには仏ダノン社(同社株20%の筆頭株主)によるM&A(合併・買収)の強攻策が噂されて、それがヤクルトの役員、松尚(ヤクルトの天皇と称された故松園直己氏の資産管理会社)、そして販売会社までも巻き込み、そこから同社にとっては株主総会まで存亡を占う一大事となった。
 そうしたヤクルトの株主総会前での訪問で、JA熊本県果実連が同社の株主、しかも影響力の大きい株主だと知ったが当時、不可解であったのは事業収支報告に出て来ない同有価証券。有価証券の所有については過去、バブル崩壊で投資資産が狂って破綻した農協も出現したが、農協法に同所有の禁止事項はない。しかし、そこには監督指針が存在。この点から詳細は次編で述べるとするが、JA熊本県果実連のヤクルト株は金品で購入されたわけではなく、ヤクルト製品の受託工場に伴って発生、所有処理された株主。
 熊本県はみかんの生産量において全国4位だが、そのベスト3であるJA和歌山、JA愛媛、JA静岡の柑橘類担当者が揃ってJA熊本県果実連を批判。
 「コーヒー飲料の製造ならともかく、主生産の柑橘類において、しかも競合する飲料メーカーから製造受託するなんて異常」
 彼らの批判通りJA熊本県果実連の熊本工場及び白州工場は、ヤクルトの柑橘ジュースを製造する受託工場。しかもヤクルトだけではなく食品、飲料の総合大手メーカーであるカゴメの受託工場でもあって、さらに大手飲料メーカーとも協力関係にある。
 もちろん、この他県JAの批判は農業生産者としての姿勢の問題で、「営業意欲に乏しく、その手間を省いた」と感情論で片付けられるのも確か。
 競合する大手飲料メーカーの製造受託工場、そこで得た飲料メーカーの有価証券については関係理事が承知した事実にあるが、問題なのは生産農家の殆どがこの事実を初耳とする組合員の認識、意識。
 熊本本所及び工場の大改築、いや同計画以前における白州工場の改築、そして本所隣接地の土地購入問題をどれ程の生産農家が、その実態を把握しているかとなると、93歳の会長を「白寿まで酷使」という姿勢からして、それは語るまでもない予測か。
 ところで再選意欲に旺盛な同会長の地元玉名市長選挙(10月22日投票)が、告示まで1ヶ月と迫って裏が騒々しくなった。
 現在、出馬を表明しているのは元市議の蔵原隆浩氏(51歳)、現職市議の田中英雄氏(56歳)、そして元県議の橋本太郎氏(71歳)の3人。早速、蔵原氏には西野大亮氏(次衆院選出馬予定)が支持を表明して、帯同しての挨拶回りにあるが不可解なのは、一方の野田毅後援会の未だ静観の状態。
 そこで浮上したのが、意外でもない「浦田佑三子県議の鞍替え出馬」である。
「裏のアクションを推察すると発信源は浦田会長(JA熊本県果実連)」
 選挙区外の県議が浦田会長の息女・佑三子県議の玉名市長選への出馬を予測。表面だけとはいえ、政策論争となる1対1の選挙ならともかく、候補者4人という数取り合戦の感情選挙では、前回の県議会議員選挙で1万票余りを得票した同県議なら明らかに当確で、後で気付くのは巧みな政治力学。昨今、女性議員の浮気、不倫が多発し、それによる離党、辞職を考えると、女性層の感情型政治による怖さを思い知らされるが、そうした不祥事でも起きない限り、裏で語られる浦田市長の誕生は確定といえる。
 それにしても「職員が勤労意欲を失っている」、「権力の長期化は腐敗の温床」という批判が勝手な陰口に思えてくる93歳の再選問題、そして息女の市長選出馬となると、やはり上昇気流の羨ましい幸運の連続であろうか・・・。