熊本レポート

文字の裏に事件あり

有権者の多種多様化の中での「落選運動」の必要性

2018-10-15 | ブログ

 天皇論にしても民族派と行動右翼との間には大きな差がある中、その彼らが一致して守ろうとする日本文化が異常な多種多様化を見せている。
 喉飴を口にして法廷で陳述するような弁護士に対し、それが法廷で許されるかという問題もあるが、こうした弁護士に果して弁護を依頼する者がいるだろうか。またMC、コメンテーターらが揃って喉飴を食べながら社会問題を語るワイドショーなど、視聴率はどうあれ、それ以前にスポンサーが付かないことは確か。
 こうした中から異論の出ることは、それが傍観者としての自由な立場からの主張であるが、「弱者サイドの意見は全て正義」という一部の風潮は実に問題。しかし決定的な論争の終局を考えると、この多種多様化した日本文化の中で、1ヶ月以上も全国的に物議を醸した「熊本市議会での喉飴事件」ほど対峙を避けたいテーマはない。
 政治家とは「(他)人のために尽くすことにある」とされるが、該当の議員が市民約4200人から支持された代表であることは確か。議員としての品格はどうあれ、議会運営上において問題とするなら、そうした側はこの4200人の市民に対する課題を負う必要がある。
 日本の地方選挙は争点を避け、自らの当選に向けてひたすら地縁、血縁で走って来た傾向にある。そろそろ自らの政策をもって争論を設定し、勝負を決定する地方議会選挙が求められる。また有権者も理想とする地方議会の在り方を考えると、支持する候補者の当選を願っての運動だけでなく、対峙する候補者の落選運動も必要なことは確か。
 落選運動の必要性を口にすると、直ぐ違反的な過激な選挙運動に誤解されやすいが、過激な選挙行動ほど有権者に拒否反応を示されるのは地方首長選挙の結果で明らか。選挙法の下で理論的に、そして冷静に対立候補の支持者らに訴えて(理解を求めて)いく必要がある。
 多数相対の市町村議会選挙はどうあれ、当落を左右する対立候補が明らかな県議会議員選挙では特に今後、この「落選運動」が重要ではなかろうか。そのためには地方政治の課題を知り、それによって候補者に論争を挑むという有権者の出現であって、そこには候補者以上の政策通が求められる。支持候補を当選させる上での「落選運動」であるが、2倍効果を考えると、これほど有効な戦術はなく、そのために候補者陣営でのスタッフ養成が求められる。
 しかし繰り返すが、選挙違反に遭遇するような過激な「落選運動」は、それ以前に有権者から反発されるのは確実で、そこには「演説会を楽しもう」の姿勢が必要なことはいうまでもない・・・。


泥の有明海を前に欲と邪推とが交錯し続ける県漁連会長選

2018-10-02 | ブログ

 有明海における海苔の養殖は、年間100億円(生産額)を超える熊本県の主要産業。また昨年は「塩屋一番」が、乾海苔の初入札会で国内最高値を付けた。
 熊本産海苔は佐賀、福岡県産の海苔に比べると、今まで知名度が低く、入札価格も低い傾向にあった。これが「熊本ブランド」として上昇し始めたのは、生産者が顔写真を商品に添えて出荷するようになったこともそうだが、取引商社などを通じて一部の彼らが情報収集に努めて味や香り、また柔らかさなど消費者第一として「消費者ニーズ」に生産者が努めて来た結果。
 これは同時に今後の消費者次第では「ブランドの崩壊」をも意味するが、その懸念されるのが「熊本産アサリ」に見られる環境問題、そして一部生産者の同認識。
 昭和52年の約66000トンをピークにして、「熊本産アサリ」の生産量は大きく減少して現在2000トン前後。こうした背景で発生したのが、平成24年の韓国産アサリを「熊本産アサリ」と偽装して、それを全国販売した事件である。
 当時、ゲルマニウム砂を蒔いた所にアサリの成貝を入れ、そこで養殖するという韓国産アサリ(別名・ゲルマニウムアサリ)が日本へ輸出(600万トン)されたと報道されたが、この「肉質が良い」とされたゲルマニウムアサリについて厚生省は後日、「肝臓への副作用が懸念される」と注意喚起を行った。また中国産アサリは「食べて一晩中トイレから出られなかった」などの症状通り、これも別名ではヘドロアサリとも称された。硫化水素やメチル水銀の含有率が高かったという報告もあるが、硫化水素の有害はもちろんのこと、水俣病の原因ともされるメチル水銀は、環境中の水銀が生態系の食物連鎖を通じて蓄積されたもので、人の健康に悪影響を及ぼすことは言うまでもない。
 こうした消費者ニーズに反する偽装熊本産アサリの出現は、一握りの生産者、協力生産者による行為にしても、それが熊本産アサリの市場縮小に影響したことは確か。
 また有明海・八代海総合調査評価委員会は、アサリの大幅な生産量低下について「底質(海岸海底)環境の悪化」を理由としたが、先述した偽装熊本産アサリ問題と同じく、環境問題に対する自己責任の認識度にも問題はあるとされる。消費者ニーズに応えて、努力する生産者のいる一方で、それを軽視した生産者も抱える漁協に問題のあることは確か。
 漁業関係者には周知の事実だか、現在の有明海は「泥の海」と語られる。浮き泥が西向きに緩やかに流れる時差流で、そこで溶存酸素濃度が低ければ赤潮の発生は当然。
「近い将来、海苔やアサリの生育に滴さない漁場」
 関係者の一人は懸念して語り、
「国が県がと批判するより、先ずは自己責任」
 その自己責任とは漁協、漁連のリーダーだと続けた。
 確かに、そうした悪化した環境での海苔、アサリの生育は生産の上でも問題で、また消費者のニーズに応えているとは決して思われず、早急な改善策が求められるが、その第一が関係者の認識不足にあると言うのである。
 海苔、アサリの単価低迷、そうした中での燃油高騰と膨大な設備投資、これらが漁業関係者のやる気を失わせる悪循環の状況にあるが、「熊本産」というブランドを全国、外国の消費者に積極的に売り込んでいく漁業者が居る一方で、漁場の環境悪化が懸念されていることは確か。
 こうして考えると、会長選挙で揉めている余裕など県漁連にはなく、人材がいないのであれば組合法を改正してでも外からでも迎えるという気概が、熊本の漁業には必要だと、関係者の一人は結論した・・・。