詐欺師が、「歴代の武将だって詐欺師」と法廷で叫んだというが(元検事談)、石川五右衛門と秀吉との「泥棒談義」はともかく、歴代の武将にも策の結果としてそこに存在しても、そこには「大義」があった。
(写真と記事とは無関係)
だが、詐欺師には頭の片隅にも「大義」などは存在せず、在るのは姑息な知恵と、それによっての犠牲者を生む犯罪行為。オレオレ詐欺もそうだが、決して社会は寛容であってはならない。
さて今回の環境開発有限責任事業組合(熊本市南区出仲間)を巡る詐欺事案は、主犯の篠田某も500万円を出資して始めた訳ではなく、出資0からこの事業を企てた(第1回記事修正)。
「事業資金は0だけど、事業そのものは極めて利益見込みが高く、賛同する各位の資金提供で実現」
そういう思いで計画したのか、それとも
『手っ取り早く金を得るために出資として金を募る』
その趣旨(犯意)だけで、名目の事業を企てたかであるが、①限定された市場となる特殊な焼却炉の販売、その事業目的に出資を家庭の主婦まで募ったという点、②単独契約は認められず、課税対象外(所得課税は各自対象で利益配当は非発生)とされる有限責任事業組合で事業をスタートさせた点(費用が安価で、手続き等が安易)。こうした点を考えると明らかに後者、即ち詐欺的意図があっての投資案内、その金(出資金)の受領であった疑いが極めて濃厚。
しかも、事業主として③1年間もの間、何ら事業の進展が見せられず、蓋を開けたら④環境開発有限責任事業組合の銀行通帳は残金1万円。これでは、これは明らかに詐欺。
結果、問い詰めた篠田の弁明は「横領しました」である。勿論、横領ではなく詐欺。
現在、被害総額は5000万円弱と確認するが(出資組合員が不透明で増加する可能性有り)、別事案で1600万円の被害者が存在するものの、この単独事案だと1人300万円から500万円の被害額。
即ち、投資家の間では『微々たる出資額(被害額)』(元警察関係者談)
「絶対に許されない悪事」
今回の被害者は揃って怒るが、篠田や、その周辺は『後免で済まされる個々の金額』という見解にあると推察される。
篠田が『横領しました』と自白した後、この案件処理で、それが継続しているのであれば、世間一般の常識では事件化にもならないが、篠田はその翌日から逃亡(音信不通)。
ここで登場して来るのが、篠田と同じく無銭で同組合の役員に座った吉永某女史。
(写真と記事とは無関係)
彼女も被害者の夫人らと同様、「何でこの事業に参加」と疑問も浮かぶが、被害者の夫人らと異なる点は、何ら出資もしておらず、被害0という役員。
この彼女が『組合は解散』と現在、篠田とのパイプ役を務めているが、篠田とこの吉永某女史の間柄は、その背景から想定内。
ちなみに彼女の本業は、薬事法違反で度々、業務停止で話題となったガン薬販売会社の代理店業務(熊本市東区)。同社の健康ドリンク、化粧品等の訪問販売である。
次に登場して来るのが2008年、倒産した N工務店(熊本市水前寺公園)の元代表T 氏。
この T 氏が、火中の栗を拾うがごとく「穏便に頼む」 と被害者側に直筆の書状を送って来たのだ。
普通なら長い人生の中、辛酸を舐めて来た人物なら尚更、避けて通る案件だが、敢えて彼は書面に託した。明らかに彼には、そこに必要性があったと推定される。
勿論、彼にも「後免」で済まされる投資家各々の被害額と、そうした思いが存ったと想定される。
この T氏は近々、この事案での関係者を含めて、新たな事業に乗り出すという噂だが、「資金は?」と首を傾げたくなるのは彼を知る周知の事実 。
詐欺、いや横領にしても「投資家にとって、3桁(万)の金額は小遣い銭」という見方もあるが、決して、そうだとは限らず、老後への蓄えを更に増やそうと配当に期待し、この実態のない投資に賭けた主婦も存在。
オレオレ詐欺もそうだが、経済犯罪は、そこへの注意、警告も当然ながら、その犯罪は絶対に許さないと、そうした厳しい姿勢が社会全体に求められる。
消えた5000万円、さて何処へ行った? 近々、この謎の解明は司法に委ねられるが、犯罪に対して被害者や社会は決して寛容であってはならない…。