熊本レポート

文字の裏に事件あり

政治家資質の問われる南阿蘇村の農地無断転用問題

2015-07-08 | ブログ

 過去において不愉快、誹謗中傷、追い詰める、揚げ足をとる、遺恨、政争と、これほど暗い被害妄想の言葉を並べるだけ並べて、それを住民に広報した首長が日本の近代政治史上で他にいたであろうか。
 自ら侵した「中山間地域等直接支払制度」の違反について村議会、村民から批判の声が上がると早速、南阿蘇村の長野敏也村長は後援会紙で反論攻勢に出た。しかし、その内容が冒頭に紹介の被害妄想からの愚痴、問題の摩り替え、責任転嫁といった内容では選挙時の次元の低い怪文書にも劣るし、それにここでは理解の困難な「選挙が終わればノーサイド」という表現まで出されると、それは独り相撲の屁理屈。
 その自ら招いた問題での心境は察せられるが、同村長の懸念する辞職、選挙とかの政局は後に考えるべき手段であって、いま村民が考えるべき本題は「村にとっては重要な問題ではない」とした彼の「中山間地域等支払制度」への対応と見解。
 南阿蘇村に限らず、美しい山や谷などの景観をもつ日本の中山間地域には一方で、住民の高齢化や人口の減少から農業、集落の明日を心配する声がある。
 そこで平成十二年、傾斜地が多く耕作面積の狭い中山間地域は、農業の生産条件が平地部と比べて極めて不利ということで、集落ごとで協力して農用地としてそれを続けていくという約束において、そこに交付金が支払われることになった。これが今回、問題の「中山間地域等直接支払制度」。その交付金の原資は二分の一が国費で、後は都道府県と市町村がそれぞれ四分の一づつとして県民、該当の市町村民も支出している制度。
 この制度は農家、農村集落の維持だけが目的ではなく、洪水や土砂崩れを防ぎ、美しい風景や鳥、動物たちのすみかを守ることにもつながって、国民全体に効果をもたらすとしてスタートしたが、今年度からの第四期対策では単に集落活動だけでなく、そこに女性や若者らの参加、また園児らの農業体験という活動にも支援金が交付されることになった。該当地外からの市民活動、また観光経済への支援でもある。そして農作業に困難な高齢者の農地を守るために集落の農家が協力しあったり、用水路など村の自然を守っていくとした地域社会活動の支援も行う。
 また現在、人口の減少問題から住民の協力による葬祭、集落における伝統行事等の維持まで限界集落として社会問題となっているが、そうした集落活動の仕組みを守っていく上での制度でもあって、それは国民全体の明日を考えての農政。
 この「中山間地域等直接支払制度」における協定は、集落ごとに農家が管理方法や役割分担まで何回も協議し、村はその度にそこに参加して、そういう経過で納得して村長も中心となって締結、調印したという背景にある。
 同制度が「農用地としての維持」を目的にする以上、農業者の病気や災害という理由でもない限り、協定を結んだ集落で「農業生産活動が続けられない」とする農地が出た場合、そこには常識的に協定違反として交付金の返還が約束させられた。先述した協定締結までの経過からして不認識、不理解などは許されない首長が、該当農地を「石垣を積み上げて駐車場に変更」したとなると、そこに集落の連帯感、協調性など存在しない「驕り」があったのは明らか。
 同制度では急傾斜の田で十アールあたり二万一千円、緩傾斜地の草地で十アールあたり三千円が交付されるが、該当の長野集落(五十八人)には年間一千六百万円、一期五年間で八千万円が支払われた。少なくとも一期八千万円が、協定違反における返還金。首長の「驕り」が、それによって五十八人の被害者を生んだだけでなく、村における「中山間地域振興対策」を根本から揺るがせたとなると、これは先に述べた国策の目的、背景からして村では決して放置出来ない重要問題。単なる農振外しを避けての農地無断転用だったとすると、それは始末書提出での再手続きで治まるだろうが、該当事案は多額の補助金返還者を村から出すだけでなく、高齢者を守る村の仕組み、国民と自然との関係まで守る制度を根本から揺るがした行為。
 こうした中山間地域にとって重要な課題を疎かにして、明日の村など描けるはずがなく、村民ひとり一人がこの点を冷静に、論理的に考えてみる必要がある。村長が懸念する政局はその後だが、仮に結果を「認識、理解不足」で通すとなると、それは誰が考えても首長としての資質の問題。そこには政治家としての責任、潔さが自らに求められるわけで、それを引き際まで愚痴で誤魔化すとか、理解に困難な屁理屈などを並べるとなると、己の胸にだけある偉業、功績までも灰にする・・・。


1年程前にホテル日航熊本で下書きされた菊池市庁舎整備等の絵 3-2

2015-07-02 | ブログ

 善くも悪くも自治の影にいて、その審判、調整役になっている人物、グループが、かってはどこの市町村にも居た。しかし、必要とされた各種談合が社会環境の急激な変化によって否定され始めると、彼らは裏舞台から消えていった。そういう意味からだと特異なケースではあるが、菊池市には未だ「ドン」と称される調整役が生きている。普通、ドンといえば政財界に絶大なる影響力を発揮する怪人を想像するが、ここでのドンとは傘による強権者で、その半分は創られた虚像。だが、正面突破も手の内と語る実行能力を所持して、地域的なドンであることは否定できない。
 零細業者イジメの「土木作業機械のレンタルは認めない」とか、限られた業者数の中で「土木、建築の二刀流(受注)容認」といったルールが前市長時代、いとも簡単に実行されて、98%~99・9%の落札率も決して珍しいことでもなくなり、その上に「赤字工事」と愚痴を溢せば補正予算が組まれ、工事費の追加まであるとなると、これは公平さの求められるドンではなく、単なる特定の我が儘。そうした見解を大方の地元同業他社が本音として漏らすと、浮上するのは先のドン一派による「正面突破も手の内」という姿勢の不可解さである。
 市議会議員による市民税未納、同延滞問題が今議会でも厳しく追求されているが、「弱か者には滅法強いのだが、強か者にはからっきし駄目」という元議会長老らの見解にも、そのドンの存在が見え隠れする。

  ところで、菊池市庁舎整備等の設計は福村前市長が退陣一ヶ月前、約1億5000万円で何んと詳細設計まで梓設計に委託。ここが、この事案での最大ポイント。熊本設備は同前市長が創業者で、現社長は隣接の市長からも後援会の拡大を任せられるほど信任も厚く過去、設備業界では「談合屋」と称されたほどで同業界の準リーダー格。この前市長のラインが、先のドン一派と重なっているとすると、それは「鬼に金棒」で、それが8月20日に向かって、怖いほど順調に走っているから不気味。

  普通、公共自治体は自らの事業発注で「公正、公平」を掲げる。また、同市の総務、建設部長はかって議会で「事業発注は価格と地元業者の育成」と語った。この後者の趣旨は「仮に技術的に未熟でも、マスターした大手業者と共同企業体を組ませることで、その育成を図る」というものだが、それは地元経済の振興の上で理屈も通る。
 だが、6月に実施された桜山配水池築造(機械設備、電気計装)工事の条件付き一般競争入札では先ず、その芽を摘む単独企業への発注とし、経審点数800点以上で同種施工実績9300万円以上という第二、第三の条件で地元・菊池市の宮本電気工事以下を排除した。そして一方、県内に本社を置く電気工事業者を対象とするとして、配水池の電気計装工事ではトップの九電工を外したのである。
 この絞りに絞り混んだ行き先は、果たして何処か、である。談合慣れした幹部ならともかく、子羊のような同市の現場担当職員に成せる技ではなく、公平さの要求される入札案内の質疑応答で、該当業者には致命傷ともなる既設業者の業者名を明記させたことも含めて、外部からのシナリオが実行されたという想定に対し、それを払拭するだけの説明が上がるだろうか。
 1億1700万円で落札した昭電社に誘導されたとは断定しないが、後の庁舎整備と生涯学習センターの下請けを中心に調整された、という疑問は残る。それだけに同調整が、地元業者外にも注目される。
 また同じく6月18日に入札の落札者発表のあった市営プール建設は、ここは代表の順序に狂いがあったものの予想通り美麗建設工業・八方建設の共同企業体が1億8750万円で落札。そして落札率は何んと99・9%。驚異な数値だが、ここ菊池市では常識でもある。
 98%~99%の続く落札率について以前、同市の総務、建設両部長が「Aランク業者が7社しかない菊池市(今回も7社の中での2社JV・・・三企業体による入札)では一般競争入札も指名競争入札にならざるを得ない」と議会で答弁。それでは今回、なぜ枠を菊池郡市の13社まで拡げて、菊池市の業者を中心に2社JVをなぜ組ませなかったのか、そんな答の読める疑問となる。
 落札を外した2共同企業体の落札率は100%で、それが正しい積算の結果であれば辞退が妥当。公正取引委員会は「落札率90%以上は談合疑惑に相当」としているが、両部長の見解、また外した2社の落札率からして、ここでも談合疑惑を払拭するだけの証拠に乏しいことは確か。こうした入札結果が問題となりながら、なぜ改善に踏み出せないのか。裏を返せば、誰が利となる入札方法なのかであって、損するのは市民というのだけが明らかな疑惑である。
 歩切りという業界側の不満もあるが、ここ菊池市の担当課では、そうした違反性の勇気は全く考えられず、その予定価格が月刊による材料等の価格表、また国土交通省による県別、職種別による労賃から算出されるという基本を考えると、予定価格に「3000万円の赤字」とは、ここ菊池市でそれを想定するのは極めて困難。よって、「施工として可能」と入札、落札した契約金額2億250万円(税込)を市民は長く記憶しておくことが求められる。
 残るはテーマである8月の今期最大事業となる庁舎整備等であるが、入札参加条件は経審点1700点以上の単独か、もしくは1700点以上の大手ゼネコンとの二社共同企業体と発表。だが同市と契約、施工中の業者は入札に参加できないわけで、そうした想定からは単独参加の中堅ゼネコンの落札が予想99・9%。なぜなら、法的には困難でも地元四割配分なら下請けぶら下がりもある。正面突破も手の内と豪語する一派には、「なんのための一年前からの苦労か」という強気にあると思われるが、全国大手ゼネコンには不参加の意向を見せる業者も多く、仕事量も不満のない中で、無理なオリンピック精神でコンプライアンス部を泣かせて、全国の同僚に迷惑を掛けることなど避けたいというのが彼らの本音。
 落札率1%の違いで2000万円~5000万円の無駄が発生するという公共工事で、そこに公正、公平さを求めて、議会に替わって労働基準局から国税まで検証を決意している勇気ある市民が、果たして菊池市に何人いるか。そのスタートはお盆を過ぎて秋風を感じ始める8月19日・・・。