熊本レポート

文字の裏に事件あり

飲ませたJR九州と飲んだヤクルトの真逆な品格

2013-07-04 | ニュース

  筆頭株主である仏食品大手のダノンが提携関係を解消すると発表し、4700円近くあったヤクルトの株価が4000円を切るまで急落した頃、この熊本でもJR九州と二人三脚で同社が企業の品格を急落させた。
   ヤクルト本社(東京都港区東新橋)は熊本市西区上熊本三丁目に所有していた熊本工場跡地(約13762㎡)の売却を決定。そこで昨年の春頃から大規模量販店等が同地での再開発に名乗りを挙げたが結局、そのE社とJR九州、そして地元Tグループの三社による争奪戦となった。  123
   民間同士の不動産売買で任意の交渉は当然だが今年4月、希望価格としてJR九州が坪単価18万円、E社が同20万円、そして地元Tグループが同21万円を提示。      そこで同月11日、ヤクルト本社の資産管理担当であるA主席参与(総務部)が来熊し、Tグループの社長に「貴社が最高価格であった。これから他の二社には断りに行くが、坪単価を後1万円だけ上乗せ(総額約9億1580万円)してもらえないか」と希望を添えて、譲渡決定を告げた。    ところが後日、それが一転。『当社への譲渡が困難なら、JR九州内でのヤクルト販売は排除する』と、JR九州が高圧的に変化(ヤクルト本社A参与談)。
   キオスクが持ち出されたからいうわけではないが、前々から特産品の取り扱い、接待の強要と売店を絡めてのJR九州の評判はよくない。旧国鉄時代からの悪習といえば簡単だが、正常な取引を希望する者には納得できない手法。
   譲渡契約の内諾を得ていた地元Tグループには、そんな高圧的な姿勢に怯んだヤクルト本社に納得出来ないのは当然だが、鬼が赤子の手を捻るようなJR九州の営業手法に怒るのは当然。
    Tグループ側の不動産仲介業者が「モラルどころか商法にも反する」と、一緒に土俵へ上がったJR九州へ電話を入れた。
  これにはJR九州が再び怒った。『何で裏の話を第三者へ漏らした』(K副課長・安全推進部)ではないだろうが、ヤクルト側は「JR九州を怒らせた仲介業者は外して欲しい」と再びTグループに通告。そこでTグループ、ここは『譲渡契約が第一』と、「外す」と詫び状を提出。
   ところがヤクルト本社サイド、今度は「JR九州が25万円に坪単価を上げてきた」と、『譲渡決定』どころか同対応を迫ってきたのだ。
   民間同士の商談で自由競争であるのは当然だが、田舎の小さな不動産業者同士のトラブルならともかくヤクルト本社、JR九州は株式上場のメジャー企業。そこにルール遵守や品格が求められるのは、一般社会との関わり度合いから明らか。
   旧態依然とした殿様商売と、寄り合い所帯特有の経営陣内紛が伝統にもなっているこの二社は、『日本経済界の本流とは異なる企業体質』と評するのは簡単だが、一方では子供らに『安全』と『健康』を売る商売と語っていては、その子供らも『偽物』と笑う日がいつか来る。それはいつか。「今でしょ!」とはいわないが、そうした意味でもJR九州の同上熊本開発が楽しみではある…。