2016年4月、大分県の宇佐・高田・国東広域組合が予定していた新環境(焼却炉)施設建設へ向けた入札が、その寸前にストップとなった。
同入札に参加を予定していた2企業体の1企業体が、同入札の前になって辞退し、その企業体に参加の地元業者が「官製談合の疑いが濃く、暴力団による圧力があった」と訴え出て、入札は停止(2017年2月解除)。
ここで関わっていたのが、日立造船で、この後、同社は菊池環境保全組合による新環境工場建設の入札に挑んで来た。それで大分県の事件絡みの延長と、同入札を見たのである。
そして同入札で日立造船は落札し、約180億円もの受注となった。
そこで、業界の若い営業マン辺りから浮上した「日立造船はなぜに熊本県では強いのか?」(八代市、菊池環境保全組合と約180億円の事業を連続受注)といった、興味を背にした疑問符であった。
確かに鮫川村での同社の焼却炉爆発事故、そして先の大分県での事件絡みの入札も関係なく、見事と思える程の実績づくりである。
それに応えたのが1973年当時、日立造船の企業誘致に関わった旧県政の人物。
「誘致企業第1号として、県は全面支援を約束」(前述)
だが、今や日立造船は熊本県から撤退し、何の忖度が働くというのか。
「いやいや、所望されての県三役クラスの天下り(日立造船)があった。これは極めて珍しい事です。まして、判決する側(審査会・日本環境衛生センター)にも熊本県OBが所長として在籍」(業界事情に詳しい地元設備業者談)
それでは、色々と問題となっている「天下りへの忖度」である。
しかし、断っておくが、いま計画段階にある宇城広域連合の新清掃工場建設が、日立造船への発注に事前決定していると、そう断定しているわけではない。
20年程前、日本のビッグ企業である新日本製鉄の担当部長が、入札後にアメリカへ逃亡(転勤・不正入札とは異なった理由)したり、また先の大分県での事件等もあっても、そうした意味ではなく、あくまで、ここまでの検証から浮上する想定であって、単なる関係者の噂である。
確かに陸に上がった日立造船は強く、ちなみに宇城広域連合は宇土浄化センターを日立造船、浅野環境という親子に38億円で発注。
それで、10月頃には入札結果が出る同広域連合の入札について、
「日立造船は100%子会社のエスエヌ環境テクノロジー(大阪市此花区)を押し込んで来るのではないか。その理由が2ヶ月後での同広域連合での規模縮小修正(前述)。日立造船の真の狙いは天草市」(前述の業者談)
噂も、ここまで複雑となると、その理由はと、尋ねたくなるのは当然…。
※この連載は再編集し、資料を添付して9月末に冊子で刊行予定。