熊本レポート

文字の裏に事件あり

筑紫女学園のお家騒動に見る熊本の学校法人とニュービジネス協会

2017-03-05 | ブログ
 2月23日、福岡地裁は長谷川裕一氏(㈱はせがわ相談役・福岡市)の筑紫女学園理事長就任に至る一連の理事会運営について、複数の寄付行為違反があり、無効とした原告の同学園理事4名からなる訴えを認め、被告である筑紫女学園に「長谷川氏が理事長の地位にないことを確認する」を含む判決を言い渡した。
 福岡県内で大学、中学、高校、そして幼稚園まで運営する筑紫女学園には昨年3月、前理事長の解任(学校教育、研究活動に密接な関係を有しない土地の購入、子会社の存在)劇に始まるお家騒動が勃発。卒業生、父兄、そして学園職員の95パーセントが理事長に反発し、理事会で前理事長を解任。
 この後、学園側は長谷川氏を理事長に据えたわけだが、これに対して反理事長側(14人中8人)の理事らが「正当な手続きをえていない理事長就任は無効」と訴えて、それが冒頭の判決。
 ところで近年、学校法人におけるお家騒動は決して珍しい話ではなく、その背景には学生数の減少による収入減がある。種々の設備投資で抱える莫大な借金で、その将来に暗雲が漂い始めた学校法人。中には「私学助成がある」と、それを堂々と語る理事長もあるが、そもそも助成金の原資は市民による税金。
 その助成で学校教育とは無縁の不動産を購入したり、事業運営の子会社を持って、その届け出(文部科学省)、同決算(寄付行為)に疑問を抱かれる学校法人は他にもある。学校職員、理事らが経営に無関心なのか、見て見ぬふりなのかといった見解も出るが、こうした意味から筑紫女学園のお家騒動は、改善へ向けての価値ある行動。
 
 さて長谷川氏といえば、この熊本にも関わりが強くなった。それは選挙の度に候補の擁立、活躍で語られる九州ニュービジネス協会の存在で、長谷川氏は日本ニュービジネス協会の会長。浄土真宗西本願寺派の流れるにある筑紫女学園の騒動では宗派も問題となったが、熊本で核になって活躍のニュービジネス協会の会員らは、同氏(龍谷大学・浄土真宗)とは異なる日蓮宗(法華経)・・・。

4年越の判決でも共犯が見えるさとうベネックを巡る経済事件

2017-03-01 | ブログ
 東京地裁は2月22日、2012年9月に経営破綻した大分市の「さとうベネック」を巡り県内外の債権者が計約4億5千万円の損害賠償を求めていた訴訟の判決で、破綻につながる巨額の貸付をした経営判断は「著しく不合理」として、大川義廣元社長に約3億2千万円の支払いを命じた。
 2012年11月21日号で記載したが、さとうベネックの前身は最盛期には九州のゼネコンでNo2の売上を誇った㈱佐藤組。07年の経営破綻後に投資ファンドの支援下で再建を果たしたが、012年2月にダイセンビルディング㈱(福岡市・大川義廣代表)が13億円で買収。
 RCC(整理回収機構)の主導で再建を目指していたさとうベネックに対して、スポンサーとして投資ファンドのNCPが現れ、無借金で20億円の現預金を保有するまで再建、成長。本来、企業の合併や買収(M&A)をもって、それを高く売り抜け、そして投資家に配当するのがファンドの論理ではあるが、その時期だと見図ったNCPはダイセンビルディングに売却。
 それまで東証1部の企業と何回か面談を済ませていたさとうベネック側は、経営内容非公開という中で新株主が、一度しか会ったことのない福岡のダイセンビルディングに決まったことに面食らったのは当然。
 そのダイセンビルディングの大川代表がさとうベネックの社長に就任すると、前代表ら役員を追放し、約16億5千8百万円をさとうベネックから同氏が代表を務めるダイセンホールディングに貸付け、それを同社買収資金の返済に回した。年商1百億円に回復したとはいえ、16億円の現金をいきなり貸付けとは、同社の資金繰りが悪化するのは当然だと、これが告発の理由であった。
 それが4年半後に勝訴したわけだが、経営破綻して失業し、街中に放り出された社員、その家族を想うと、考えさせられるのは「不合理の経営者」と一方から見る「ファンドの論理」・・・。
春風に 奮起を念じ 城に立つ