熊本レポート

文字の裏に事件あり

信義なき野田毅代議士事務所 第7回

2020-01-26 | ブログ
選挙とは明るいものか、それとも暗いものかと考えると、いつの時代のどんな選挙でも、清々しい明日を目指す割には、決して清いものとは限らない。種々の利権を得る産業団体の長を決める選挙ともなれば、それは尚更、そうした実態を見せる。
2014年7月1日のJA熊本県中央会での会長選挙もそうで、100万円程度の札束が動いた。
後日、それを証言したのは、専門農業団体の会長。
「持って来たが、返すつもりだ」
これは同選挙前での話ではなく、その金は選挙後も手元にあった。
さて、選挙は帰熊して2人の関係者から聞いたが、内容はこうだ…。
「2名の欠席者があり、単農協と専門農業団体の代表からなる選挙人、被選挙人は19名。ところが結果は同数票となった」
「1名が余るが…」
「それは白票で、無効票となったんだ。そこで同数票の2人が抽選となり、会長(前)が負けた」
大成建設を推していた会長が、その発注を前に敗れた。
それより、退く事になった会長は、さぞ悔しかったはずだ。なぜなら、札束を貰って、返す予定だと語った専門農業団体の会長は、それまで反対派というのは周知の事実で、彼さえ支持してくれたら「勝った」となる。即ち、返金したのか否かに関係なく、その金の受け取りを認めた以上、彼は約束を反故としたのだ。
それから1ヶ月程して、入札が1ヶ月前となった頃、戸田建設の九州支店に電話を入れた。
JA新熊本会館の建設に向けて、その入札に参加するのは大成建設、清水建設、そして戸田建設の3社だと判明したのである。
そこで同支店に勤務する知人へ、同事案に対する探りにあった。
「うちは、行かんよ。当社の場合は予算を聞いた時点で、規模との概算見積りで予定から排除」
彼は、手短に応えた。会社によっては抱えている資材、下請け業者等によって、見込みの利益が大きく違う場合もあるが、同社の場合は他の仕事との兼ね合いからも難しく、該当物件に対してはオリンピック精神、即ち義理に応えた形での入札参加。
まァ入札に当たって、消極的ではあっても「頑張る」と誤魔化す者はいても、「やる気ない」と言って落札に積極的な業者など存在しない。
これで勝負を争うのは大成建設と、野田事務所の推す清水建設。
後押しの会長が選挙で負けて退いた事で、大成建設には向かい風となったが、半年以上も前から工程に入ったという強味がある。それに発注者は、会長選挙とは無縁のJA三井リース。むしろ変化があれば、同社の意向である。


そして9月19日、その決戦は清水建設に勝利となった。
3ヶ月前、「120%、大成建設」と落札を事前に予想し、「潰して欲しい」という要望に「無理だ」と応えて、それでも条件に乗せられて動いて来た結果も、上京の際に期待もあって感触を得た「逆転」である。
高ぶる自らの気持ちを抑えて、それから1週間程して千代田氏に電話を入れた。
「清水建設が落札しましたね」
電話の向こう側には、聞き覚えのある声が、会話として彼のバックに聞こえた。彼の姿は、野田事務所と推察した。
「うん、清水だった」
悦びの弾んだ声でないのは、あれから時が経ち過ぎた理由と考えた。
それが次に、意外な言葉を返したのだ。
「いやァ、戸田であったら(落札)良かったんだが、それなら金も払えたんだけど…」
聞いた途端、『馬鹿にすっな~』と腹から突き上げて来る3ヶ月間の思いだ。
彼は仕事の依頼において、『大成さえ潰せば金を払う(経費を最低限に理解)』という条件にあった。こちらサイドの理解とすれば、「理不尽な大成の落札阻止が叶えば支払う」である。
そこには大成建設と交渉せよとか、公正取引委員会と密な関係で進めよとか、そういう方法論の条件などはなく、条件は何度も繰り返す1点。
勿論、事後に出た「戸田の落札」という捏造にしたって、それは当初から有り得なかったのだ。
受注代表ともなる支店サイドを飛び越えて、積算にも何ら関与せず、同社の社長が野田事務所と約束したのか、という異常な想定話となる。
結果、野田事務所は嘘と誤魔化しを重ねて信義を反故にした。
野田毅代議士とは側近中の側近と自称するだけあって、やはり彼は詐欺師であった。また、前述した話の経緯からして、その代議士との関わりだけでなく、野田事務所との約束と見るのは当然で、千代田氏個人の話で通用しないのは常識。
冒頭に述べた通り、野田毅代議士は小泉元総理の靖国参拝には強硬に反対し、また北朝鮮への経済制裁にも反対して、さらに地方議会への在日参政権を訴える議員の一人。
即ち、実父が大阪で朝鮮人の仕切り役であったという帰化議員。
本来、人権的にも倫理的にも民族の差別があってはならないが、この6年の間、この該当事案について考えると、あの拉致被害者の悔しい思いも重なり、野田事務所の姿勢の原点もそこにあるのではと考えた。
そして噂として届いたのが、今期での勇退説。6年も待って、ここに語る理由が、そこにある。信義なき野田毅事務所であった…。






信義なき野田毅事務所 第6回

2020-01-25 | ブログ
広い部屋に通されて、二畳の広さ程のテーブルに立つと、同行した二人の若い方の眼鏡を掛けた男が、先に伝えて有った図面番号順の20枚程の中から、その2、3枚を取り出して、一部は重なるような形で、そこに広げた。
手持ちした図面の中から、その番号図だけを取り出して広げると、二人は照合して確認に入った。
当初、この作業には抵抗を見せた設計会社も「第三者の公的機関に提出する」、「そもそも貴社には何の問題もない」という話で渋々、それに応じた。
第三者とは公正取引委員会を相手は推察しただろうが、そこまでの想定はなかった。その前に照合には応ずるという読みがあった。それに事案において責任のないことも確か。
やがて二人は顔を上げると、「同一の図面です」と、一人が応えた。
そこを出て、次の訪問先に向かう事にしたが、二人に「本当に有り難うございました」と、腰を折って深々とお礼を述べて、ゆっくり顔を上げたので、二人は笑顔で再び礼を返した。
「コンプライアンス部…」
受付に、そう告げると、返事を待った。
朝、1番に電話を入れていた。
東京の友人から同社の別事案の話を聞いた際、新たにコンプライアンス部が設けられた事も知らされた。
やがて応答があったと見え、受付の女性社員が指定の階を教えて、その階へエレベーターで昇ると、そこには、また女性社員が待機していた。応接室に通されると、案内した彼女と入れ替わる形で直ぐ二人の男が入って来た。
名刺を交換すると、一人は部長ではなく課長で、もう一人はその部下。
二人は緊張してか、気のせいもあろうが顔は強張っていた。
「難しく考えないで下さい。田舎の人間が、田舎での仕事を確認に来ただけの話です…」
若い方の男からは笑みも伺えたが、課長の方も少し腰を折った。
簡単な話の内容は、彼らの部署にも届いていたはずである。
「先ほど図面は、委託の設計会社で確認しましたが、それがルールを外れて、何で先に地元の下請け業者に流れたか、即ち発注の仕事が入札以前に進められたか、それがお尋ねしたい点です」
「それは、これから調査してみなければ判りません」
当然な返答である。
時間の無駄と判断し、そこでコンプライアンス部の核心に入った。
「2009年に3億円、また昨年も大阪の支店長が詐欺絡みで6億4000万円の横領と、警視庁に逮捕されていますが、今回の事案は、これに絡んだ事件ではなかったのか、そういう疑問を持ったのです…」
二人の表情が大きく変わった。
「いや、昨年の事件は11月の逮捕だから、少し早いかな…しかし同類の別件事案とも想定されるし、発注者が早々と図面と、その仕様書を出すとなると、失礼ながら役員の不正行為も否定出来ないし、支店長は逮捕されても、役員の不正は隠蔽という仮定の話になると、お二人にも不納得の話でしょう…もちろん、仮定の話で、真実を明らかにし、それを公表するのが仕事なんで、その疑問点をお尋ねしたいのです」
二人は、約束でもしたかのように沈黙に入った。
「事業には農協という準公的機関も関係していて、また資産には公金もあって、私の質問の趣旨には無理などないと思うのです。また、今まで5回程、この事案での情報は公開していて、報道姿勢にも何ら問題はないと信じていますが、何か質問する私の側に無理がありますかね…」
課長の顔を見ながら、ゆっくりした口調で尋ねると、
「問題は有りません」
意外にも断言した。
実は、謎は簡単である。一社員では無理な不正行為というのは、これだけは双方、内心で一致している。
「初耳の話ですし、これから調査致します」
この課長はどうあれ、同社の何人かは、少なくとも誰かは、私の4月頃からの動きを知っていたはずだ。
「そこで、お願いですが、お持ちの図面等を参考に頂けませんか。また調査のために疑問点を簡単に書類で提出して頂けませんか…」
勝手な申し出というか、不可解な話を口にする課長である。
「そんな事は無理です」
「…では、その資料は、どうされるおつもりですか…」
応える必要のない話だが、
「いま表に出せば業務妨害、名誉毀損と面倒な事になるので、公正な入札か否かに関係なく、大成建設が落札した結果で、これらを公開とします。問題は謎の不当なルートだけは残るので、過去の詐欺、横領事件から調べさせて貰います」
過去5回も公表していて業務妨害に注意してとは、矛盾した話だが、結果次第という点に山場を持たせたのである。
先の設計会社とは、一変した別れ方になるので、敢えて「突然、お伺いしたにも関わらず、本当にお世話になりました」と挨拶し、彼らを振り返ることもなく表へ出た。


「昔と変わらず、えらい面倒なネタを追っかけているようだな」
100メートルほど歩いて、地下街の奥の広い喫茶店で、相変わらず文庫本を片手にして、待っていた友人が、そう言った。
「おい、菊枝って覚えていないか、ほら青山の店にいた。いま東中野の路地裏で小綺麗な小料理屋をやってるんだが、其処へでも行くか…あいつも婆になったぞ…」
運ばれて来た香りの濃いコーヒーを口元に持ってきたまま、彼の話など耳に入らず考えていた。
『ひょっとすると、賭けに勝てるかも、いや120%の敗北が、8割の勝ちに転じた』
感触を思い出しながら、再びコーヒーカップを下ろした…。(第7回に続く)





信義なき野田毅事務所 第5回

2020-01-24 | ブログ
記者というのは、意外にも若葉マーク卒2、3年の記者が多い官邸記者クラブでも判る通り素人でも記者の肩書きは名乗れる。要はその記者自身が持つ俯瞰の機能を働かせられるか否か、その資質。
取材は詰め将棋で、相手の先の先を読み質問せよとか、通勤電車では、揺られるのにぼぅ~ッと任せるのではなく、対面の客で「職業は、収入レベルは」と、独りで自ら推理し、そこで洞察力を養えと教わった。古き良き時代の先輩である。
さて、「野田毅代議士の側近中の側近」と自称する千代田氏(仮称)と、「大成を潰せば金を払う」という条件で、社会正義の達成という目的での賭けに応じた私は、それから期間を置かずにJA三井リース(東京)へ電話を入れた。
各部課を回って、想定した総務部担当課に回されたが、
「入札は9月の予定で、その日程でハッキリ詳細の判る8月の半ばくらいに電話を頂けませんか」
事務的な解答である。
「いや、該当入札の落札業者が候補として事前決定していると、そんな情報が有りまして、その確認です」
イラつかせる感じでゆっくり、しかも不慣れな感じで言うと、
「貴方、ですね、先ほど言いました通り入札は8月で、それを何で今…嫌がらせですか」
そして少し時間を置いて、担当部署なりの
「場合によっては業務妨害に当たりますよ」
警告の話となり、彼の方から電話を切ったが、それは予想通りである。
中身は一緒でも、メジャーな新聞社の記者ならともかく、何処の馬の骨かもわからない男が、まして業務上の問題を外部から、しかも電話で指摘するとなると、それは誰であっても「業務妨害」である。
だが、そこは承知の上での話で、また細かな話を告げる程、その理解は困難なセクションというのも判っていた。
しかし企業の組織上、そこが窓口で有り、関係部署へ速やかにメッセージの送られるのは確実で、狙いはそれだけにあった。


続いて設計の三菱地所設計に電話を入れると、相手が替わって
「図面は8割方、言われる通り完成してますが、それが地元業者に出回っていると言われても、電話では、何処から漏れ出たのかと言うより、それが本物かも確認出来ません…」
それは、「熊本から電話でも作成された図面の確認は可能か」と、これまた幼稚な質問への回答。
勿論、メールやFAX での確認方法、また詳細部分の口頭での照合とあるが、『現物を出したら本物か偽物かの区別は可能』という回答を得るのが目的であり、それも敢えて尋ねる事はしなかった。これで面会理由は出来た。
併せて、東京の知人に電話を入れ、「JA三井リースに関する情報収集」を依頼した。
裁判所での審判なら「公式発表による工程上で、入札前の設計図面引き渡し日より数ヶ月前において、特定の業者にそれが配布となっていることは、任意の農業団体の工事とはいえ、そこに公的資金も資産として関与している以上、準公共工事の不正入札という指摘は否定されないと判断」と、明らかに我が方の勝訴。
だが、既得権を有する側は、あらゆる解釈、またあらゆる添付事項を追って付けてでも防御に入る。殺人事件等の刑事事件とは異なり、善悪の判断が難しい理由はそこにある。まして裁判所ではなく、そこは相手方の城の中。
その一週間後、「大成建設を潰せば金は払う」という文言をバックにして、社会正義を賭けて上京した。
それは波乱の会長選挙(JA熊本県中央会)と、後で知った投票日の2日前であった…。(最終回に続く)




信義なき野田毅事務所 第4回

2020-01-21 | ブログ
他人に対して人は色々な評、見解を出す。「詐欺師」と唾を吐き、関わりを避けろと忠告する者も現れる一方、「世話好きの好人物」という真逆の見方をする者もいる。
千代田修氏(仮称)は有明海に面した丘陵でみかん農家を営んでいたが、夜の街では、「代議士から『チヨちゃん』と呼ばれる仲で、代議士の側近中での側近」と、宣伝が効いているのか野田毅後援会の重鎮で通っている。
これには、同後援会の古参幹部辺りから「何が重鎮か」と、語気を強めた否定の言葉も出るが、そこは同事務所の表と裏の役割での違いだ。


何れにしても「チヨちゃん」と、野田代議士から呼ばれる仲の彼が、「大成建設を潰してくれ」
そんな物騒な話を持ち込んだのだ。
中身はどうあれ、趣旨は社会正義にある。準公共工事である農協会館建設の発注において、そこに不正があるとなると、それを正すのが務めであって、役割。
しかし勘違いして貰っては困るが、正義の使者のような傲り、自惚れは全くといって良い程、そんなものはなかった。


該当の事案だと、農家や農協が揃って異議を唱える程の動きがあるならともかく、また告発でもあれば事態も動くだろうが、残念ながら、そうした兆候はなく、まして彼らを動かすエネルギーも自らにもなかった。
語弊もあろうが、該当事案には関係者も存在し、そこへの暗黙の了解に基づく程度のガス抜きであり、そこで発生する小さな自己満足、それを求めているだけの仕事だと言っても過言ではない。
ただ千代田氏の場合はとなると、先述したJA熊本県中央会長と代議士事務所の三田石(仮称)秘書との口論話からして、「会館建設の発注」に向けて逆転を狙っての要請である事は明らか。
出来もしない「社会正義の達成」に対して、是非とも成して欲しいなどと、そんな事で会いに来るなどないのだ。
「それは無理、120パーセント無理」
即座に笑って応えたが、その理由は発注側の意向と工程にあった。
どんなに理不尽とはいえ、発注側の意向で受注の本命筋が下請け交渉まで進めているとなると、肝心の農家や農協が莚旗でも掲げて動くか、それこそ誰か告発でもしない限り、事態の変化などは考えられないのだ。
だからといって、野田事務所が告発をするかとなるが、それをしないところに推察通りの目的がある。
ただ、思惑の違いこそあれ、「大成建設の受注には不納得」では一致。
「金は出す」
千代田氏は、無理と断った私の痛い所をついて来た。給料にボーナスまで貰っていながら、クラブで碁石を打って公的機関、公人から配布されるコピーを待っているだけの楽なサラリーマン記者もいるが、限られた金で活動する者には資料の収集段階から出費は厳しく、まして出張取材となると、その旅費から工面が求められる。
「要は大成(本命)を消すだけ…」
後で意見の相違となる点であるが、成功払いで、細かい点は暗黙の了解である。
ただし、120パーセントは無理と応えた「大成建設の本命潰し」が、予想通りに不達成の場合となると、謝礼を含めた経費負担はゼロ。
一種の賭けであるが、それを踏み切らせたのは、やはり職業病。社会正義だと政治家の真似事などは口にしないが、仕事の虫である。
「判りました。やってみましょう」
外に出ると、そこは鉛色をした厚い雲が、何かその賭けを暗示しているかのように街を包み込んでいた。14年の梅雨である…。(第5回に続く)





信義なき野田毅事務所         第3回

2020-01-20 | ブログ
2015年末に鹿島、大成、清水建設、そして大林組のスーパーゼネコンが国民の批判に応える形で、また独禁法の強化もあって「談合決別宣言」を揃って出した。
ここでゼネコンの談合は、国民の税金を原資とする公共工事から消えたかと、市民には見えた。
だが、その3年も経過しない2018年、彼らはリニア新幹線事業で再び談合を繰り返したと、東京地検特捜部に揃って逮捕された。大成建設が工事予定地を先行して購入し、それを発注者であるJR東海に譲渡したという情報から東京地検は動いたとされるが、この裁判で鹿島は「既に工区毎に発注先が決められていた」と、官製(JR東海)談合であったと証言。また清水建設は、「二者に誘われて断れなかった」と述べている。
ここに介在者、そこへの金の流れは闇の中だが、消えることのないゼネコンによる談合と、その構図を改めて国民は知った。
さて野田毅事務所の話に戻すと、同事務所の公共工事における貢献度となると、元熊本市長までラインが引かれる程、それはシステム的にも磐石で、その比は他の国会議員の5人分の働きとも評される。


その一例となるがJA熊本県中央会は2012年、築50年を経過して、耐震性も問われる会館について建て直しを決定。それは前述の通り、土地を担保提供する事でのリース払いとして、その発注は全てをJA三井リースに委託する事となった。JA三井リースの発注とはいえ、同社の大株主は農林中金・JA全国連合会であって、そのJA全国連合会の役員幹部をJA熊本県中央会長が兼ねているとなると、その構図でのパワーバランスは理解される。
同設計は三菱地所設計で進められ、工程的には2014年9月に入札、そして10月に発注業者が決定の予定であった。
ところが同年2月、その入札の半年も前、既に発注先は決定と思われる兆候が浮上。
それは、同会館の建設を対象として地場業者、下請業者に向けて、その見積書が求められたとの情報。見積りは図面と仕様書がなければ、それは不可能な話。
普通なら入札前、早くても1ヶ月程度前の説明会で、それは入札参加業者に渡されるのだが、それが半年も前に想定の指名業者の手に渡り、その業者が下請負業者を募っているとなると、それは発注先の事前決定。
設計図を確認して、その配布主(下請け依頼主)を探ると、それはスーパーゼネコンT 社と判明。同社九州支店の建築営業部長を務めるH 氏は、元熊本営業所長。
そのH 氏と発注側との接点が判りかけた同年6月頃、一人の男が「会いたい」と電話をくれた。
指定された場所に出向き、腰を下ろすと、彼は
「T を潰して欲しい」
切り出した。
勿論、新農協会館建設での本命説の話で、そのT 社を外して(落札除外)くれというのだ。
「そりゃ無理、120%無理」
それには、間も置かずに笑って応えたが、それは正直に言って倫理以前の理由にあった。
この物騒な話を真っ昼間から持ち込んで来た男が、野田毅代議士とは最も近い間柄にあると自称する人物である…。(第4回に続く)