熊本レポート

文字の裏に事件あり

ARIB規定を見逃した菊池市防災無線統合化事業…第3回

2013-10-21 | ニュース
 9月13日に開札となった菊池市の「防災行政無線デジタル統合化整備事業」が本日(21日)、承認議会を経て契約を迎える。
ところで論理の成り立たない話は厄介だ。同事業化において収賄容疑の掛かる行為があったとか、また問題化する側には仕切り直しを期待する企業が存在するとか、そんな上ッ面の話題に関わる余裕などないが、問題だと指摘するのは、そんな違和感の環境を含めたコンプライアンス。
 改めて問題点から入ると菊池市(江頭実市長)は8月14日、同整備工事の入札に向けた公告(条件付一般競争入札)を発出した。
Photo_5
 その中で「参加する者に必要な資格」の(7)項において「主要装置は自らが製造するもの」としている。
 そこで仕様書を見ると、周波数に基づいた多重無線装置を「18GHz」と指定。
 すなわち「18GHz」を製造していないメーカーは、同入札から除外される。
 防災無線機器装置メーカーは東芝、三菱電機、パナソニック、富士通、そしてNEC、日立国際電気、沖電気工業の大手7社。この中で「18GHz」を製造しているのはNECの1社で、他の6社は入札から除外された。
競争入札の原理に反すると思うのは常識であって当然、そこにはARlB(社団法人日本電波産業会)規約があった。
 同規約では「特定のメーカーへの指定となるような仕様書は作成してはならない」としており、同会の管理行政である総務省防災情報室も「規約違反の入札」と見解。
 仮に「JRC(日本無線)も入札に参加して競争入札は成立」と発注側が主張しても、問題はそれ以前の規約違反。
 また同入札参加資格の(10)項で「設計者と資本、人事面において関連のない建設業者」と明記しているが、今回の設計を受託したコンサルタントは長年、泗水町、七城町においてNECの防災無線機器、施設(既設)のメンテナンスに従事してきた(下請け)業者。
 主人公はコンサルタントか、それともNECなのかはともかく、NECの受注に向けて無謀な行動があったとみるのは当然の経由。
いずれにしても前項からして、適正な入札ではなかったという結論となるが、それを払拭する材料があるかどうか。
菊池市界隈はともかく、いま企業や地域社会で問題となっているのはコンプライアンス(遵法)。 勝手な推察をすると、話題の主人公となったNECは「350億円規模の全国での仕事に悪影響」と、可能なら同市から脱出も頭に浮上するのではないか。 一方、今回の入札からは除外されて、「仕切り直しに大期待」と地元で予想されているメーカー各社だが、「危険なエリアには近づきにくい」というのが本音。
 コンプライアンス問題は、場合によっては企業の存亡に関わる問題で、間違えは彼らには命取りにもなる。  ところが菊池市はどうかというと、旧態依然とした臭覚、感性で、コンプライアンスなど「どこ吹く風」といった状況。
 その最もたる例が本日の承認議会で、「補助事業の仕切り直しは面倒」、「ゴミ収集問題(誓約書)への影響が懸念される」と規約違反は棚に上げて可決と見ているのだが…。







安田公寛市長が隠し通そうとしたあまくさ荘での秘め事とその足跡 第2回

2013-10-08 | インポート
 1689平方メートルにも及ぶ点検用の通路(市道)には理解が難しく、ここは住民の見解に分がある。財政ワースト1らしからぬ施策の2。
Photo_30
1_8

 安田市長の「あまくさ荘の民営化」は、果たして何だったのか、と首を傾げるのが一般的な市民の感想。
 そして、その回答が見えてくるのが次だ…。
 入札の公募に応じた4社に対して「参加資格に欠ける」と通知が届く前日、すなわち08年6月9日、同入札を途中で辞退した五足の靴(伊賀屋)に同敷地の6311平方メートルが3百60万円で売却されていたのである。
Photo_31 それを五年も経過して市民が知って、今議会(9月)で問題となったわけで、当然その施策は極秘での実行。
 5000平方メートル以上の公有地売買については議会承認を要するが当初、同市財政課は「該当地区長の認印で実行」と語った。果たして区長の独断、権限がどこまで許されるのか。地域住民の意向代行としての資質も問われるが、同区長の家族は「古賀源一郎市議が挨拶」と証言。
 古賀市議会議員は地区振興会長という立場で、安田市政を代行したと思われるが、天草市では各振興会長に約1億5千万円の公費が分配されている。財政ワースト1らしからぬ施策その4。
 同議員は指定管理者(足湯場と観光案内所・ぷらっと)でもあるが、これは利益相反行為で、明らかに政治倫理には問われる。
 行政の条例を無視し、彼らが6311平方メートルの市有地を無断(議会無承認)で売却したとなると、政治倫理とかコンプライアンスを超えた犯罪。
 極秘で売買したとなると当然、そこには明らかに出来ない理由が想定される。
Photo_32  好きな女性にタコ焼きをプレゼントではすまされない話で、安田市長及び古賀市議会議員、そして伊賀屋の山崎社長には、求めたわけでもない借金65万円を背負わされた天草全市民に対して、納得できる説明が求められる…でなければ市民の側に「馬鹿」という称号が付けられる。
「施設の建設規模が約六割に狭まったとなると、単地での観光施設開業は困難。残る道は周囲をもらった五足の靴さんによる開発、開業」
 大手観光会社の開発部は、そういう予測を嫌みで立てるが、一連の経由からして安田市政の「あまくさ荘民営化」は、「ありき」から始まったといっても過言ではなく、それを払拭するだけの材料が果たしてあるのか。
 しかし、これを財政ワースト1らしからぬ市政の5とすると、65万円の借金を背負わされた市民には余りにも馬鹿馬鹿しい話であって、一つの課題とされた従業員の再雇用にしても、市長自身の施策によって七年も放置されて忘れ去られたとすると、これほど虚しい自治はない。
 市議会は、ここで緩すぎる褌を締め直す必要がある…。




江頭実市長も見過ごしたARIB規約違反の菊池防災無線統合整備事業 第2回

2013-10-08 | インポート
 ところで、この不可解で疑惑を招くような参加資格を同市の担当課が理解していたかということだが、そもそも設計委託の段階で決定していたことを想定すると、同公告の原案も担当課外で作成されたとも思われる(後述)。
 関係官庁からの通達の背景となった各入札監視委員会の報告書には、「資格の絞り込みによる入札は形式的入札」との警告もある。
「特定のメーカー指定となるような仕様書(18G)の作成をしてはならないとうのがARIB(電波産業会)規定」(総務省防災情報室)
 国土交通省の法務担当官も「特に高額の発注事業では競争入札、会計法二九条の三に抵触するか否かではなく、それ以前の常識」と語った。
Photo_17 ところで同入札から除外されたメーカー側から「未条件でも応札は可能と呼びかけられた」そんな意外な話も出た。
 数合わせの相談を受けたと理解されるが、担当課からの発出でないことは明白。
 場合によっては詳細を後述するが、右の「数合わせの要請」は本命を活かすという前提の談合でもあって、それが他社に拒否されて不成立に終わったとしても同市執行部、議会筋、またメーカー、コンサルタントのどこから発出した提案であろうと菊池市民にとって、それはコンプライアンスに反する侮辱的な行為。 また同入札に向けた仕様書は、NECグループ標準PCサービスの協力を得て、それは作成(電子技術応用)されている。
 前記した参加資格(同整備工事)の中には、「本工事の設計業務等の受託者と資本若しくは人事面において関連がある建設業者でないこと」という明記もある。
 ところが電子技術応用が菊池市の旧泗水、七城町においてメンテナンスに従事している既設の機器メーカーはNEC。長期的な同業務契約は、同参加条件には抵触しないのか、そうした疑惑も当然ながら浮上するが、主人公としての責務、同意識に乏しい担当課、執行部にその回答を求めるのは酷な話。
Photo_18 この皮肉を理解する市民なら今回の計画、入札がどれほど疑惑を抱えたものか、そんな結論に至る。
 菊池市民を侮ったのか、嘗めたのか、単純過ぎる雑なストーリーは子供でも審判を下せるレベルだが、企ての主人公ではないとしても、それを見逃したというより、黙認したとする現執行部の責任は極めて重大。
 コンサルタントとNECとの両者がサービス業務、いや事業形態でも極めて密接な関係だとなると、その技術の優秀性に関係なく、コンプライアンスから同入札を不成立とするのが公的機関の姿勢。
 開札は終わっても結果の公表は、臨時議会での承認後ということだが、落札価格は他の同種工事落札価格で10億499万5500円から11億2489万8750円(70~75)と想定。
Photo_21 設計委託と同じく低落札率で真面目な入札が行われたと思うだろうが、予定価格の設定が意図的に高く、自社製品ということもあって、実際は65パーセントが妥当な金額という関係者の見解もある。
 すなわち予定価格の5パーセント前後は、同営業経費で見込みずみという理屈。
 本事業で実際の絵を描いたのは誰かとなるが、先述の疑問点からして極めて雑なプランナーであることは確か。
 それを見抜けなかった同市の担当課はさらに雑で、本事案での江頭市長の責任は極めて大きいといえる。
 迫る臨時議会を念頭に問題の概要を先に述べたが、「速やかな自治の推進が疑惑解明や市民の理解よりも優先」と決済された頃、後述するとした関係者への検証結果を後編として報告…。




安田公寛市長が隠し通そうとしたあまくさ荘での秘め事とその足跡 第1回

2013-10-07 | ニュース
 2007年9月、「あまくさ荘を公募で民間に売却」と語った天草市の安田公寛市長が同013年9月、自らの手で同計画を潰した。
 1万9640平方メートルの同敷地を秘密裏で特定の業者へ売却し、「観光施設としては成り立たない1万1640平方メートルに面積を縮小した。市長は馬鹿とはいわないが、安田市政は羊頭狗肉」(地元観光協会役員談)
「国立公園内での建ぺい率は20パーセント以下。3928平方メートルの床面だから観光宿泊施設としてはまだ魅力があった。それが2328平方メートルに減って、採算をどう図れというのだ」(全国大手観光業者談)
 熊本市内に出張の深夜、タコ焼きを抱えて天草マラソンではないだろうが、小躍りして宿泊先に足を運ぶ市長の後ろ姿を想うと、その羊頭狗肉がオーバーラップする。
 経済収支比率92・2パーセント、公債費負担比率が18・2パーセント、地方債現在高が五5百86億2千7百37万円で、これは県内14市ワースト1。市民一人当たりの借金額は65万円。
 7年経っても改善の兆しが見えないというのは同市長の資質に問題。人材不足か、また何が良いのか支持する有権者のレベルに問題かということになるが、資質についての実証がこの「あまくさ荘民営化問題」であって、羊頭狗肉の検証でもある。
 雲仙天草国立公園内に立地したあまくさ荘はピークの1993年度、1万7400人余りが宿泊。だが、その後は施設の老朽化や観光スタイルの変化に伴って旅行者のニーズに対応できず、宿泊者や休憩者はともに減少。06年度は8265人まで落ち込み、2百79万円の赤字を計上した。
「安全性にも問題が発生した建物と施設。そして泉源まで1・39キロに及ぶ送湯管等の改修まで7億円が試算されて、そこで生き残る道は民間企業への譲渡と決定」(元施設管理者談)
 それが冒頭の民間企業への譲渡計画。ところが、その後が馬鹿とは表現できないが、私的で場当たりのプロセス。Photo_6
 当時の対象物件は、建物本館が鉄筋コンクリート建造で一部三階建ての総床面積約1924平方メートル。これに別館木造の約282平方メートル。土地は約1万1614平方メートル。
「評価額は4千50万円なのだが、入札で予定している最低売却価格は2千9百90万4千円」
 天草市財政課の見解であったが、さらに条件付きながら譲渡先には一億円を上限として用地取得補助金を約束。
「施設の建物だけでも4千万円の評価額を想定」(地元観光業者談)
 こうした見解を考えると、財政ワースト1を忘れた優遇処置の民営化構想。それは、その1である。
 公募された入札にはHIS(九州産業交通ホールディングスの親会社)、スタジオアレックス(大阪市)と、これに地元三社(一社は途中で辞退・後述)が参加の意向を表明(07年12月)。
 ところが08年1月、その施設面積の中の1689平方メートルを市道に変更。
「施設内を通路、玄関口として利用していた五足の靴(観光旅館)を考慮して、民間譲渡前に同敷地を市道化」(地元商工会役員談)
 五足の靴とは、入札を途中で辞退した伊賀屋(山崎博文代表・天草市天草町下田北)の姉妹旅館。
 これについて天草市は、「山頂に市水道課の給水施設があって、その点検のための市道化」(同財政課)
 給水施設の点検、管理上からの変更と語るが、同市水通課元職員は「非稼働の施設」
と証言。
 周辺住民に配水していたか否かはともかく、仮に給水施設として稼働していたとしても月に一、二回程度の点検、管理に1689平方メートルの市道が果たして必要だったのか、というのは問われる。
「明らかに『五足の靴』の通路確保で、同施設の民営化における最悪でのケースを考えての事前的な施策」
 周辺地区の観光事業者は、揃ってそう語る。
 反全市民的な市政…。



江頭実市長も見過ごしたARIB規約違反の菊池防災無線統合整備事業 第1回

2013-10-06 | インポート

 東北大震災の際、防災無線が全く機能せず(宮城県名取市・外れたネジ一個がヒューズにシュート・全サイレンが無作動)、それが多くの犠牲につながった。
 犠牲者の遺族や被災者が、設置工事業者のNECネッツエスアイに謝罪を求めたところ、同社は「お客様である名取市を飛び越えての直接的なご説明はご遠慮する」と回答し、同市民の怒りを買った。
 そのNECを誰かが菊池市に招き入れ、約15億円規模の「防災行政無線デジタル統合化設備工事」を江頭実市長は同社に発注の予定。
 ところが、この発注予定とした推察を契約前のここにきて、発注プロセスに疑惑があると声を挙げた市民がいた。
 そもそも「映像が鮮明、雑音が入らない」といった程度のメリットしKikuchi1かないデジタル化が、財政の厳しい時に何で何十億、何百億円も投下してまで必要かという意見が全国の自治体関係者にはある。
 特に移動式無線使用の消防関係者には戸惑いも多く、アナログからデジタル化は一言だとトレンド(潮流)。
 そうした背景の中で菊池市は24年7月3日、防災行政無線デジタル統合化整備に向けた設計委託の入札(一般競争)を実施し、電子技術応用(立山則生代表・同市泗水町吉富3215の91)が五百五十九万六千八百円(落札率60%)で落札。
 土木や建築の落札率と比べて「驚異的な低落札率」と思われるだろうが、同コンサルタント業界では種々の理由もあって(後述)、また同入札での他社の金額と比較してもこれは常識。
 菊池市の担当課に対して、予定の行政無線デジタル統合化における「マイクロ系18Gの導入理由」を聞くと、「コンサルタントの提案」と出た。
 全て理由、解説は後で(後述)という感じになるが、同市の発注担当課にも「マイクロ系18Gの重視」はなかった。
 ところが、このコンサルタント側の「マイクロ系18G」は極めて重要で、その理由は施工工事業者の絞り込みにある。
 現在、防災行政無線の機器及び施設を製造、建設している主な東芝、三菱電機、沖電気工業、パナソニック、NEC、日立国際電気、富士通とJRCの中で、このマイクロ系を取り扱っているメーカーはNECとJRC(日本無線)の2社。
 JRCは話題となった親会社の日清紡との出資金、株の攻防による影響もあって、まだ事業展開となると厳しい状況にある。
 …となると電子技術応用の設計受託によって、同整備工事はNECに事前決定したという見解も出る。
 9月13日に開札となった「防災行政無線デジタル統合化整備事業」の入札に向けて8月14日、同市は同工事対象業者へ入札を公告として案内。その参加資格として、
『市町村防災行政無線(デジタル同報系)のマイクロ系18Gを自らが製造(するもの)』
 条件を提示している。
 これは明らかに入札参加業者の絞り込み(2社)にあって、先述した設計委託段階での事前決定という容疑からしても、さらにここで念押しをしたと推察される…。