ところで論理の成り立たない話は厄介だ。同事業化において収賄容疑の掛かる行為があったとか、また問題化する側には仕切り直しを期待する企業が存在するとか、そんな上ッ面の話題に関わる余裕などないが、問題だと指摘するのは、そんな違和感の環境を含めたコンプライアンス。
改めて問題点から入ると菊池市(江頭実市長)は8月14日、同整備工事の入札に向けた公告(条件付一般競争入札)を発出した。
その中で「参加する者に必要な資格」の(7)項において「主要装置は自らが製造するもの」としている。
そこで仕様書を見ると、周波数に基づいた多重無線装置を「18GHz」と指定。
すなわち「18GHz」を製造していないメーカーは、同入札から除外される。
防災無線機器装置メーカーは東芝、三菱電機、パナソニック、富士通、そしてNEC、日立国際電気、沖電気工業の大手7社。この中で「18GHz」を製造しているのはNECの1社で、他の6社は入札から除外された。
競争入札の原理に反すると思うのは常識であって当然、そこにはARlB(社団法人日本電波産業会)規約があった。
同規約では「特定のメーカーへの指定となるような仕様書は作成してはならない」としており、同会の管理行政である総務省防災情報室も「規約違反の入札」と見解。
仮に「JRC(日本無線)も入札に参加して競争入札は成立」と発注側が主張しても、問題はそれ以前の規約違反。
また同入札参加資格の(10)項で「設計者と資本、人事面において関連のない建設業者」と明記しているが、今回の設計を受託したコンサルタントは長年、泗水町、七城町においてNECの防災無線機器、施設(既設)のメンテナンスに従事してきた(下請け)業者。
主人公はコンサルタントか、それともNECなのかはともかく、NECの受注に向けて無謀な行動があったとみるのは当然の経由。
いずれにしても前項からして、適正な入札ではなかったという結論となるが、それを払拭する材料があるかどうか。
菊池市界隈はともかく、いま企業や地域社会で問題となっているのはコンプライアンス(遵法)。 勝手な推察をすると、話題の主人公となったNECは「350億円規模の全国での仕事に悪影響」と、可能なら同市から脱出も頭に浮上するのではないか。 一方、今回の入札からは除外されて、「仕切り直しに大期待」と地元で予想されているメーカー各社だが、「危険なエリアには近づきにくい」というのが本音。
コンプライアンス問題は、場合によっては企業の存亡に関わる問題で、間違えは彼らには命取りにもなる。 ところが菊池市はどうかというと、旧態依然とした臭覚、感性で、コンプライアンスなど「どこ吹く風」といった状況。
その最もたる例が本日の承認議会で、「補助事業の仕切り直しは面倒」、「ゴミ収集問題(誓約書)への影響が懸念される」と規約違反は棚に上げて可決と見ているのだが…。