公金が絡む法人の発注契約を含めて、公的機関による売買、賃貸及び請負その他の契約については「性質的に競争を許さない場合と緊急を要する場合」を除き、そこには公告しての競争入札を要する(会計法第29条の3)。そして、そこには公正な実施が求められる。
特別的な関係を有する業者への発注を意図として、その業者が目的の遂行をもって談合の可能な業者だけを代行指名し、十五年以上も思惑通りの発注契約を結ぶなど違法なのだが、こうした例を挙げるまでもなく、コンプライアンス(遵法)に最も欠けるのはその管理、監督の自治行政。
その地方自治体が国の施策において推進してきたのが、「デジタル防災行政無線(同報系)の統合整備」。アナログ400MHz帯で満足する移動系防災無線があるにも拘わらず、なぜ何億円も経けて260MHz帯のデジタル化が必要なのかとか、何10億円も投下して28年5月までに消防救急無線のデジタル化を急ぐ理由とは何かなど、当該の自治体からも疑問の声は挙がるが、その整備に入っても上天草、山鹿市議会でも発注に関して疑問の声が出た。
ところが大方の自治体には、こうした事業計画における十分な理解者は少なく、膨大な金額の事業にも拘らず、メーカーとコンサルタントの思惑に極一部の者が加担して、この三者で冒頭の会計法第29条の3が棚に上げられるというケースも少なくはない。
その一例が菊池市、同議会である。再々の繰り返しになるが、性能や技術的にパナソニックや富士通よりもNECの機器、設備が劣るという話ではなく入札、発注における問題点で会計法上の疑惑。
発注側に突き付けられるコンプライアンスの問題である。
なぜ疑惑が発生するのか、というと当然、そこには膨大な事業費が絡むという利害関係にある。
ところが先述の三者の中で、最もコンプライアンスに敏感なのはメーカー。市場3・3兆円の世界といわれ、15億円規模で年間330億円規模の行政無線市場から外されるとなると、無法の独走に緊張するのは当然。
しかし残りの二者の談合が成立するとなると、そこには極めて強硬な社会正義でも発生しない限り阻止は無理だといえる。強硬な社会正義と例えたが、実は極当たり前の責任と義務であって、それが盲判的な自治、議会であれば当然な不始末となる。
隣接の他二市でもいえるが、菊池市も同整備計画のコンサルタントは電子技術応用(立山則生代表・菊池市泗水町吉富)。
同社の人事構成に「元NEC社員が存在」(某メーカー談)という話もあるが長年、同社が同市旧泗水町、七城町でNECによる機器、設備(既設の防災無線機器)のメンテナンス業務を請け負ってきたのは事実で、NECと同社は長期的な親子の事業取引関係にある。その主従関係から何が想定されるか、それが懸念される第一の問題点。そして後述もするが、同市にもそれを承知していた専門職がいた。菊池市はメーカーへの発注へ向けた入札の際、その入札参加条件として他事業と同じく「本工事の設計業務等の受託者と資本若しくは人事面で関連のないこと」を明記。
他二市とは違って、当該地での長期的な取引関係が上に担当、もしくは順当するか否かの判断となるが、公共工事の発注にはより公正さが求めれらるという趣旨からだと、「NECの除外」は明らかに判断以前の正論。
そして先述の通り、菊池市にも事前に右を承知していた職員が存在。その懸念が却下されたとなると、同内部にその疑惑を却下するだけの権限を有する者がいたと想定されるのではないか。そこに直ぐ「利権」が存在と断定するのではないが、歪んだボランティアの実行者が確かに存在した。
第二番目の疑惑は、「仕様書におけるNECへの絞り込み」である。
推進された県内の防災行政無線を振り返るとNTT、九電工等の工事業者へ発注され、設計と仕様書に沿って機器。設備等については各メーカーから購入という事例も多い。
メーカー発注となれば、メーカーを中心に介入する者には、競争する工事会社の下請け選択まで魅力となるが、仮にメーカー発注の場合も善し悪しはともかく、不足の機器は他社からの購入という策で補った。
ところが菊池市の場合、入札参加条件として「自ら製造しているもの」とした…。
電子技術応用が作成した仕様書には、主要機器の中で「18GHz帯の機器」を指定。この18GHz帯の機器というのは東芝、三菱電機、沖電気工業、パナソニック、NEC、日立国際電気、富士通の大手七社の中で自ら製造しているのはNECの一社。
そこに従来の整備事業とは異なって、「他社(NEC)からの購入禁止」(自ら製造しているもの)と入札条件が限定されると、これは「発注先(NECへ)の絞り込み」であり、これで果た
して公正な入札が行われたといえるかどうか。一般市民でもこれは判断が可能とはいえないか。
だが、菊池市議会は「違法に相当する疑惑を合法化」して契約を承認。内部において仮に三者の一者が存在していたとしても、この盲判議会は同罪で、菊池市議会への信頼を失わせたばかりでなく、地域社会での社会正義の危うさを青少年まで見せたともいえる。
もちろん入札の戻しとなると、補助金の繰り越しだけでなく、膨大な市場への影響から「どんでん返しでの受注」という汚名を懸念し、NEC以外のメーカーからも敬遠されるという予想も浮上して、困難な事態が想定されたのも確か。
しかし自治体がバックボーンとするのは遵法であって、その責任所在は明らかにし、そこにペネルティを科する必要はある。それまで避けるとなると最早、それは菊池市、同議会の壊死ということにはならないか…。
財源不足で明日の福祉が懸念されるといわれる一方、特別養護老人ホームの余剰金2兆円には世界のトヨタでも怒る。 公金で運営される社会福祉法人が、その黒字を社会還元するどころか、借り方と貸し方とが一致しない貸借対照表を提出している同法人の多いことに専門家は、「法人資金が経営者らの私的用途に流用されている可能性が濃厚」と見ている。
社会福祉法人の事業になぜ競争入札が求められるか(経理規定)というと、それは原資が税金からなる公的資金にある。公金が絡む場合の発注には住民、国民サイドには公明正大と透明性が、そこに求められる。
ところが同法人の中には、何らかの思惑を持って意図とする業者へ発注、契約する者も多い。それが相見積もりによる調整後の発注契約で、もちろん入札は形式的な書類上の作業。これらは明らかに偽入札で違法行為。 社会福祉法人千寿会(間部一彰理事長・熊本県下益城郡美里町二和田1233)は平成24年4月、同県上益城郡嘉島町大字上仲間に『。
特別養護老人ホーム悠優かしま』をオープン。独立行政法人福祉医療機構から3億円の融資(利息年1・05%H29…以降年1・65%)を受けての開園であった。
この後である。同法人の本拠地である美里町議会の複数の議員から「千寿会の発注する施設の新築、増改築は全て三津野建設(熊本市東区健軍本町)…」 クレームが挙がった。
先に紹介した特別養護老人ホーム悠優かしま>はもちろん、美里町でスタートした特別養護老人ホーム陽光園(H6)、介護センター陽光園、グループホームひだまり(H13)、高齢者支援ハウス太陽の丘、そしてヘルパーステーションひまわり、それにコミュニティハウスみんなの家 (H20)と、同法人の発注契約先は全て三津野建設。
ここまで「三津野建設への連続発注」となると、当初から思惑、意図が存在しての違法発注の疑いは濃厚で、それを「偶然の結果」と否定するには無理がある。
それでは何の理由があって「違法性の疑いが濃厚な三津野建設への連続発注」となったかだが、同法人には「二代目理事長(間部病院長)よりも実力者のS名誉施設長(理事)」(同施設スタッフ談)の存在があった。彼の妻、長男も同施設の幹部スタッフで、見方によってはS氏の同法人。
そして先述の同法人スタッフが何気なく語った話が、「名誉施設長であるS理事の次女が三津野建設の幹部社員に嫁いでいる」
背景である娘婿のI氏(三津野建設)との利害関係。それが理由。結婚時期はスタートとなった老人ホーム。
陽光園の建設前後というが、仮に同工事後だったとしても 後続施工の発注は特命発注の経理規定違反。約10年間に及ぶ五つの違法発注を熊本県健康福祉部は見逃したともいえるが、同部OBの一人は「法人側の倫理観を信頼し、その内部告発に頼らざるを得ない福祉行政を舐めた行為」と憤慨して語るが、問題発覚後も制裁に消極的な行政であることも確か。
昨年10月、熊本市は前市長が理事長を務める社会福祉法人に対し、「実態のない工事代金として補助金を不正受領した」と摘発して返還を求めた。
ところが熊本県健康福祉部には、「問題を現場が摘発しても、上司がOBの再就職先に温存する」という批判がある。こうした熊本県方式を『熟柿の落下期待方式』というが、どっちもどっちで、市民の福祉にはほど遠い行政といえる…。
本店があるはずの場所は、他人が所有する更地だった。
接触してきた西原村は「意外な捜査関係者の訪問もあって、主人公争いのような入れ替わり立ち替わりには『実態が見えない』というのが実感で、事業の推進状況では村の土地を貸与する場合もあるというのは語りましたが、そこに宿泊施設を村が建てるとか、まして連携して事業を推進するとかの約束はありません」(企画課)といった。
これは同村宮山地区に「歴史体験型のアウトレットモールを建設し、そこに西原村が建設する宿泊施設を管理して無料提供する」と述べている『株式会社西原癒やしの郷』についてだ。
同社の登記上での本店(同村小森)は、冒頭に述べた通り阿蘇森林組合が所有する雑種地…。
同村企画課の「実態が見えにくい」とはこれだけではなく、「A社がBを帯同すれば、次は『本物は同社』とBがCを連れて来て、そしてまたC社が本家を名乗り出るという構図」も理由。その一つが株式会社阿蘇西原歴史村で、事業の進展よりも本家争いのである。
もちろん『文化的、地域の経済振興の上で価値ある企画』(お菓子の香梅談)を否定はしない。問題なのは首を傾げる品格である。
平成8年、旧阿蘇町に同じく映画会社からテーマパーク建設のプランが持ち込まれ、わずか二年の間で不良債権7億円、不 明金約2億円を生んだ経済事件がこの熊本にはあった。正しく趣旨よりも事業に対する倫理観の問題。それと同一に見るつもりはないが、西原村での今回の場合と違って、旧阿蘇町が自ら旗振り役を務めた時でも多額の被害、被害者を発生させたわけだから「趣旨に小躍りする前に冷静な判断」(某経済人の反省の弁)は確か。
そんな中、先の企画会社から「加藤清正公の映画化話」が加藤神社に持ち込まれた。
彼らを誘導したのは、熊本市役所勤務時代に熊本城総合事務所の所長を務めた重村和征市議(熊本市議会)。
応対したのは湯田宮司と同神社の氏子総代の役員だが、重村市議は「清正公の生誕四百五十年を記念して…」と、同映画化へ向けた協力を要請。
その協力が「制作に向けての資金」を外した要請であったら何ら文句の付けようもないが、地元経済界、市民への資金カンパが背景にあるとするなら、これほど品格のない、いや市議会議員として資質を疑われる話はない。
というのは、「セイショコさん」と呼ばれて慕われている加藤清正公の映像化は、没後四百五十年の記念事業として大河ドラマ化(NHK)に向けて実行委員会が設立され、湯田宮司を中心とする同実行委員会が15万4千人の署名をNHKに提出。朝鮮への出兵が対韓国でネックとなっているというと、荒木章博県議が韓国へ出向き、その結果は幸山熊本市長が「問題なし」とコメントを発表。
しかも同大河ドラマ化への活動は単に熊本県だけの問題ではなく、庄内地方(山形県鶴岡市・清正公の遺骨は遺族によって密かに庄内丸岡に運び出された)においても多くの市民によって署名活動が行われていて、こうした清正公を慕う多くの市民、自治体、政界の熱き活動を市議会議員が「知らなかった」では通らない話。同市議を含めた企画会社の自主制作なら「感謝」であるが、それが異なるとなると資質が問われる。
趣旨は理解できても、やはり問われるのは実行者の資質と品位…。
熊本県環境整備事業団(村田信一理事長・副知事)は30日、同県玉名郡南関町下坂下地に建設予定の公共関与管理型最終処分場について、予想通り「一括(設計・施工)方式」での入札を発表。
同公告によると入札は指定期日(8月29日~9月5日)までに技術提案書等を提出し、同提案書と入札(9月5日)における入札価格を総合的に評価して落札者を決定するという総合評価方式。
同一般競争入札への参加には、別項条件を満たす構成員の4社(4社JV)として、同代表構成員の資格となる経営審査評定値は土木1400点以上で、建築1300点以上と意外に低い。
この総合評定値からだと若築建設、大日本土木辺りまで含まれ、同参加の代表構成員にはスーパーゼネコンから中堅ゼネコンまで約30社前後を予想し、普通は「競争原理のはたらく入札を図った」と評価される。
ところが一方、同発注については「競争原理のはたらかない官製談合」という予測が以前からあって、しかも関係内部から、そうした噂が飛び出ているとなると、この事業は根本的に不可解というより異常。
産業廃棄物の排出量が産業界の排出減量、再資源化キャンペーンで下降傾向に 入った現在、何で42万立法メートル容量もの処分場が必要なのか、また国交省指定の防災指定地域問題を含む環境問題はどうなのか、そうした肝心な問題には鈍いとなると、人の懐、その財布に直結する話の検証から始めるが、事業の原資は国民の税金。個人の利害を挟む余地など、本来はそこには存在しないのである。
入札参加には別項条件を満たす構成員4社と述べたが、別項条件の中に「本設計の設計者として10年以上の経験を有し、衛生工学、廃棄物管理の資格を有する技術者を配置できる」という一項がある。この一項の条件によって、参加資格の代表構成員は30社余りからスーパーゼネコンを中心にした10社余りに絞り込まれる。
そして問題なのは、「設計を含む一括方式の入札」という一点。
すなわち同環境整備事業団からの提示、説明は「埋立面積、埋立容量、クローズド型、そして付帯施設は侵出水集排水、地下水集排水、埋立ガス処理施設等」といった概要だけで、これだけで技術提案書を作成し、入札額の積算を行えというのだ。
何らかの作動を受け、数合わせで参加する代表構成員ならともかく、真面目に参加するには技術提案書の作成もそうだが、積算のための設計、策定書の作成が事前に求められる。同環境整備事業団は64億5960万円の予定価格の中で、詳細設計の予定価格を1億27万5000円と内訳提示しているが、この金額まではともかく、策定書作成費用として少なくとも約3500万円は要する(同業界複数社談)。
公共工事の全盛時ならともかく、この先行き不透明な今日、約3500万円をどぶに放り投げる結果も予測される入札 に果たして何社が参加するか。
50パーセント以上の落札が可能性として想定でもされない限り、熊本営業所の思惑に関係なく、普通の企業なら「止めとけ」と指示を出すのが本社、支店の常識。
裏を返すと「落札の感触を事前に得ている」、いや「受注の可能性に賭ける自信を所持」といった代表構成員に絞られてくる。その裏付けとは何か、いまさらそれは問題ではない。参加代表構成員が数社、いや3社以内に絞り込まれる。仮に1社であっても、共同企業体の事前審査型での一般競争では、同入札は成立。
発注側にとっては、まさしく「思惑通り」である。これが巷で噂の「村田・前川JV指令のTOT+X作戦」で、ここから蒸し暑い夏に向けての同シナリオの検証に入る…。