メガソーラーは、本当に環境に優しいエコだろうか。
近所にも見かける太陽光発電施設とは異なり、合わせると東京ドーム約41個分。その192ヘクタール分の阿蘇外輪山が、パネルで覆い隠される。
断っておくが太陽光発電施設の計画、建設を全て反対している訳ではない。
地域住民、社会と調和されたメガソーラー事業の計画、建設、稼働でなければならない、その条件が問題。
林地開発許可を一部残したり、農地転用許可を残して開発事業が進められているとなると、その企業姿勢が問題であって、それを止める勇気が求められて来る。まして関係者と行政側が一緒に食事し、ゴルフに興じていたなどと噂が飛び出すと、「公僕とは何か」である。
(白色部分がメガソーラー建設地)
(白色部分がメガソーラー建設地)
半分は宮崎、大分県に影響のある立地場所であり、「熊本県民が怒る程の話ではない」といった話が行政サイドから漏れて来たが、そうした理屈が住民と行政との不調和な課題を生んでいる事は確か。
熊本市役所前の「地下水位情報掲示板」を見つめながら、このメガソーラーの出現を冷静に考えて貰いたい。
該当の太陽光発電会社は両方、資本金200万円の合同会社。計画されている太陽光発電施設のパネルは香港の製品で、PCS(発電、運転制御装置)は上海製という安価な外国製。
裏を返せば決してバラ色とは言えないメガソーラー業界だが、該当の発電会社は山都町が合同会社JRE山都高森発電所(79・955kw)で、高森町は合同会社JRE阿蘇高森発電所(62・525kw)。両社は住所を同じくするJRE(ジャパン・リニューアブル・エナジー㈱・竹内一弘社長・東京都港区六本木ヒルズ)が、実質的な経営者(親会社)。そして同社は、米国の投資銀行であるゴールドマン・サックス・グループの傘下に在る。
原発廃止を早々と決めたドイツの電力会社が、既に同国では過剰な状態だと同社は日本上陸を図った。しかし同社は、佐世保市他1ヶ所のメガソーラー計画を断念して日本から撤退。
我が国では九州電力が供給電力の過剰で、受け入れを制限する出力抑制まで行ったが、当初44円/kwでスタートした売電価格は現在14円/kw。
1、2メガ程度の小規模発電事業者の「メガソーラーの多発が首を締める」という発言は、そうした面からの危機感。
ところで現在、長野県や鹿児島県など全国26の市町村で「メガソーラー建設計画反対、撤去」の住民運動、提訴が浮上。阿蘇外輪山での建設中のJREも岡山市北区でのメガソーラー建設計画で、その反対大井地区連合町内会(菅野英憲会長)が発足し、計画の白紙化を訴えている。
反対理由は、山の保水力が低下し、洪水や土砂流出の危険が高まるという災害面での懸念。そして美しい景観が損なわれ、観光資源の損失で、やがて死活問題に発展するという景観、形状変化への不安。
阿蘇外輪山の場合、場所は裏側ながら空からの形状変化は一目瞭然で、その損失も予想され、それに集中豪雨で崩壊、赤土の土砂流出で河川の汚染、それにここではやはり命の水と称されるミネラルウォーターの問題。
防災用に調整池、砂防池を設置するというが、それらは伏流水とは無縁。
こうした点で法、条例の不整備の中、無理して開発許可を与えた蒲島知事の責任はどうなのかだが、問題はそこへ知事を誘導したX氏。
仮にメガソーラー事業がストップした場合、現状復帰への担保はどうなのか。また、その責任は現農林水産部長にあるのか、現知事にあるのか。
ここまで来たら、有明海の魚にも影響する河川法第24条(特許使用に該当し、社会経済上必要やむを得ないと認められぬ至らないと不許可)だが、例年、植樹や水の恵みに感謝する活動に努める子どもたち、彼らに反対の先頭に立って貰うしかない…。(第5回へ続く)