熊本レポート

文字の裏に事件あり

阿蘇の水をカネに換える凄過ぎる男たち     第4回

2020-09-26 | ブログ
メガソーラーは、本当に環境に優しいエコだろうか。
近所にも見かける太陽光発電施設とは異なり、合わせると東京ドーム約41個分。その192ヘクタール分の阿蘇外輪山が、パネルで覆い隠される。
断っておくが太陽光発電施設の計画、建設を全て反対している訳ではない。
地域住民、社会と調和されたメガソーラー事業の計画、建設、稼働でなければならない、その条件が問題。
林地開発許可を一部残したり、農地転用許可を残して開発事業が進められているとなると、その企業姿勢が問題であって、それを止める勇気が求められて来る。まして関係者と行政側が一緒に食事し、ゴルフに興じていたなどと噂が飛び出すと、「公僕とは何か」である。


(白色部分がメガソーラー建設地)

半分は宮崎、大分県に影響のある立地場所であり、「熊本県民が怒る程の話ではない」といった話が行政サイドから漏れて来たが、そうした理屈が住民と行政との不調和な課題を生んでいる事は確か。
熊本市役所前の「地下水位情報掲示板」を見つめながら、このメガソーラーの出現を冷静に考えて貰いたい。
該当の太陽光発電会社は両方、資本金200万円の合同会社。計画されている太陽光発電施設のパネルは香港の製品で、PCS(発電、運転制御装置)は上海製という安価な外国製。
裏を返せば決してバラ色とは言えないメガソーラー業界だが、該当の発電会社は山都町が合同会社JRE山都高森発電所(79・955kw)で、高森町は合同会社JRE阿蘇高森発電所(62・525kw)。両社は住所を同じくするJRE(ジャパン・リニューアブル・エナジー㈱・竹内一弘社長・東京都港区六本木ヒルズ)が、実質的な経営者(親会社)。そして同社は、米国の投資銀行であるゴールドマン・サックス・グループの傘下に在る。
原発廃止を早々と決めたドイツの電力会社が、既に同国では過剰な状態だと同社は日本上陸を図った。しかし同社は、佐世保市他1ヶ所のメガソーラー計画を断念して日本から撤退。
我が国では九州電力が供給電力の過剰で、受け入れを制限する出力抑制まで行ったが、当初44円/kwでスタートした売電価格は現在14円/kw。
1、2メガ程度の小規模発電事業者の「メガソーラーの多発が首を締める」という発言は、そうした面からの危機感。





ところで現在、長野県や鹿児島県など全国26の市町村で「メガソーラー建設計画反対、撤去」の住民運動、提訴が浮上。阿蘇外輪山での建設中のJREも岡山市北区でのメガソーラー建設計画で、その反対大井地区連合町内会(菅野英憲会長)が発足し、計画の白紙化を訴えている。
反対理由は、山の保水力が低下し、洪水や土砂流出の危険が高まるという災害面での懸念。そして美しい景観が損なわれ、観光資源の損失で、やがて死活問題に発展するという景観、形状変化への不安。
阿蘇外輪山の場合、場所は裏側ながら空からの形状変化は一目瞭然で、その損失も予想され、それに集中豪雨で崩壊、赤土の土砂流出で河川の汚染、それにここではやはり命の水と称されるミネラルウォーターの問題。
防災用に調整池、砂防池を設置するというが、それらは伏流水とは無縁。
こうした点で法、条例の不整備の中、無理して開発許可を与えた蒲島知事の責任はどうなのかだが、問題はそこへ知事を誘導したX氏。
仮にメガソーラー事業がストップした場合、現状復帰への担保はどうなのか。また、その責任は現農林水産部長にあるのか、現知事にあるのか。
ここまで来たら、有明海の魚にも影響する河川法第24条(特許使用に該当し、社会経済上必要やむを得ないと認められぬ至らないと不許可)だが、例年、植樹や水の恵みに感謝する活動に努める子どもたち、彼らに反対の先頭に立って貰うしかない…。(第5回へ続く)

阿蘇の水をカネに換える凄過ぎる男たち     第3回

2020-09-26 | ブログ
「該当事案でSが動いたのは、故園田博之先生の時代(秘書)で、東京のMビルから故博之先生が要請を受けたと聞いており、私には無関係」
これは第三者を通じて、該当事案での関与を否定して来た坂本哲史内閣府特命担当大臣、その同就任前での見解。
S氏とは坂本大臣の秘書で、2018年までは故園田博之元官房副長官(同年11月死去)の秘書。


(毎日新聞・大場弘行氏撮影)

人吉球磨の大水害も対象にして8月28日、衆院災害対策特別委員会が開かれ、この2時間の委員会中、居眠り、いや英語の学習にも使われる『日本現代史』の英日対訳版を読んでいたと、全国紙で叩かれた坂本大臣。
しかし週刊誌から曝露された県議時代の「別腹問題」への「断固否定」、そして森山裕議員と総裁選での石原派の撹乱、それによる二階幹事長の推薦大臣候補となれば、私事にあっては大変な活躍と理解出来るが、他人の事となるとS秘書と同じく使い走りで、該当事案に深く関与とは考えづらい。
ところで8月頃、この該当事案について、知事に「反社(会的組織)が関与した大型民間開発は阻止して欲しい」という請願が出た。
何が反社なのか、その実態を確認出来ない中、高森町の該当地での土地権利者の推移を考えると、2017年11月に地元O商事からU社(大分市)が購入し、それを同018年9月A社(大阪市)へ譲渡、そして019年1月に実質1番手のY社へ所有権は移り、同年5月に現施主に売買された。
仮に坂本氏の語る通り、「森ビル(関連者)から話のあったのは故博之氏」ということになると、この土地所有権の変動は「悪意ある手法」となる。そしてここに「反社の事業関与」まで、彼の見解で推察されて来る。勿論、林地開発許可は昨年7月であって、S氏の手伝いは坂本時代まで継続された。
少々、前書きが長過ぎたが、この阿蘇外輪山におけるメガソーラー開発事業は今後、場合によっては熊本県民の敵となる可能性にある。それを内にあってバックアップした人物、黒幕の政治家、そのX氏とは誰なのか。
先述した通り、「水源の涵養、景観を損ねる形状の変化、懸念される災害、そして環境の保全等に関する法、条例を無視して知事に林地開発許可の判子を押させ、農地転用無許可での強引な開発を黙認した」という政治力抜群の政治家、そのX氏とは果たして誰なのかだが、力学的レベルからX氏は故園田博之氏ではなく、まして坂本大臣でもない。
ところで同大規模開発事業には主だったる地元企業の参加もなく、また地元雇用もそれ程の期待も出来ないメガソーラーだが唯一、得る物が在るなら、それは固定資産税。こうした意味合いから梅田穰町長(山都町)、草村大成町長(高森町)の起工式への出席と推察するが、未処理の行政課題での起工式となると、田舎芝居で役者にさせられた両町長。
また該当現場周辺の住民には年10万円の迷惑料が約束されたらしいが、その他にとっては明らかに談合行為。
阿蘇山からの伏流水に頼る約90万人は、該当事案から蚊帳の外に追いやられた。
再生エネルギーの花形と称されるメガソーラー、本当にエコなのだろうか。特に阿蘇外輪山の価値を念頭にしながら、その三枚おろしである…。(第4回へ続く)



阿蘇の水をカネに換える凄過ぎる男たち       第2回

2020-09-26 | ブログ
メガソーラーの建設という大規模開発が進められているのは、外輪山の南側が熊本県上益城郡山都町大字長谷宇土2168―1で、阿蘇山の東側が同県阿蘇郡高森町大字中字竹の迫2454。面積は合わせて192ヘクタール。







現在、NTTのグループ企業である日本コムシス㈱(加賀谷卓社長・東京都品川区)の施工で、2022年8月の完工を目指して造成、整地等の段階にあるが、既に一部は太陽光発電施設におけるパネル設置を終えた状態。
その現場での土木作業重機等の数からして、1ヶ所80ヘクタール規模以上の様相を見せるが、意外な事に現場は大分県のA2ランク業者群。
ところで山の開発には水源の涵養、災害防止、環境の保全など公共的な機能を有しており、その観点から林地開発の許可を有する。
その点について熊本県森林整備課(笹本征道課長)は、
「建設現場の入口に許可証を掲示」
その許可看板が見当たらないのだ。



ところが後日、阿蘇地域振興局の林務課が「昨年7月に許可」と回答。
そこで「農地転用は…」と、別の許可について尋ねると、それが「まだです」と、これこそ意外な『未処理』という返事。
山林なら不要での「未処理」も想定されるが、該当現場(2ヶ所)の地目は原野(牧場)であって、これは農地ということになる。
また高森町の該当地には農振地(農業振興地域)、山都町の現場にはパイロット基盤整備(補助金絡み)の噂も浮上。
いずれにしても、4ヘクタールを超える農地転用(農地→メガソーラー建設)に係る事務、権限は国(九州農政局)との協議を付した上で、県知事の許可となる。
「この難関な農地転用を考えても、かなり強い政治力が動いたのは確か」
これは国政、県政における元議員らの見解。
だが、農地転用の許可は下りていない可能性が濃く、その中での開発事業となると、これは明らかに無法での開発として、施主は熊本県に喧嘩を売ったということになるが、全国大手ゼネコン、地元業者が事業参加を渋った理由、それがこの点ではなかったか。
「政治力を背景にしての強引な大規模開発。その政治家とは、ロボットとして迎えられた蒲島(郁夫)県知事ではなく、彼を手足としか想定していない政治家。知事に政治力があったら、法や条例を無視した事業など担当部署を通じて阻止するが、それが出来ない裸の王様で、県幹部も馬と鹿との区別もつかない知事としか見ていない」
断っておくが、これは先述の元議員らの評。
さて法も条例も後から付いてくると、強引に阿蘇外輪山をコンクリートで埋めさせるのを認めている政治家とは、果たして誰なんだ…。(第3回へ続く)

阿蘇の水をカネに換える凄過ぎる男たち   第1回

2020-09-26 | ブログ
未来永劫の水が欲しいか、それともまとまったカネが好きかと尋ねると、中には「カネ」と言いそうな顔ぶれも想定されるが、殆どの者は命の恵みとして「水」と答える。
世界最大のカルデラ、雄大な外輪山からなる阿蘇山は、熊本県が世界に誇る観光地で在り、阿蘇くじゅう国立公園として国民共有の資産でもある。





同時にそこは、熊本市民74万人を中心に約90万人が、命の水と称するミネラルウォーターの故郷。
肥後の水とみどりの愛護基金(肥後銀行)が、329団体の協力を得て山林52ヘクタールを購入して毎年、子どもらも参加して植樹、山の保全活動に努めている阿蘇山。
また阿蘇山からの天然水が、15ヶ所の泉で湧き出る嘉島町。そこに工場を持つサントリーも例年、子どもらを中心にして水に感謝するイベントを開催。


(水とみどりの愛護基金による植樹活動)

(サントリーグループによる水の恵みに感謝する活動)

ところが、そんな阿蘇の外輪山をコンクリートで包み込む事業が進められている。それはメガソーラーの建設で、その2つの大規模開発は合わせて192ヘクタールで、それは東京ドームの約41個分。
「初耳」
寝耳に水と驚いた表情を見せたのは、九州環境事務所(岡本光之所長)。
国立公園の開発には、公園法によって景観、形状の変化等に関して厳しい規制が執られている。
続いて熊本県自然保護課(前田隆課長)も、また
「新聞報道はなかったですね」
阿蘇外輪山での大規模開発を聞き返して来る程で、ここも初情報の驚き。
その良し悪しはともかく、そもそも行政という世界は無駄をしない役割にあって、住民から届け出があって初めて機能にスイッチを入れる。
彼らには幸いか、2ヶ所の該当現場は微妙に国立公園第3特別地域外。彼らに言わせれば、知らないのは当然。
しかし表現は悪いが、知らなきゃ仕事は不要の彼らも、忖度となると法や条例も相手にしないのが行政。
水とみどりに明日を賭ける子どもらの活動に対し、それを逆撫でするような開発が何故に動き出したか、それをこれから生板に乗せてみる…。(第2回へ続く)


熊本の公共施設設計は久米・山下に限定 !

2020-09-18 | ブログ
1981年、新耐震基準が制定されて地震等に対する安全性が重視されるようになり、その構造計算に卓越した能力を所持した、経験豊富な全国大手設計事務所が、その作品をもって熊本県の公共施設に関わるようになった。
勿論、技術能力に加えて企業姿勢、その信頼性も重視される。



2005年、当時のマンション業界、公共施設を揺るがした耐震偽装事件も、その1つだが、建設業界には「政治銘柄」と称して、官製談合の担い手とされた大手設計会社もある。
近年、こうした設計会社を嫌った発注が行われている傾向にあるのが熊本県の公共施設。



こうした全国大手設計会社と、地元建築設計会社は共同企業体を組んでの参加となるが、技術的にはどうあれ、やはり実績量から劣る地元業界は、発注側の意向もあって二番手の参加に従っている現状。
平成30年3月、人吉市新庁舎
山下設計・本田・月足
平成30年12月、大津町新庁舎
山下設計・バオプラーン
平成1年6月、宇土市新庁舎
久米設計・桜樹会古川建築事務所
平成1年8月、八代市新庁舎
久米設計
平成2年1月、益城町新庁舎
山下設計・バオプラーン

これら主な公共施設の受注設計業者を見ても、その特色が歴然としている。
次に施工も同様、ここでも耐震構造の建築物資格、その実績等から全国大手ゼネコンを中心に公募型競争入札が執られていて、地元業者はここでも二番手といった状態。



全てとは言わないが、全国大手設計会社と全国大手ゼネコンの絡みとなってくると、政界ロビーにとって安全ということは否定できない。
ここで大手設計会社と同じく、嫌われだしたと噂の大手ゼネコンが、早稲田大学大隈講堂の実績を持つT。地元建設会社のJV相手には、同社を避けての営業活動が求められる…。