熊本レポート

文字の裏に事件あり

大津町か綜企画設計なのか得したのはどっちだ!?

2017-05-29 | ブログ

 震源地の益城町程ではないが、その北側の大津町も熊本地震で打撃を被った。元々、計画にあった同町の庁舎建設も加速して現在、その解体工事に入っているが、その作業を見上げていると、同町の知人が近づいて来て、
「この新庁舎の設計料が、先に出た給食センターの設計価格と同額だったというのだ。そう、設計会社は両方とも同じ綜企画設計」
 同じように解体作業を見上げながら、素直に不思議だと語った。
 内容は省くが、単純に規模を比較すると一方の落札、受注額が極めて安過ぎるというのだ。普通、安ければ得したように思いがちだが、そう簡単に理解の出来ないのが公共工事。それが、ここからの検証、その見解である。
 先ず平成28年6月、同町が給食センターの改修に向けて実施した設計入札で、それを㈱綜企画設計熊本支店(熊本市北区四方寄町1631-2)が402万8400円で落札(落札率96%)、そして受注。
 そして7ヶ月後の今年1月、今度は町の新庁舎建設基本構想・基本計画策定業務委託における入札でも同社が、それを410万4000円で落札。
 これだけで「疑問」と語れば、一般市民なら「連続しての受注は発注側(町側)との癒着か?」となるが、そうではなく、給食センター建設における設計の予定価格が420万円で、しかし一方の庁舎建築(設計)の予定価格は約1400万円だというのに「何で同額程度(400万円)の仕事代なのか?」と、そういう疑問で、それを不可解に感じるというのだ。すなわち町庁舎建設の設計は、その予定価格の26%で仕事を任せて、果たして責任ある仕事が出来るのか(信頼)と、それを彼は懸念したのだ。
 かって、施主側の意向であれ、または単独の思惑にしても本体の建築、設備施工を狙う業者が、その受注に向けて入札前に設計業者と接触を図る時代があった。もちろん、違法(競争入札法)に向けた行為なわけだが、そこで何十万、何百万円の謝礼が見返りとして動いた。しかし綜企画設計が、それを見込んで、他社が競争意識を放棄する程の超低額で落札(業界用語で同行為を゛鉄砲を撃った゛と称する)したと、その裏を断定しているわけではない。
 だが綜企画設計の事実はどうあれ、そうした『鉄砲』が「設計の技術能力、スタッフ要員の資質的な欠如」からも撃たれていたという見解が存在していたのも確か。
 綜企画設計は同24年、四国で施主側から頼まれた許可申請を怠り、それを隠すために許可証を偽造し、それを行使したことで同社員が有印公文書偽造で逮捕され、また作業環境測定法に違反して作業環境測定を無資格者に行わさせたとして、同社はいずれも入札指名停止の処分を受けた。
 それに同社は同21年9月、熊本市東警察署等複合施設庁舎新築工事の設計を受注したが、その同管理からは外された。その背景には、防衛省施設建設での設計トラブルがあったと語られている。
 東京西南から神奈川東部に延びる、日本一の私鉄グループに属する建設会社の元熊本営業所長、それに熊本市北区選出である市議会議員の縁戚者が「そのキャパを活かして県内各地で営業を展開」と、地元建築コンサルト業界は戦々恐々にあるが、その背景にあるのは大津町での超低額の入札、それに再々の指名停止(理由)から想定される同社の強気(怖いもの知らず)。
 冒頭での町民の声というのは、稀な不可解、疑問に感じての声であって、裏を返せば町は「安値で得した」ということになるが、業界の語る二つが繋がっていることも確か・・・。


熊本空港の民営化には市民グループの検証が必要  第三回

2017-05-24 | ブログ

 不可解、いや不条理と思われる行政は市民が直面する数より百倍以上といわれるが、それが既得権を持つ行政側には「適正」であるから実に厄介である。
 民間のオリックス、バンシ・エアポート(仏大手ゼネコングループの空港運営会社)等に運営を譲渡(関西エアポート㈱)した関西国際空港は、2016年度の決算で460億円の営業利益を計上して成田国際空港の営業利益(433億円)を抜いた。
 こうした点から一方の見解ながら先述の「解せない運営」という悪評、また民営化構想への一因でもある経営不振を棚に上げ、その民営化企業グループへの参加に意欲を見せる県の第三セクター(熊本ビルディング㈱・村田前副知事代表)は、どう考えても得手勝手。これは「コンセッション(民営化)の選定(審査・入札)において公正を損ねる」(国土交通省航空局談)という見解以前の問題。関係者から「解散は自治労が認めない」と薄笑いも漏れたが、それは公共、公平性の上で全くの堅白異同。
 宮城県の村井県知事は仙台空港の民営化にあたって「完全民営化」を訴えて、第三セクターの参入を排除したが、その先発組の仙台空港の例から民営化までの行程を想定すると、運営企業の公募に始まって、公募締め切り、1次審査(2グループへの絞り込み)、そして2次審査を経て運営企業の決定、その上で運営企業による空港ビルの建設、運営企業による事業開始となるわけで、そこまで3年以上を要した。
 3月8日、HISの沢田秀雄会長が日本記者グラブで会見して、熊本空港の民営化について「子会社の九州産業交通HDで入札に参加」と表明。
 地元企業としての意思表示だが、もちろん、これで決定したわけでもなく、これから予想される三菱商事、住友商事、東急電鉄、イオン、そして大成建設、前田建設工業、熊谷組等のゼネコン、それにシンガポール空港運営会社など外国企業のいずれとグループ企業を構築するかが注目される。
 高松空港の民営化では穴吹興産、高松琴平電鉄等の地元グループが名乗りを上げ、また福岡空港の場合は九州電力等の地元七社会と福岡市長との間でグループ化が異なり、その結果、両者に亀裂が起きたとも語られる。
 ちなみに仙台空港は東急電鉄、前田建設工業、豊田通商等のグループが落札して、同空港の民営化を開始。
 ここまで大成建設は三菱地所と組んで他の入札に参加しているが、ここ熊本空港の民営化ではこの大成建設の動向が注目される。
 大成建設は日建設計と伴に既設の熊本空港ターミナルビルに深く関与していて、「仮国際線ターミナルビル建設の受注を目論んでいるが、3000平方メートル規模の仮ビルなら地元設計会社、建設会社でも可能」という話が独り歩きしている。仮にこれが事実なら、大成建設は民営化での入札には不参加か、といった想定もされるが、それは理解の難しい話。むしろ仮ビルは本体工事に伴って、それに先行して建設されるという常識からすると、「コンセッションの公平性に欠く」という理屈になる。
 空港の民営化は決定までの公平性、それに手続きの透明性が求められる。
 また関西国際空港の場合は最低落札価格2兆2000億円、審査中の福岡空港は1610億円の最低落札価格が提示されていて、民営化では公平性、透明性と同じく、この適正な運営権の価格が重要。
 冒頭の話ほどではないが、ここに半分程の情報を明らかにしただけで、民営化への明日は野次馬にも面白い展開を予想させるが、
「熊本のさらなる振興に向けての民営化を考えると、熟知した与党議員のチラホラ居る中で、資質の問われる野党議員の熊本県にあっては、市民グループが情報収集し、そして検証するという姿勢の構築が早急に必要」(観光事業者談)
 確かに、この三、四年で明日が決まるとなると、その決定まで厳しく見守る必要がある。既得権側に立つか、いや明日に向けて僅か三年だけでも注視するか、それとも無知で通すか、それは貴方次第・・・。


熊本空港の民営化で何が変わるか ? 第二回

2017-05-17 | ブログ

 2012年2月、小誌で『熊本県は1989年から約4918平方メートルを祟城大学に無償提供』と報じた。
 国内唯一の「空港にキャンパスを持つ」と触れ込みの祟城大学だが、フェンスで囲んだ同南ウィング実習棟の先から滑走路誘導口までの約4918平方メートルは県有地である。
 空港内における県有地の貸与は、収益事業として民間の小型航空機駐機場、同整備工場等にも存在するわけで、それは特異な状況でもないのだが、これが「協議しての無償提供」(県交通政策課)で、しかも、その理由が「文書不存在」(同課航空班)といことになれば妥協と無能の県議会に関係なく異常だと、これを問題提起。
 県営住宅の家賃滞納に訴訟の構えを見せる一方で、約3億5000万円(隣接の民間施設等地での賃貸料から試算・時効10年でも約1億4000万円の請求権・注2012年迄の試算)の賃貸請求権を放棄していたのだ。国民の税金を補助として受けて運営する私学が、教育に無関係の駐車場経営に励むのは問題とされる中、それと同じく県民一人ひとりの共有地を損失させたとなると事業税、不動産取得税、自動車税、そして県民税に追われる県民にとっては一言ですまされない問題。
 また2013年、空港に隣接する工業団地に進出の企業(誘致企業)が、その事業の一環として空港内での航空関連事業を計画し、同県有地の片隅に土地(約300平方メートル)の貸与を申し出た。ところが県は「整備計画中につき無理」と、それを却下。現在、同地は草が生い茂り、雨水が排水不良で湿地を生んだ状態。税収はもちろん、収益事業からして「却下理由の不可解」は当然である。
 一方、賃貸契約の事業所が、撤退による契約破棄を前に事業所棟の売却を実行した(2011年9月)が、それを購入した事業所が新たに同地に進出(新規契約・2012年4月)して来た例もある。その「新規契約方法」は県担当者のアドバイスによる手法と関係者は語るが、空港管理地で発生した「盗撮機材と同配線の事件」を考えると、県の管理(第三セク・熊本空港ビルディング㈱)からして、その姿勢、能力が疑われる。
 その善し悪しはともかく、忖度という日本の政治、また多数の者から搾取して特定の者に供与する(山邊事件)のも日本の政治と理解はしても、空港民営化構想の背景(改善理由)とされる第三セクター(歴代の副知事を代表とする熊本空港ビルディング)が、この民営化に参入するというのは「コンセッションの選定に公平性を欠く」(国土交通省航空局)という以前の問題。民営化と同時に第三セクターは解散というのが、民営化構想の原点でもある。
 ところで熊本大学出身で熊本県には係わりの深い同航空局の空港計画課長が、昨年から頻繁に来熊して県交通政策課以外の政治家、民間人等とも接触しているが、同じく頻繁に動きを見せているのが日建設計と大成建設。
 その狙いとは国際線ターミナルビルの仮設建築とされるが、そこには大きな問題点がある・・・。(第三回へつづく)
 五月晴れ   瞼も落とす   木陰かな


何が変わるか熊本空港の民営化 第一回

2017-05-05 | ブログ

 振り返れば可能性は十分にあったのだが、他人事で済ませて来れた県民が予想だにしなかった熊本大地震は県民の生活、県産業に甚大な被害をもたらした。震源地に近い熊本空港もターミナルビルの天井が落下するなど搭乗口、飲食店などの被害は決して小さくはなかった。
 蒲島熊本県知事はそれから八ヶ月後の12月、「空港ビルの建て替えを熊本地震からの『創造的復興』の象徴と位置づける」として、その建設を空港運営権と一体化した「コンセッション(民営化)方式」で実行したいと、それを石井国交相に要望。
 だが、この熊本空港の民営化はここで、地震からの復興として始まったことではなかった。2010年の国交省成長戦略会議で出された地方空港の民営化構想に始まったもので、それは熊本空港についても国交省側と特定の地元政治家らとの間で話し合われてきた経緯にあった。
「第三セクターがコンセッションに入札するというのは、それは選定の公平性を損なう恐れがあるので、それは認められません」
「あぁた(貴方)、そいじゃ(それでは)いっちょん面白くなかたい(ひとつも良いところはないではないか)」
 足を伸ばしてゆったりと座っていた男が、腰を引いて座り直しながら顔を突き出して、そぅ言った。
「いや県、市は応札企業に参加することは出来ませんが、落札した企業に一定の割合で出資することは可能です」
 さすが熊本出身の官僚である。熊本弁での不満に直ぐ応えてきた。
 国交省の説明は一見、そこに透明性の高い制約を課したように思われるが、実情はそうではない。県や関係市町村は「確実に勝ち馬に乗れる」という落とし所が、後で検討されて付け足されたコンセッション方式である。これでは、応札企業からの「何のための民営化か」といった批判も当然である。
 空港の民営化とは、緊急災害時での活用を優先した滑走路、それに管制塔を除いた施設を民間に委託し、その運営を任せるものだが、熊本空港の場合は鹿児島空港等とは異なり駐車場(国の第三セクター)も相変わらず除外される。
 さて熊本県は民営化を2019年半ばに予定しているが、先行組の例からだと公募から第一次審査、競争的対論、第二次審査、そして優先交渉者の決定まで三年余りを要する。
 コンセッション方式に最も求められるのは適正な運営権価格の設定、公平な選定、そしてこれらの透明性にあるといわれる。すなわち最も重要なのは、表現は悪いが権力争いであって、そうした裏の部分なのである。
 民営化は関西国際空港のようにオリックスとフランスの大手ゼネンコン傘下のヴァンシが落札、運営するというケース(関西財界も参加)もあるが、地方空港では先発組の高松空港のように穴吹興産、高松琴平電鉄など地元企業グループも受注意欲は高く、これらが三菱商事、オリックス、東急などと大成建設、前田建設工業、熊谷組などのゼネコンまで加えて、その枠組みで受注競走に入るわけで、その裏のし烈な戦いは想像できる。
 福岡空港の場合は七社会(九電・西鉄・西部ガス等)が外資系と組んだことで、市長と七社会との間に亀裂を生じたと噂されるが、それだけ特定の政治家には「働き甲斐」のあるテーマであることが伺えられる。
 野党の看板はあっても「野党議員不在の熊本県」という酷評に関係なく、国民の共有資産について、県民一人ひとりに監視と検証の求められるのが熊本空港の民営化。
 その検証のためのテーマが、経緯を含めてこれからである・・・(つづく)
葉ざくらの   残りし匂い   櫓前