熊本レポート

文字の裏に事件あり

N家の福祉法に見た熊本県の強者のための福祉 第3回

2016-12-30 | ブログ
 I氏は支援学校である天草学園の元職員で、女性職員と共に同学園を退職して、園田博之代議士事務所にも席を置いた時期もあったが、その後援会の中から「啓世会という法人名は、一緒に天草学園を辞めたその女性の名前から取った」という噂も浮上する。
 しかし社会福祉法人の法人名は、その公共性から「個人名や団体名から引用したものは認められない」とされるが、風聞ながら疑惑をつかれる福祉行政は明らかに問題。
 他県では想定されない熊本県における福祉問題について、特定の社会福祉法人を挙げて述べたが、その原因について県健康福祉部のOBが次のように語った…。
「県行政による『癒着』の一言。社会福祉法人の設立準備から政治的な仲介があって、関与する自治体職員には、その見返りとして退職後の再就職への道が与えられる。少なくとも現在、県庁OBの十八人が社会福祉法人の理事、幹部職員として存在」
 これは証言でもある。
 上益城郡美里町の社会福祉法人は、理事の娘婿が在籍する建設会社に同施設の建設を全て発注。入札の結果だと説明されても、長期においての全六件が同結果だと当然、疑いは高まる。
 また菊池郡大津町の社会福祉法人は、同施設内に大衆浴場を建設。町民から指摘されるまで、県担当課はそれを「知らなかった」というのだから実にお粗末な行政。
 彼らもまた表現は悪いが、利用者の高齢者や障がい者、幼児の弱者と、それを支援する県民との間において「公金を喰っている福祉関係者」である。
 本来、福祉事業とは慈善事業、ボランティア。それが、より充実した福祉を目指して公費が投下されるようになった。そうした福祉の趣旨に反し、公費喰いを目的とする法人の出現こそ我が国の抱える最大の福祉問題ではなかろうか・・・。
 
 餅なしも 笑みの元旦 して見せる
 皆様の幸多き新年をお祈り申し上げます

N家の福祉法に見た熊本県の強者のための福祉 第2回

2016-12-29 | ブログ
 益城町で空港保育園を運営する社会福祉法人純心会のN・K理事は、阿蘇市の社会福祉法人角岳会(吉永和世理事長・阿蘇市乙姫1776)でも理事職にある。
 この社会福祉法人角岳会の理事長を務める吉永和世氏は、同法人から130キロメートルも離れた水俣市選出の県議会議員で、同議会前議長である。
 実は「水俣市選出の県議が阿蘇市の福祉でも尽力中」と賞賛できない部分が、『地方自治法第92条』に存在する。
 同法第92条の2において
「議員は当該普通地方公共団体に対し請負をする者、及びその支配人又は主として同一の行為をする法人の執行役、これらに准ずべき者たることはできない」と、兼業禁止規定がある。例を替えて説明し直すと、自治体から公共公示を受注する土木工事会社の執行役員は、該当自治体の議員を務めることはできないが、これは営利を目的とする法人に限ることはなく、ディサービスや配食サービス、また外出支援サービス、ボランティアセンター管理運営等にも委託料が支払われているとして公共組合、公益法人も含むとされる(東京高裁・平成15年12月25日判例)。
 なお、該当する候補が当選し、その当選を告知された日から5日以内に「地方自治法第92条の2、また同法第142条」において所定の兼業関係を有しなくなった(該当法人役員の辞任)旨の届け出が必要で、それを怠ったとして当選を失った判例も存在するわけで、水俣市民から浮上の噂もある同事案に対する趣旨も理解はされる。
 隣接する大分県、宮崎県、鹿児島県には、社会福祉法人の理事長に地方議員は存在しない。それが熊本県に存在する理由とは何かである。
 もちろん後述する特殊、いや特異な熊本県選挙管理委員会、熊本県そのものの現状が問題なのだが、有権者が地方自治法に極めて寛容過ぎた点も否定はできない。
 ここまでは地方自治法に基づく議員の兼職禁止規定であるが、それでは福祉法からはどうなのか。
 これについて隣接県の担当部署が基本とする厚生労働省福祉基盤課の見解はここでは棚に上げ、ハードルを下げて社会福祉法人向けに理解のし易いテキストを発行している全国社会福祉協議会の説明を紹介すると、
「社会福祉法において議員による執行役員は認めないとする規定はないが、『社会福祉事業について熱意と理解を有して、かつ実際に法人運営の職責を果たし得る者』となると、議員には実体的に困難であることは常識」
 兼職は論外であると、それを印刷物としても配布している。
 ところで社会福祉法人角岳会にはN・K氏の父・I氏も理事として参与。同氏は同法人が運営する宮地岳保育園(天草市宮地岳・昭和53年10月設立)の園長…。
 同角岳会は平成18年3月に法人変更後、同24年四月に阿蘇市乙姫に特別老人ホームを開所して、同時に同法人は移転変更。
 ところで全国社会福祉協議会の見解を語ることになるが、「保育園の園長は施設内における幼児教育はもちろん、その通園まで幼児に対する重き責任を要する」ということで、そういう意味で岩雄園長は、社会福祉法人角岳会から園長としての職員報酬を得ている。
 だが一方、同氏は同時に同保育園から約百キロメートルも離れた玉東町(木場348)において、社会福祉法人啓世会の理事長も務める。
 そして同法人は「法人運営の職責を十分に果たしている」とし、N・I氏に理事報酬を支払っているわけだが、これには常識として違和感がある。
 全国社会福祉協議会の見解(理事としての責任)を市民的に理解すると、この2法人からの報酬にはしっくりしない感じになる。
「両方、いや一方の社会福祉法人は明らかに問題。結果、公金の無駄を生んでいるのは明らか」(社会福祉専門の大学准教授談)…。


N家の福祉法に見た熊本県の強者のための福祉 第1回

2016-12-28 | ブログ
 現在の約1千兆円という我が国の超膨大な借金は、そのまま近い将来の福祉を懸念させるが、一方、特別老人ホームの余剰金は合計2兆円と異常的な矛盾した状況を作り出している。現在、福祉法人において浮上する課題について決して問題だと断定しているわけではなく、県民一人ひとりが福祉を考える上での材料としての年末年始での特集…。
 
 平成25年、益城町の企業誘致に関して「特定の不動産業者による悪しき利益供与」
という噂が走った。前町長は不動産業者のT氏を企業誘致課に係長として迎えたが(前町長の辞職で退職)、そのT係長が利益供与を仲介させたという風評である。
 この時、「認可保育園の土地購入で益城町(T係長)が関与」(違法)という説も流れたが、同保育園の認可前、同土地購入の交渉に「益城町も承知」(元地主談)として進められたのは確か。これが事実であったら、違法的に保育園の許可が行われた、となる。  
 ところで現在の1千兆円という我が国の超膨大な借金を語るまでもなく近い将来、日本の福祉はそうした「財源難」から危機を迎える。
 だが一方では現在、特別老人ホームを運営する社会福祉法人の余剰金は増える一方で、特別老人ホームの「余剰金2兆円」という矛盾した状況を生んでいる。
 支出する国の方が「金がない」と消費税の増額を打ち出してくる中、その公的資金の支援を受ける社会福祉法人には「金が余っている」となると、これは矛盾というより異常的な現象。
 介護士の給与は決して満足する状況ではなく、介護士不足から外国労働者に依存する傾向にあると語られる一方で、この社会福祉法人の金余りとは何なのか。
 それは福祉を授かる利用者(高齢者、障がい者、幼児等の弱者)と、それを支援する国民(財源)との中間に存在する者で、それは行政と運営者で、彼らが金を握っているとも想定される。
 白川沿いのマンションに居住して、乗用車は高級なスポーツカーで、夜は歓楽街の一流クラブで豪遊している人物が、その福祉への奉仕者であるとなると、人は誰でも金余りと見る。
 さて話を戻すと益城町は平成25年9月3日、認可保育園の公募を行ったが、
「公募期間(締め切り9月17日)が2週間というのは、周知義務を果たしたかという点で異例で、応募する側においては事前に準備でもしていない限り無理な話。そして選考決定が、その一週間後のプレゼンテーションと同日に出されたとなると、応募が単一グループという理由にしても併せて不可解で、事前の『○○有き』という疑惑がどうしても浮上する」(某社会福祉法人理事長談)
 該当の町長が選挙で落選して、前述の不動産業者出身のT係長も退職となると、同事案の検証意欲も薄らぐが、冒頭の噂を物語る証しの一つであることは確か。
 その風評となった空港保育園は、益城町に認可されると平成26年1月15日、運営法人として社会福祉法人純心会(熊本県上益城郡益城町安永)を設立。
「実質的な運営者はN・K元天草市議」
 語るのは天草市議会議員のK氏だが、続けて彼は
「夫人が由緒ある家柄の出で、その夫人の実家が田舎の市議程度では満足しなかった、という説もあるが、二人の接点はN・K氏の野田毅代議士秘書時代ではないか」
 野田毅事務所とは、ここで関係の深いことを説明。
 空港保育園の認可時期における益城町、これから紹介する阿蘇市、玉東町が野田事務所とは「極めて密接な関係」であることは、その善し悪しはともかく、地元政界通の経済人なら一致する見解。
 それでは阿蘇市ではどうか。そこには、特別老人ホーム乙姫荘があった…。


豊洲問題よりもダーティな熊本県の採石行政 第5-5回。

2016-12-05 | ブログ
 急激な斜面の地肌を晒した未整備の採石場跡地を指して、地元民は「山菜採りにも上がれなくなった」と嘆いた。ところが該当地の山鹿市は、これについて「県(産業支援課)から『原状復帰に整備完了』と報告を受けたのですが、まだ未整備ですか…」と頼りない言葉を返して来た。
 確認を怠り、虚偽の報告をして来た熊本県もそうだが、それを確認抜きに鵜呑みにした山鹿市もまた、住民側にあるべき自治の危うい現実を見せてくれたのである。
 もちろん、自己責任とされる採石業者が主犯なんだが、ここは熊本県砕石業組合連合会長である古賀克巳氏(西日本建設工業代表・山鹿市鹿北町芋生)の地元。
 同市には久原に総面積775000平方メートル(サッカー場で95個分)を誇る西日本土木(大分県豊後高田市)の採石場もあって、ここは「ショベルでも掘れる(硬度に問題)採石が多い」と言われる中、「密度3の高品質採石を生産」と評価されるが、古賀会長の西日本建設工業と同社とは法人として異なる。ちなみに古賀会長も佐賀県の出身で、山鹿市の国道3号線沿いの砕石通りは県外出身者によって開発されたといえる。
 ところで問題の未整備跡地は、傾斜75度で盛り土してはあるが、それが「砂糖を積み上げた感じで放置」(地元民談)とあっては、大雨にでもなったら明らかに土差崩れがここには懸念される。山鹿市は「県の管轄下で、その県が『整備完了』と結論」と応えたが、地元住民は「危険で近寄れないどころか二次災害が懸念される」と不安を訴える。
 前代未聞の3億5000万円もの補償費を支払って、国立公園内の採石場を終掘させたと見せ掛け、そこを廃棄物の中間施設に衣替えさせたり、住民から防災面での問題が提起されても棚上げして、その結果で震災による大崩壊、大水害による被害が生じても「自己責任なし」では自治行政の存在価値が明らかに問われる。
 島の西半分が削り取られて放置された国立公園内の高杢島、そして国立公園から除外してまで採石場を優先していて、その御所浦東南部の漁業振興にも壁となっている未整備跡地。
 豊洲問題は密室で推進された結果といわれるが、自然公園法や砂防法、採石法、景観条例等の法律はともかく、この熊本県における採石行政の現実を県民の何人が承知しているであろうか…。