?それなりに期待されるが、それだけの人物と、薬にもなるが毒にも懸念される人物とを比べて人はどちらを選ぶか。明日はどっちだ…!?
?11月の熊本市長選挙に向けて大西一史県議会議員が現職の不出馬に続くシナリオ通り立候補を表明して5日後、JA熊本市組合長の宮本隆幸氏が「加藤智治氏の市長候補擁立」を目的に村上寅美県議会議員を訪ねた。
?加藤智治氏は1974年生まれの39歳。父の仕事で幼少時代を熊本市で過ごし、東京大学大学院社会基礎学専攻修了後、ドイツのドイチェ証券を経てマッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。そして2007年に投資ファンドのユニゾン・キャピタルへ移ると、同時に株式会社あきんどスシローの担当となって同社へ出向。翌年にはユニゾン・キャピタルを退社してスシローへ正式に入社し、同社の専務取締役企画本部長に就任して同社を回転ずしの業界トップへ押し上げた。
?それから7年後の本年3月、同社を退社して経営コンサルタント会社を設立。そして今回の市長選挙への出馬である。
?先の宮本農協長と村上県議との仲は、同農協長選挙で争ったこともあって、ここまで犬猿の間柄。この二人の意外な会談ということもあって、話の中身は一夜にして地元政治、経済界の間を走った。
「スシローで市農協の米をまとめ買いするらしい。鮮魚は村上県議を通すと内諾を得た。元専務で選挙資金は豊富だし、自分らの前哨戦へ向けての運動もできる。安倍総理、石破幹事長とも若いのに昵懇の間柄」
?ところが、スシロー専務は出向から始まった話で、タイでの人間牧場を狙ったような代理出産事件の御曹司みたいな二代目でもないし、またスシローも3月で退社。政界の人脈にしたって東大出身で、まして体育会系(アメフト)となると当たり前。もちろん、投資ファンドの出身だから動かしたカネは一日に何百億円。
?しかし選考委員会の市議団側は19日、加藤氏が自民党の石破幹事長を訪ねて「市長選への推薦依頼」をしたということで、同氏の自民党公認候補は八分通り決まった感触。積極的になれないのは、市長選挙での結果次第では自らの公認問題にも影響すると考える地元の代議士事務所。「明日はどっちだ?」と、まず聞きたいのは代議士事務所である。
?NHKの子会社で印刷等を業とする「NHKビジネスクリエイト(NBC)」が2011年、約1億4000万円の売上水増しと、その隠蔽工作を理由に女性営業部長を懲戒解雇した。彼女はこの他、大手飲食店チェーン店等を相手に売掛金1億2000万円を発生させたり、同年3月期には約2億7000万円の特別損失も計上。
?この時、「営業顧問」の肩書を持つ社外の男性が、これに大きく関与していたと結論し、この社外顧問との契約を解除…。
?上天草市のK市議が自らの選挙1ヶ月前の昨年3月、工場用地としての賃貸料を前納の形で1年分を受けとった。支払ったのは、別府市に本社を置く観光産業を中心としたG社。同社は同地にて、柳川市の水産会社から仕入れたクラゲを加工し、中国向けに輸出する予定であった。ところが、昨年7月にスタートした同工場は2ヶ月後の9月には操業をストップし、明けて今年3月には撤退。
?そこで何があったかだが、覗いたところ、そこには表には出て来にくい意外な行政の裏があった。
?工場周辺の住民らによる異臭、騒音、汚水等に対する反対がその切っ掛けとされるが、撤退理由となったのは反対住民の一人が気付いて指摘した公有地での操業。
?土地の所有者であるK市議の登記上の面積は893平方メートルなのだが、それを貸与されたG社の申請に基づいて建築許可及び事業許可を熊本県が与えた面積は1540平方メートル。県天草地域振興局の神技により国(熊本県監理)、上天草市の公有地を加えた敷地に化けたのだ。企業誘致等による公共自治体の無償提供でも理解はできるが、民と民とで貸与契約という営利活動が行われているわけで、申請時に提出された謄本等から見誤ったとは想定されない不可解な判断、処理。見誤ったわけではなく、明らかに見逃された行政結果。
?同市議と同振興局との間で、どういう事前協議がなされたのかまでは問わないが、特例ともいえる市民からの指摘がなければ何ら問題なく公有地での私的営利活動が続いていたわけで、その監理、監督の任にある県の責任は極めて大きく、県民サイドでは決して見逃すことのできない問題。未だ「食品衛生法上は問題はなかった」とか、「建築許可は規準に合っているかの建築に関する問題」とかの責任部署外へのたらい回しを続ける状態では、自己責任不在の自治行政に信頼は0と再確認するのが精一杯か…。
?人気投票1位の上田晋也氏はともかく、現実的には8日に出馬を表明した大西一史県議会議員の裏付けにもなる第2回の結果。
?調査スタッフ(学生10名)、場所(田崎・市役所本庁周辺・上通り・ダイエー大江店前・健軍商店街)、時間帯(12時~13時)に大きく影響されるが、第2回の熊本市民に聞きました市長候補は下記の通りとなった。
?また経済人30名が支持する市長候補については、偏ったグループへの調査という背景もあるが、地元経済界での話題の人物として参考にはなる結果。
? AKB選挙的に考えるとタレントの上田氏、大西県議、そして細川佳代子夫人の三つ巴で、大西氏の対抗馬なら上田氏か佳代子夫人でなければ勝負にならないという結果。未定60パーセントを取り出しても、その意識を考えると経済界の評価はどうあれ、現実的においても大西熊本市長の可能性は98パーセント以上。
?その理由を語ると、経済界で話題の猿渡知之氏ら知名度の低い新人候補の勝負には市民の理解に向けてのエネルギー、時間不足は否定できず野田毅、林田彪、木原稔代議士らが『敗戦責任論』の浮上を懸念し、そうした新人を自ら自民党公認、推薦候補として擁立する可能性はないという点にある。「候補者選びに加速」とは新聞報道の独走といっても過言ではない。
?…となると、マスコミには村上県議会議員のマークを勧めるが、同議員辺りが田川、石原氏の担ぎ出しに動く可能性はある。しかし大西県議の過剰なまでの人気を考えると、そうした神輿に上がる者はまずないのではないか。幸山政史市長、馬場成志参議院議員の二人が自宅のキッチンでマイクを握って支援しても楽勝という推測からだと、先日の出馬表明で大西市長の誕生といえる。この際、共産党も候補擁立を降ろし、予定される選挙予算を福祉、医療に回せと語ると「民主政治の否定」という批判も想定内。
?ところで「政令指定都市の市長に求められる能力、品格」までは出さないが、大西市政となると、時には我を見せた幸山市政よりもさらに百戦錬磨の市議会議員、地元県議会議員らにはこれほど都合の良い市政はなく、裏を返せば「居ても居なくてもいい市長」というのも想定内で、彼の故父から「国政」への遺言を託された者らにはその評価を懸念されるが、一期を過ぎれば国政へのポストは塞がるという予測の方がむしろ心配では大きなタネ。
?観る人によっては読みやすく、面白いが、実に味のないのが日本の地方選挙で、地方分権が叫ばれている中で「不要な地方議員80パーセント」という世論調査結果も皮肉な話…。
?名台詞として遺る「巨悪は眠らせない」の宣言主は元検事総長の故伊藤栄樹氏。その後、当の検察にも不祥事が浮上したが、「貧を背景とするスリも見逃せないが、その貧者の懐まで手を突っ込む(公金)巨悪は断じて許せない」というのは、彼らの秋霜烈日(秋の霜と夏の日差し)というバッジもその意味を語る。だが巨悪というのは、権益を有する権力側に存在するわけで検察、まして警察にとっては実に厄介。
?5月1日、八代市(中村博生市長)は八代市環境センター施設整備、運営事業の発注に基づく入札を公告し、その参加業者の受付を開始。
?ところが、同時に早々と落札業者名も関係者の間から漏れ出た。
?入札に参加したのは新日鉄住金など施設メーカーの4社と、五洋建設などのマリコン。
「新日鉄住金、五洋建設といえば沖ノ鳥島の桟橋工事で3月、死者7名を出した労災事故業者の共同企業体。その該当業者を2ヶ月して揃って認めるというのは実に不可解」(ゼネコン談)。
「死者1人という高速道路建設における労災事故にあっても点数(能力審査)を大幅に下げられて(ランク降下)、元のランク(受注対象規模事業)まで復帰するのに2年間も要したとか、指名停止6ヶ月とか、続いて営業停止3ヶ月とかの事例を参考にした場合、今回の新日鉄住金、五洋建設の無罪放免は実に不可解」
?事故再発防止のためのペナルティは当然な処罰規定であって、それが死者7名という大事故にもかかわらず「お咎めなし」とは不満というより不可解と語る。
?そこで、まず発注者の国土交通省の見解だが、ここでも話の中身はオフレコながら不可解と頭を捻った。通常の労災事故は同省統合政策局建設業課で処分が決定され、同省大臣官房地方課によって都道府県、市町村には通知される。ところが今回の事故については同省港湾局の預かりとなった。
?その同港湾局の見解というのが、「第三者による事故調査委員会で原因を究明中(6月末)」という回答。ハード面での事故解明には慎重な調査が求められるが、遺族への労災補償等にはスピーディーな対応が必要なわけで、また事故の事実からして関係者の責任は明らか。
?もちろんペナルティの決定は地方自治体にも求められるが、それは該当の国土交通省の処分決定を待って、それに準ずるというものでもなく、「対象行為の事実に従って自主判断」(熊本県土木部監理課)としている。問題なのは、労災事故の再発防止のためのペナルティの決定時期が問題ではなく、実は当然ながら予定とされる処分に対する自治体のコンプライアンス。
?疑惑の一日、半年を生むことが公正さを要求される自治体においては、そのものが疑惑。関係者からの『落札候補の事前決定』という情報。その疑惑に対して、不可解がその傾向、前兆として次々と浮上してきては、公正さを求められる自治体にとって明らかに重大な問題。そして疑惑への傾向は、さらに詳しく不可解な事例として続く…。(第四回へつづく)