山都町での最終処分場計画は、単に星山商店の営利事業という表の顔だけではなく、熊本県の環境インフラとして組み込まれた事業計画(想定)であって、宮崎県の河野俊嗣氏か東国原英夫氏でも出て来ないかぎり、その計画阻止は厳しいと述べた理由が、そこにある。
その参考事業の一例を紹介すると、山都町は隣町の高森町と合わせて19ヘクタール(東京ドームの41個分)にも及ぶ西日本最大と称する外資系のメガソーラを阿蘇外輪山に誘致。現場は熊本市民74万人を中心とする約100万人が、命の水と称するミネラルウォーターの故郷。
その阿蘇国立公園の際に石灰石を撒き、それによって硬化土壌工事を施工(除草不要目的)。だが、それによって涵養、保水能力は失われて命の水が絶えることは必至。また山上の土壌硬化工事において、変動気候からの大災害も懸念されるが、それを防止する程の砂防ダムも見当たらない。
それでは行政は黙って放置したのかとなるが、実は県農林水産部の現場は勿論、九州農政局まで農地法、山林法を盾に阻止に努めたのは確か(ブログ熊本レポート2020年9月、021年1月公開)。
ところが、そこに立ち塞がったのは同じ行政。同町の副長に送り込んだ熊本県元三役(会計管理者・出納長)ではないか、そんな推察も出た竣工前までの経緯。県三役の天下り先というのは過去、空港社長か大手企業の役員待遇が通例で、普通は課長クラスの副長天下りに対して三役が、しかも県境の副町長に就任するとは特例、いや異例。
その彼が、今回事案の環境インフラも敷いたと想われる(同副長は8月に異例の懲戒免職)。
さて山都町を含む上益城郡5町(上益城広域連合)が、新ごみ焼却処理施設の計画で投資建設費、立地場所(最終処分場)で悩んでいたのは確かで、それが用地(同郡御船町上野)を確保した段階で熊本県が横取り、いや代行として「民間企業から提案」とPFI方式での発注を突然発表。
そして上益城広域連合は、「最終処分場(同御船町上野)は造らない」と結論。
熊本県が委託の覚書を結んだ民間企業については後述するが、その民間企業における自社の焼却施設ではなくとも、目指す施設型では最終処分場を要する。即ち、同県は最終処分場計画も民間企業委託で、その覚書の一方として山都町の最終処分場計画での尽力を想定。さらにハッキリ言うと、星山商店が計画する最終処分場の実現が必至。
同県が語る先の「民間企業からの提案」を受け取ったのは蒲島知事とは、そんな話は県政に繋がりの深い県民ほど不信は濃くなるが、先述の元三役の人事権を含めて誰の誘導、主導かが最終的なポイント。
裸の知事様と同じく、先述した涵養、保水能力が懸念されるメガソーラ問題で、新有権者の高校生らから出たのが「野党地方議員の存在価値」である。
日米安保条約には論理不明の反対で演習場まで出掛けても、何ら地域社会問題に目の向かないのが熊本県の野党議員。議員提案を出す訳でもなく、執行部の自治行政に対して、社会を揺るがす程の検証能力を発揮する訳でもなく、高校生の彼らが「野党議員らの存在価値が全く見えない」というのは当然。県議会議員の年間報酬は約1170万円+政務調査費+交通、宿泊費だが、「税金泥棒」と言えば、それを否定する材料があるだろうか。勿論、裏を返せば、野党県議会議員7名を生んだ有権者の感傷的な選挙権の行使が問題となるが、せめて新有権者には俯瞰の機能を働かせての選挙権行使が求められる。
さて山都町の最終処分場(星山商店計画)が万が一にも立ち消えとなると、県が代行する上益城広域連合の環境インフラは振り出しに戻るが、それはともかく山都町の広報紙でも紹介(ごみ処理施設建設整備、運営の民間企業委託)の「大栄環境は日本最大手の施設メーカー」に振れると、同社の実績は近江八幡市(滋賀県)での76トン/日で、しかも中身は三菱重工グループ(三菱重工環境エンジニア)の製造、製作。
それが今回、400トン/日(上益城広域連合対象の一般ごみは100トン/日と想定)となると、どう理解すべきかだが、「当初投資は12億円」(メーカー側談)まで、ここまでの経緯が実に奇々怪々…。(次号へつづく)