万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

日本国は独自にガス田を開発できるのか

2008年06月18日 15時58分32秒 | アジア
中国企業2社に日本側出資 東シナ海ガス田で最終合意へ(共同通信) - goo ニュース
 東シナ海のガス田の問題は、確かに長年の懸案でありましたが、この最終合意で一件落着なのでしょうか?どうやら、行く先の将来を考えますと、決してもろ手を挙げて喜べるような状況ではなさそうなのです。

 何故ならば、第一に、日本国が独自に自国の排他的経済水域において、ガス田の開発ができるのか、全く不明であるからです。今回の最終合意では、中国が既に開発した4つのガス田のうち、対等の共同出資の対象になるのは1つでしかなく、特に、「楠」と「樫」に関しては、日本国側には一切の権利が認められていません。もし、日本国側が、中国と同様に、自国の水域内で独自にガス田を開発しても、中国は、何らの脅しも圧力もかけてこないのでしょうか(当然に、日本側にも独自のガス田開発が認められるはず)?

 第二に、採掘された天然ガスの供給先が明らかとはなっていません。最終合意案では、中国の政府系企業への出資という形をとりますので、中国側に独占的に天然ガスが供給され、その利益の一部を日本国側が受け取るということになりかねません。もし、そうならば、結局、日本国は、自国の資源を自国のために利用することができなくなります。

 第三に、もし、ガス田開発について日中共同出資が一般化しますと、日本国政府は、かりに、自国で独自のガス田開発を乗り出した場合にも、中国政府からの出資の申し出に応えざるを得なくなる可能性が生じてきます。中国の政府系ファンドが、日本国の帝国石油への出資を検討しているとする情報がありますので、この点も心配なところです。

 海洋法条約では、境界線に争いがある場合には、一方的に資源開発をすることは禁じられており、中国は、このルールを破ってガス田開発を行ったことにそもそもの問題の発端があります。これ以上、中国のルール違反を許すべきではなく、日本国政府も、国際法違反に加担しているという自覚を持ち、正当な権利と法に基づいた解決に努めるべきと思うのです。 

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コメント (4)
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