万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

中国ネットは国民13億対警官5.6万の勝負?

2008年06月20日 12時13分48秒 | アジア
「中国、五輪控えネット監視強化 警官5~6万人投入」(朝日新聞) - goo ニュース

 中国におけるネットの普及は、政府による言論統制に風穴をあけることはできるのでしょうか。共産主義を唯一の正当なイデオロギーとして信奉し、その絶対性を根拠に一党独裁制を敷いてきた中国政府のことですから、政治を舞台にして百花斉放が起きることなど、悪夢に違いありません。しかしながら、この中国政府にとっての悪夢は、中国国民にとっては、言論の自由という長年の夢が実現する正夢かもしれないのです。

 何故ならば、ネットに書き込みを行う発言者の数の方が、監視者の数よりも圧倒的に多いからです。この数の差が広がれば広がるほど、時間をかけて記事を読み、内容を判断しなければならない監視者は、すべての発言をチェックすることが困難となるのです。中国の場合、13億の民がおり、その全てがネットに参加していないまでも、相当数の人々が、ネットを利用することができます。もしかしますと、5・6万人の警察では対処し切れない可能性も否定できないのです。

 もちろん、制御不能と判断した政府は、ネットという媒介を遮断したり、一方的な記事の削除に乗り出すかもしれません。しかしながら、これも、政府にとっては危険な賭けとなりましょう。一度、言論の自由を経験した国民は、この措置に反発し、むしろ、政権の不安定化をもたらすかもしれないからです。

 13億の人々の言葉の力が優る時、それは、共産党政権崩壊の時かもしれません。

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