万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

地球を緑化する方法―複線路線―

2008年06月10日 14時34分32秒 | 国際経済
温室効果ガス、2020年までに14%減可能…首相(読売新聞) - goo ニュース

 排出権取引制度の導入は、地球温暖化の防止策として、ベストの方法なのでしょうか?おそらく違う、あるいは、相当に疑問の余地があると、誰もが感じていることでしょう。このように、手法の選択に疑いがある場合には(二酸化炭素原因説にも疑問があるのですが・・・)、他の選択肢を残すに越したことはありません。

 排出権取引とは、削減目標値を達成できなかった企業に対して、ペナルティーとして排出権を購入させるという制度です。もちろん、目標値を越えて削減した場合には、余剰分を売却することもできますが、大幅な削減を実現するには技術的なハードルが高く、現在のところ、削減目標>現実の削減量が予測されています(試算によれば、企業負担は数兆円とも・・・)。そこで、企業に対するペナルティー性が強いならば、他の形式のペナルティーであってもよいのではないか、と思うのです。

 排出権取引と並ぶ選択肢とて考えられるのが、緑化事業です。企業は、達成目標を下回った分を植林や緑化事業、あるいは、熱帯林の保護事業で埋め合わせるのです。例えば、二酸化炭素○○トンにつき森林△▽ha分あるいは×□本の木を、植林または保全するというように…。この方法のメリットは、増加した森林に吸収されるために、空気中の二酸化炭素量が確実に減ることと、砂漠化の防止や全般的な環境保全にも役立つことです。大地が保水力を高めれば、気温の上昇や気候の不安定化、あるいは、自然災害をも防ぐことができるかもしれません(二酸化炭素が犯人ではなくても有益な政策・・・)。

 排出権取引と並行して緑化事業を導入すれば、企業は、自らの判断で、好ましい方法を選択することができるようになります(競争のメカニズムが作用)。また、この方法の導入は、砂漠化に悩むインドや中国の参加を促すことになるかもしれません。少なくとも、効果の怪しい排出権取引に一元化することは望ましくなく、選択の余地がある複線路線の方が、はるかに安全で効果的であると思うのです。

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コメント (96)
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