goo blog サービス終了のお知らせ 

万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

アフリカ諸国―”指導者頼り”に限界か

2008年06月02日 17時57分50秒 | アフリカ
【明解要解】なぜ「暴君」に? ジンバブエのムガベ大統領(産経新聞) - goo ニュース

 「自由の戦士」から「暴君」への急転直下の堕落。この180度の変身は、これまでムガベ大統領を称賛してきた人々にとっては、信じられない事態でありましょう。その説明として、旧宗主国であるイギリスに対する遺恨が指摘されていますが、ムカベ大統領個人の心理的な要因の他に、アフリカ諸国が抱えている統治制度の未整備問題もあるように思うのです。

 これまでのアフリカ諸国に対する評価は、どのような人物が国のリーダーであるかによって大きく左右されてきました。この結果、英雄も生まれれば、残虐な独裁者も登場してきたのです。しかしながら、国家の運営が人頼りであるということは、それだけ、不安定であることをも意味しています。政権交代による変化に加えて、同じ指導者であっても、内面の心理状態が激変すれば、当然に、政策も評価も180度変わってしまいます。ムカベ大統領の堕落は、ジンバブエという国家をも道連れにしてしまった言えましょう。

 アフリカ諸国が政治的に安定するためには、この”指導者頼り”から脱却する必要があるのではないか、と思うのです。言い換えますと、残酷な独裁者を誕生させないためには、統治制度に暴走を抑える制御装置―リコール制や弾劾制度の導入、選挙の健全化、権力分立の徹底、チャック・アンド・バランス・・・―を設けることが必要なのです。アフリカ諸国の将来は、いかなる国家の統治機構を構築するのか、にもかかっているのではないでしょうか。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。

にほんブログ村 政治ブログへ

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする