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万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

生活保護世帯高校生のバイト貯金促進は逆効果では?

2014年04月03日 15時56分07秒 | 日本政治
消費税8% 「命を切り詰めます」…生活保護受給者ら悲痛な声(産経新聞) - goo ニュース
 厚労省は、生活保護世帯の高校生に対して、バイト収入による貯金を認める方向で法改正を行う方針と報じられております。しかしながら、この政策、逆効果なのではないかと思うのです。

 厚労省の説明では、”生活保護受給世帯の子どもが成人後も困窮から抜け出せない’貧困の連鎖’を断ち切る”ことが目的なそうです。現行の制度では、バイト収入が増えると保護費が削減されるため、世帯収入の増加が見込めないことに配慮しての措置と考えられます。しかしながら、法改正後、生活保護世帯の高校生がアルバイトに費やす時間が増加することは、当然に予測できます。’貧困の連鎖’を断ち切るには、高校生の間にしっかりと勉学や技能の習得に励み、将来において安定した収入を得られる職に就く必要があります。放課後に、毎日遅い時間帯までアルバイトで働く生活では、逆に、将来的に安定した職を得る機会を失う可能性があるのです。大学進学のための学費などをアルバイトで貯めても、肝心の学力がついてこなければ、貯金も無駄になります。しかも、無制限の貯金が許されるならば、生活保護世帯の家族は、子供が高校に入学した時点で、アルバイトで働くよう強要するかもしれません。中途半端な措置を採るぐらいならば、高等教育を受ける意思がない生徒さんに対しては、中学校を卒業した時点で正社員としてきちんと就職することを奨励した方がまだましです。

 大学などへの進学に際しては、奨学金制度もあるのですから、むしろ、高校時代は学業に専念させた方が’貧困の連鎖’を断つことができるのではないでしょうか。高校生のバイト=貧困の連鎖の切断とする厚労省の案は、どこか短絡的なように思えるのです。

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コメント (4)
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