憲法解釈変更に改めて意欲=安倍首相(時事通信) - goo ニュース
報じられるところによりますと、政府は、集団的自衛権については”集団”を抜いて”自衛権”と表現することで、与党内反対勢力である公明党の支持を取り付けようとしているそうです。これでは、現行の曖昧な解釈をさらに曖昧にするようなものであり、また、国連憲章では表記を分けているため、内外への説明が違ってしまう恐れもあると指摘されています。
この案では、自衛権と集団的自衛権を一括りされていますが、そもそもの問題は、集団的自衛権そのものを一括りとして議論されているところにあるのではないかと思うのです。実のところ、逆に、集団的自衛権をより詳細に分類すれば、より明快な議論が可能となります。詳細な分類とは、およそ以下の通りです(他にもあるかもしれません…)。集団的自衛権行使のケースは、大枠として、日米同盟、国連(集団的安全保障5月3日加筆)、その他に分けることができます。
(1)日米同盟
1.日本国が攻撃を受けた場合 尖閣諸島を含む日本の領域に対する攻撃。周辺有事法により既に集団的自衛権の発動は可能。
2.アメリカ本土が攻撃を受けた場合 相互保障としての集団的自衛権の性質を考慮すれば、米国本土向けのミサイルを迎撃するのは日本国の義務と解される。また、双務性を考慮すれば、他のケースにおける共同防衛も安保改正の検討課題。
3.日本国内の在日米軍が攻撃を受けた場合 朝鮮半島有事に際しての北朝鮮による米軍基地を標的としたミサイル攻撃など。安保条約第5条の適用範囲。
4.アメリカが同盟条約に基づいて戦争に参加する場合 米韓同盟に基づく朝鮮有事やNATOの軍事行動など。アメリカが直接に攻撃されたわけではないので、日本国には自動参戦の義務はない。
5.アメリカが第三国と交戦状態に至った場合 日本国には自動参戦の義務はない。
6.民間人を装った工作員によって日本領が占領した場合 尖閣諸島に対する中国の占領作戦。この作戦に対しては、米軍の防衛協力に関する申し出があるらしい。
(2)国連
7.安保理決議に基づく多国籍軍への参加
8.PKOへの参加
上記の二つについては、国連加盟時において、本来、日本国もまた参加義務を負っている。自衛隊への制約は、平等な義務負担の面からは問題。
(3)その他
9.安保理決議が成立せず、同盟国であるアメリカを中心に有志連合が結成された場合 イラク戦争などのケース。
10.安保理決議が成立せず、任意の国による有志連合が結成される場合
集団的自衛権とは事実上既にその行使が前提とされているとしますと((1)-1、(1)-3、(2)-8)、原則として集団的自衛権の行使を認めた上で、それぞれのケースについて検討を加えた方がはるかに建設的です。集団的自衛権に関する曖昧模糊とした議論が、日本国を狙う国に隙を与えては、むしろ平和を損ねてしまうと思うのです。
よろしければ、クリックをお願い申し上げます。
にほんブログ村
報じられるところによりますと、政府は、集団的自衛権については”集団”を抜いて”自衛権”と表現することで、与党内反対勢力である公明党の支持を取り付けようとしているそうです。これでは、現行の曖昧な解釈をさらに曖昧にするようなものであり、また、国連憲章では表記を分けているため、内外への説明が違ってしまう恐れもあると指摘されています。
この案では、自衛権と集団的自衛権を一括りされていますが、そもそもの問題は、集団的自衛権そのものを一括りとして議論されているところにあるのではないかと思うのです。実のところ、逆に、集団的自衛権をより詳細に分類すれば、より明快な議論が可能となります。詳細な分類とは、およそ以下の通りです(他にもあるかもしれません…)。集団的自衛権行使のケースは、大枠として、日米同盟、国連(集団的安全保障5月3日加筆)、その他に分けることができます。
(1)日米同盟
1.日本国が攻撃を受けた場合 尖閣諸島を含む日本の領域に対する攻撃。周辺有事法により既に集団的自衛権の発動は可能。
2.アメリカ本土が攻撃を受けた場合 相互保障としての集団的自衛権の性質を考慮すれば、米国本土向けのミサイルを迎撃するのは日本国の義務と解される。また、双務性を考慮すれば、他のケースにおける共同防衛も安保改正の検討課題。
3.日本国内の在日米軍が攻撃を受けた場合 朝鮮半島有事に際しての北朝鮮による米軍基地を標的としたミサイル攻撃など。安保条約第5条の適用範囲。
4.アメリカが同盟条約に基づいて戦争に参加する場合 米韓同盟に基づく朝鮮有事やNATOの軍事行動など。アメリカが直接に攻撃されたわけではないので、日本国には自動参戦の義務はない。
5.アメリカが第三国と交戦状態に至った場合 日本国には自動参戦の義務はない。
6.民間人を装った工作員によって日本領が占領した場合 尖閣諸島に対する中国の占領作戦。この作戦に対しては、米軍の防衛協力に関する申し出があるらしい。
(2)国連
7.安保理決議に基づく多国籍軍への参加
8.PKOへの参加
上記の二つについては、国連加盟時において、本来、日本国もまた参加義務を負っている。自衛隊への制約は、平等な義務負担の面からは問題。
(3)その他
9.安保理決議が成立せず、同盟国であるアメリカを中心に有志連合が結成された場合 イラク戦争などのケース。
10.安保理決議が成立せず、任意の国による有志連合が結成される場合
集団的自衛権とは事実上既にその行使が前提とされているとしますと((1)-1、(1)-3、(2)-8)、原則として集団的自衛権の行使を認めた上で、それぞれのケースについて検討を加えた方がはるかに建設的です。集団的自衛権に関する曖昧模糊とした議論が、日本国を狙う国に隙を与えては、むしろ平和を損ねてしまうと思うのです。
よろしければ、クリックをお願い申し上げます。
