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万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

第二次朝鮮戦争-追い詰められる中国?

2015年08月21日 15時19分21秒 | アジア
【北朝鮮砲撃】北朝鮮の金第1書記、前線地帯に「準戦時状態」宣言 軍人に「完全武装命令」
 朝鮮半島では、北朝鮮からの砲撃を受けて、米韓相互援助条約に基づく合同作戦を開始したと韓国国内では報じられているそうです。北朝鮮による挑発や恫喝は日常茶飯事ですが、今回に限っては北朝鮮が臨戦態勢を命じているとされ、第二次朝鮮戦争の可能性も否定はできません。

 ところで、仮に休戦協定が破られて朝鮮戦争が再開された場合、中国は、どのように動くのでしょうか。第一次朝戦争では人民解放軍が参戦し、人海戦術をもって38度線まで国連軍を押し戻したのですから、中国は、北朝鮮の盟友です。核・ミサイル開発で経済制裁を受けながら、未だに北朝鮮が体制を維持しているのも、中国の支援あってのことです(もっとも、ロシアへの最接近も見られる…)。最近の金正恩第一書記の出で立ちは毛沢東を模してるようにも見え、習近平主席にに阿っているとも推測されます。しかしながらその一方で、近年、中朝関係の冷却化も指摘されており、中国の対半島政策は北朝鮮支援一辺倒でもありません。否、韓国に対する接近を頓に強めており、9月3日に予定されている抗日戦勝記念の一連の行事には、朴大統領宛てに招待状を送ったとも伝わります(他の諸国には招待状は届いていないらしい…)。ここにきて、第二次朝鮮戦争の火ぶたが切って落とされるとしますと、中国は、韓国との密接な関係を維持しようとすれば、北朝鮮への軍事支援を見送らざるを得ず、北朝鮮との”血の友誼”に従えば、韓国との関係はご破算になるというジレンマに直面します。そして、前者を選択すれば、米軍の軍事的支援下での南北再統一を許すこととなり、後者を選択すれば、米中戦争に発展します。どちらを選択しても、中国は、苦境に追い込まれるのです。

 もっとも、見方を変えれば、朝鮮半島における一連の緊張の高まりは、朴政権の親中傾斜に警戒感を抱く韓国軍部が米韓同盟強化のために演出しているのかもしれませんし、反対に、北朝鮮が、戦争回避をカードに中国から支援を引き出すために、韓国に挑発を仕掛けているのかもしれません。南北両国の対立は表面上に過ぎず、水面下では協力関係にあるとする指摘もあり、真相は深い霧に包まれていますが、朝鮮半島情勢に対する中国の対応は、東アジアの未来を左右しかねないと思うのです。

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コメント (4)
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