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万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

共産主義国家が戦勝国となってしまった悲劇

2015年08月25日 15時21分33秒 | 国際政治
首脳級の出席は30カ国=欧米は慎重姿勢―中国抗日戦勝70年式典
 英語では”力は正義なり”という言葉があり、日本語でも”勝てば官軍”という言葉があります。力勝負で勝った側に正当性があるとする考え方ですが、これらの言葉、道徳や倫理に照らしてみますと大いに問題があります。

 暴力集団や犯罪組織が勝負に勝って自らの正当性を主張した場合、一般の常識や良心を備えた人々は、即座に拒絶反応を示すことでしょう。ところが、第二次世界大戦の結果を見ますと、この忌々しき状態が実際に発生しております。それは、共産主義国が戦勝国となってしまったことです。良く知られているように、第二次世界大戦の直接の発端は、独ソ不可侵条約の締結に基づく独ソ両国によるポーランド分割です。ポーランド侵略と言う意味では独ソとも同罪にも拘わらず、ドイツが敗戦国となり、ソ連邦が戦勝国となったことで、ソ連の罪は不問に付されてしまいました。そして今日、共産党一党独裁国家である中国は、来月3日に”抗日戦勝70年式典”を開催しようとしています。戦争当時、連合国の一員に加わったのは蒋介石率いる国民党であったことを考慮しますと、共産党が式典を催すのも疑問なところですが、1949年10月の中華人民共和国建国以来、中国は、チベットや東トルキスタン等を侵略し、今日では、武力による”アジア・太平洋支配”、さらには、”世界征服”の野望さえ疑われています。連合国が1941年8月に大西洋憲章で示された戦後の国際秩序のあり方とは正反対の行動をとり、1942年1月の連合国宣言に云う”野蛮で獣的な軍隊”とは、まさに人民解放軍ではないかと思うのですが、厚かましくも”戦勝国”と称して恥じようともしません。明白な敗戦を以ってソ連邦が崩壊したわけではなく、冷戦の終焉時に共産主義に引導を渡せなかったことも、冷戦という隠れた”第3次世界大戦”が水面下で戦われていながら、中国が、その勝敗を無視する原因ともなりました。

 第二次世界大戦後、何故、平和が訪れなかったのか。その最大の要因は、連合国のご都合主義的な合従連衡によって、暴力主義を容認する共産主義国家が戦勝国になってしまったことにあります。そしてその悲劇は未だに幕を下ろしておらず、凶暴性を帯びた脅威となって、共産主義国が人類の行く手に立ちはだかっていると思うのです。

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コメント (4)
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