万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

沖縄防衛を忘却している翁長知事

2015年08月17日 15時03分53秒 | アジア
「沖縄を領土としてしか見てない」 知事、辺野古推進を批判 防衛相と会談
 昨日、中谷元防衛相が沖縄を訪問し、翁長雄志沖縄県知事、並びに、稲峰名護市市長との会談の場を設けたと報じられております。この会談の席で、翁長知事は、日本国政府は沖縄を領土としてしか見ておらず、米軍も抑止力にはならないとして、終始、辺野古への基地移設に批判的な態度を崩さなかったそうです。

 ”沖縄領土視”の批判は、本土から見ると沖縄は単なる”日本領”に過ぎず、基地負担を負っている沖縄県民に対する配慮が足りないということなのでしょう。”日本領”の防衛であって、”沖縄の防衛”ではないと…。そして、米軍の抑止力否定論も、中国の弾道ミサイルの射程に入った時点で、むしろ、沖縄は中国のミサイル攻撃の標的になるというものです。この説には、根拠として米元政府高官や専門家の意見を示しており、中国による一斉ミサイル攻撃によって沖縄の全基地が破壊された場合を想定すれば、むしろ、沖縄への基地集中は、防衛体制としては脆弱ではないか、ということのようです。しかしながら、知事の批判は、沖縄防衛を中心に据えましても、説得力に乏しい思われます。第一の”領土視”については、沖縄県が日本領であるからこそ、日本国政府は、沖縄防衛に対して相当の予算を割いております。領土に過ぎないのではなく、日本国民でもある沖縄県民が生活する大切な領土であるからこそ、最大限の防衛努力を払っているのです。翁長知事は、中国の軍事的脅威を認めておりますが、それでは、沖縄県は、自力で防衛ができるのでしょうか。また、第二のミサイル攻撃についても、実のところ、沖縄から本土への基地分散論は、戦略的には本土防衛の観点から提起されたものと推測されます。しかも、基地と共に抑止力を否定された海兵隊も、尖閣諸島や沖縄本島等への中国軍による上陸作戦を想定しますと、抑止効果は十分に期待されます。否、グアムへの海兵隊移転計画に不安を覚えるほどです。翁長知事は、中国人民解放軍の武装部隊が沖縄県に上陸した場合、一体、どのように対応するつもりなのでしょうか。

 沖縄防衛の視点からしましても、翁長知事の発言は、むしろ、沖縄の防衛力弱体化に向けての提言となります。一般的には、軍備を拡張する国が出現した場合、脅威に直面する国は防衛力を強化するものですが、沖縄県知事の反応は全く逆です。それ故に、翁長知事の本心は沖縄独立と中国への併合にあるとする指摘があるのでしょう。仮にこの指摘が事実であれば、沖縄のチベット化のリスクが高くなるわけですから、沖縄県民、並びに、日本国に対して背信行為を働いているのは、翁長知事と言うことになるのではないでしょうか。

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コメント (2)
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