万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

民主主義を語る国会前デモ-暴力主義がルーツでは?

2015年08月31日 15時47分00秒 | 日本政治
「いつか教科書に載る景色」 国会前デモ、なぜ広がった 
 昨日、国会議事堂前に、安保法案に反対するデモが押し寄せるという事態が発生しました。主催者側は、デモ参加者は12万人と公表しておりますが、警察発表では3万人程度であり、実際の人数は、はるかに少ない数であったようです。

 デモ参加者は、口々に安保法案反対を叫び、今日の日本国は、立憲主義や民主主義の危機にあると訴えております。しかしながら、デモ参加者は、民主主義国家におけるデモとは何か、という基本的な問題を自らに問うたことがあるのでしょうか。デモ参加者の中には、”フランス革命に近いことが起ころうとしている”と語る著名人もおり、不穏な空気も漂っております。18世紀のフランスにあっては、未だ民主的制度が存在していない以上、暴力を手段とする革命を帰結しました。一方、今日の日本国では、既に民主主義が制度化されているのですから、仮に、デモ隊が”革命”を目指しているとしますと、暴力で国権を奪う行為、つまり、”内乱”を容認していると見なされても致し方がありません。第2に、デモ隊が国会を取り囲む行為も、一種の”脅迫”となります。デモは、言論の自由や表現の自由に支えられており、特に、政治的自由の重要な表現手段でもあります。街頭などで不特定多数の人々に自らの主張を訴えるというのであれば、然して問題はないのでしょう。しかしながら、拡声器やプラカードを手にしたデモ隊が押しかけ、法案の阻止を目的に国会に圧力をかける行為となりますと、これは、威嚇以外の何ものでもありません。彼らが提唱する”話し合い”の余地など、どこにもないのです。第3に、デモに参加した人々は、野党の党首が顔を揃えたたように、国民の一部でしかありません。SEALDsといった左派学生団体や労働組合、あるいは、左翼団体などがデモ隊の中心であり、”国民の代表”の看板には偽りがあります。しかも、指摘されているように、中国や韓国といった外国勢力が国内の自国民に動員をかけているとしますと、参政権を有する国民でもないのかもしれません。

 国会前デモを、”政治に目覚めた日本国民”という見方で好意的に報じるマスコミもありますが、民主主義国家におけるデモは、時にして、民主主義の名の下で民主主義を破壊する恐れがあります。国会包囲という過激な行動は、民主主義ではなく、暴力主義にルーツがあるように思えるのです。

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コメント (4)
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