政府が推進しているワクチン接種をめぐりましては、アナフィラキシーといった即時的な副反応のみならず、遺伝子ワクチンに内在する中長期的ワクチン・リスクを警戒した慎重派も少なくありません。その一方で、政府やマスメディアは、ワクチンに対する国民の警戒心は’デマ’の流布が原因であるとして、リスク情報の火消しに躍起になっております。そして、その際に最も一般的に用いられているのが、Q&A方式による広報活動です。
Q&A方式とは、予め質問とそれに対する回答文の全文を作成するという方法です。掲載される質問は、多くの人々が疑問を感じているものにコンパクトに集約されているため、不特定多数の人々を対象とした’疑問解消’の手段としては、最小公倍数的な効果があります。全てではないにせよ、誰もが、羅列されている何れかの質問を読めば、自らの疑問に対する回答を見つける、あるいは、少なくとも疑問の一つぐらいは解けることとなるからです。このため、同方式は、政府や地方自治体などの広報活動にあって多用されてきたのですが、殊、今日のワクチン・リスクのような問題領域にあっては、同方式のデメリットばかりが目立つように思えます。
それでは、Q&A方式におけるデメリットとは、どのようなものなのでしょうか。同方式は、数ある疑問にあって多くの人々が共有するものに応えるというメリットがある一方で、Q&Aの作成者が、事前に質問を取捨選択してし得るという問題があります。商品の説明書に見られるような、実際のクレームや客観的な調査等の結果として関心性の高さが証明し得る場合には問題はないのですが、作成者が主観的、あるいは、恣意的に質問を選んでいる場合には、Q&Aは、多くの人々が懐いている真の疑問、あるいは、知りたいことに対しては決して答えてはくれないのです。
このデメリットは、Q&Aにおける質疑応答文が、質問者ではなく、回答者の側が作成しているという事実に起因しています。回答者が造っているのですから、正確に答えることができない質問、あるいは、触れてほしくない質問を完全に排除したり、無視したりすることができるのです。Q&Aでは、’知りません’という回答はあり得ませんし、回答者が質問者の疑問を認めることで自己否定となるような回答もあり得ないのです。
この側面からワクチン・リスクに関するQ&Aを見ますと、質問の多くは、比較的簡単に否定できそうなものばかりが並んでいます。’体に磁石がくっつく’、’ワクチンにはマイクロチップが入っている’、’ワクチン接種者は5Gに接続される’といった、100%あり得ないとは言い切れないもの、都市伝説風で証明が困難なリスクが選ばれています(もっとも、将来的に事実であることが証明される可能背性はゼロではない…)。こうした質問であれば、多くの人々は、その回答に納得するかもしれません。もっとも、不妊リスクの質問については、医科学的根拠がないわけではりませんので、被害報告がないとして’デマ’として切り捨てるか、あるいは、ファイザー社の説明にもとづいて回答が作成されているようです。
何れにしましても、ワクチン・リスクに関するQ&Aは、’ワクチンは絶対に安全である’とする前提で作成されており、安全性を確信する方向に読者を誘導していると言えましょう。質問にあって指摘されているリスクは、回答を以って悉く否定されえるのですから。”ワクチン・リスクに対する一刀両断の明快なる回答”という称賛の声は、ワクチン推進派の’自画自賛’のようにも聞こえてくるのです。
Q&A方式は最小公倍数的なものでしかなく、しかも質問は、回答者側、すなわち、ワクチン推進派によって恣意的に事前選別されているとしますと、それは、その他の様々な疑問が、回答を得ることなく疑問のままに残されていることを意味します。否、Q&Aにおいて取り上げられなかった疑問点こそ、最も重要であるケースも少なくないのです。遺伝子ワクチンにつきましては、脂質ナノ粒子、人工mRNA、スパイク蛋白質、並びに、生成された抗体等の行方や作用に関する重大なる疑問があります。そして何にもまして、厚労省が発表したワクチン接種との関連性が疑われる919名の死亡者数、並びに、重篤者数3338名という数も、ワクチン・リスクの存在を語っているのです。
このように考えますと、ワクチン・リスクについては、Q&A方式ではなく、あらゆる疑問について自由闊達に議論し得る自由討論方式の方が相応しいと言えましょう。国民の多くが知りたいことは、Q&Aの枠外にあるのですから。政府やメディアが、リスクを巧妙に隠すことができるQ&A方式に頼ろうとする姿勢こそ、逆にワクチン・リスクを強く示唆しているように思えてならないのです。