★ 指宿通信 第8稿 ……2019.1.2 Wed 8:01am くもり
しばらく指宿地方は快晴ということがないようです。29日は高千穂峰も桜島もきれいに見えていたので、私が来た途端に指宿はお天気が悪くなったようで、何だか残念です。
元日の昨日は、初日の出と朝のブログとココ橋牟礼という指宿の博物館で「指宿のせごどん」展を見て、午後は庭のお仕事もせずにぼんやりと過ごし、夕方、母と地元の温泉まで歩いていき、帰ったらゴハンを食べて、Eテレの「ニュー・イヤー・コンサート」を3時間たっぷり見て、日記を打ち込んで寝ただけでした。
東郷温泉というところに行きました。何度か来たことがあります。歩いてすぐの温泉が廃業してしまったので、一番近いところがここと、そのお隣の村之湯温泉(地元の人は「むらんゆ」と言います)になりました。気が向いたので湯冷め対策をして来てみました。
以前、父たちがこの東郷温泉に入った時、父はのぼせて倒れたことがありました。救急車を呼んだか呼ばなかったか、そういう思い出のある温泉です。父はカラスの行水が基本だったのに、誰かと一緒だと無理をして、つい長湯をした後、フラッと意識がなくなることが何度かありました。無事であればいいのですが、まわりの人はびっくりしたことでしょう。いくつになっても、自分の体を上手に扱えないところがあったようです。(無理をすると、自分が自分でなくなることがあったんですね、お父さん!)
入ってみると、たいていは常連さんで、お互いに声を掛け合っている。私だけが異質な存在ですけど、小さくなって入りました。熱いお風呂とぬるいお風呂があって、どちらも入れるのだけれど、温泉感があるのは大きい熱い方で、石の下から自噴しているとも書いてあります。自噴する温泉は大地と地続きです。マグマは出てこないけど、温水は勝手に出てくるなんて、すごいじゃないですか。感心しながら、入りました。
地元の方たちが、中国のお客さんや韓国のお客さんたちのマナーの悪さを話していました。そりゃ、何も知らない世界に飛び込んだのだから、それを褒めてあげなきゃいけないのに、ついつい自分たちの感覚で、異質な存在・マナーの知らなさを責めるなんて! この人たちも理解はしているんだろうけど、何だかかわいそうで、私のことも言われているのではないかと、少し小さくならされる気分でした。ウワサをするんじゃなくて、普通に注意できたらいいのに。言葉の壁がありますから、少しずつ理解し合うしかないな!
しばらく外で待たされて、体が冷えるかと思ったら、それほどでもなくて、わりと元気に帰れました。私が「今すぐ上がるよ」と声をかけ、母も「わかった。私もすぐ上がる」と答えたくせに、外で十数分は待たされました。出てくるとき、あれこれ言い訳をしていたけれど、それはもう仕方のないことでした。想定内のことでした。私が甘い!
帰り道、お日様は西の彼方に落ちた後で、それでも少しだけ明るくて、ヨタヨタ歩いていきました。山の上に昔はホテルだった建物が見えて、今は大学の研究所みたいになっているのを教えてもらいました。その南の山は、父と母の二人が結婚した当初、二人と父の兄夫婦と四人で登った後、向かい側の方に降りていったのだよというのも聞かせてもらった。その四人でこの世にいるのは母だけで、他の三人はみんな向こうへ行ってしまった。
山の向こうには西郷さんが政界を引退後、狩りに出かけた鰻集落があります。温泉もあるし、湖(鰻池)もあるところです。そんなところに大人たちが遠足に出かけたなんて、何だか夢のような話で、そういうこと、いつか私もできたらいいのにな、と思ったんです。